せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

光は影の影は光の

2009-03-23 16:25:24 | テイルズ
光と影だと思った。
影を纏った彼は黒い光に包まれていて、光を纏った私は白い闇に纏われていて、交わらない線を永遠に辿っていたのだと、気付かされる。私が忘れようとも何度だって私の前にその事実を突きつけて、"私"は"私だったもの"を殺せと囁く。それは間違いなく私で、けれど私とは全く違う形をして、違う思考を持った、別のもの。
気付くのが遅すぎた。―早かったのかもしれない。永遠に交わらないと知っていて望んだのは間違っていたのかも、しれない。

「泣かないで、」

霞む視界にもがき苦しむ闇を映して、震える手を伸ばす。体中の傷からマナが抜け落ちて希薄になった手でその頬に触れると、夕日と朝日が揺れた。泣いてなんかいないのに、泣いていると思ったのは何故なのだろう。触れる頬はつめたくて、やっぱりそれが"私"らしいと感じて微笑んだ。その手さえも闇に取られてしまって、私の右手はみえなくなった。

「…泣いてなんかない」

消えてしまった右手を払い除けるようにして、"私"は―ゲーデは顔を背けた。嘘だ。だって、貴方はそんなにも泣きそうで、悲しそう。何度も触れてはマナを吸収して影は光に近くなっていくけれど、"私"自身の闇に喰われて、その光はすべて影になってしまった。私が光をあげられるのも時間の問題で、―きっと"私"はそんな事、気にもして無いのだろうけれど。
ふと、ゲーデが胸の辺りをぐっと掴んだ。泣きそうな目をして、私を睨みつける。

「…どうした、の」
「お前を見てると、苦しく、なる」

ゲーデは、泣かない。泣いて笑って怒って、世界と遊ぶ私とは違って、ゲーデは泣かない、笑わない、怒らない。憎んで恨んで妬んで、苦しみをぶつけるだけ。なのに、ろくに見えもしない視界からは瞳に涙を溜めた"私"が見える気がした。私を見て泣きそうになるのは憎いからなんだろうか。悲しいからなんだろうか。それを汲み取れない自分がいやで、目を伏せる。

「…痛い」

虚空に反響して、ゲーデの声が幾重にも聞こえた。嗤うわけでもなくて、哂うわけでもなくて、私は笑う。微笑む。泣きそうなゲーデの顔が霞んで見えなくなって、私は世界に溶け込んだ。
願わくば彼に、

―――
(無題)

失敗作です\(^O^)/
愛情、激情、劣情の続きを書こうとしたものorz