先日、移行経済に関するLancetの論文について書きましたが、今週のThe Economistに同論文についての記事が掲載されました。ただし、こちらはLancet論文を批判する立場です。
同誌によれば、Lancet論文は「大規模な民営化と死亡率は明らかに相関しているが、必ずしも民営化から死亡率への因果関係を示すものではない」としています。また、同論文は「1994年までにロシアはショック・セラピーを全面的に施行した」としているが、その頃には急進的な経済改革は頓挫してしまっていたこと、更には市民が手にした民営化のバウチャーは僅かな現金に換えられてしまい、雇用にはたいして影響を与えなかったことなどの事実誤認を含むと指摘しています。
先に紹介したNew York Timesには、「相関関係と因果関係を取り違えている」といった批判に対するLancet Authorsからのコメントが書き込まれており(本物でしょうね?)、自身の統計分析の正当性を主張しています。方法論の論議になるとちょっと手に負えなくなるのですが、疫学の専門家が、相関関係と因果関係を取り違えるという初歩的なミスを冒すものだろうか、という気もします。ただ、同論文はあくまでクロスセクション分析であり、個々の国の経済改革プロセスを精査している訳ではないでしょうから、より詳細な分析が必要なのは確かだと思われます。
同誌によれば、Lancet論文は「大規模な民営化と死亡率は明らかに相関しているが、必ずしも民営化から死亡率への因果関係を示すものではない」としています。また、同論文は「1994年までにロシアはショック・セラピーを全面的に施行した」としているが、その頃には急進的な経済改革は頓挫してしまっていたこと、更には市民が手にした民営化のバウチャーは僅かな現金に換えられてしまい、雇用にはたいして影響を与えなかったことなどの事実誤認を含むと指摘しています。
先に紹介したNew York Timesには、「相関関係と因果関係を取り違えている」といった批判に対するLancet Authorsからのコメントが書き込まれており(本物でしょうね?)、自身の統計分析の正当性を主張しています。方法論の論議になるとちょっと手に負えなくなるのですが、疫学の専門家が、相関関係と因果関係を取り違えるという初歩的なミスを冒すものだろうか、という気もします。ただ、同論文はあくまでクロスセクション分析であり、個々の国の経済改革プロセスを精査している訳ではないでしょうから、より詳細な分析が必要なのは確かだと思われます。