せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

水子

2009-02-09 23:35:52 | 小説
死ぬ前には生まれていて、生まれる頃には死んでいた。
どうしてだったかわからない。ただ混沌とした意識の中「生きている」と実感する頃には、幾度となく動かせもしない身体に衝撃が走っていた。呪いのように女は「死んでしまえ」と繰り返しながらオレサマを殺そうと、何度も自分で自分の腹を蹴り上げていた。中からでは見えないその行為は、今から思えば傍観者にとって滑稽でしか無かっただろう。そんな醜態を晒してまでオレサマを殺したかった理由などわからない。わかりたくもない。
意思を持つのは悪い事じゃない。ただオレサマの場合は生まれ方が、ただの少しも愛す事なくオレサマを殺したあの女への殺意から生まれたのが悪かった。生まれた時は深い深遠の底に沈んだ意識が、殺せ殺せと耳元に囁きかける。気付けば人を呪い、壊し、魂を喰い…あの女より、酷かったかもしれない。だがそれを調べる術はもう無い。
大体あの女はもう、殺してしまった。

「軽蔑しろよ、俺を。復讐じゃ飽き足らずに何十人も、…何百人だって殺した。そうすればお前を閉じ込められるんだ、否定しろよ、早く…!」

そこまで聞いておいて、アハトに似た男は嘲笑にも似た様子でオレサマの話を無視した。著しく顔を歪めたのが自分でもわかった。この男は嫌いだ、とても。

「それで、結局お前は…寂しかったんじゃないのか?」
「ハッ、オレサマが?馬鹿げた人間だな、テメェは。悪魔が寂しいなんて言うとでも…!」
「俺にはそう見えるけどな」


―――

もう…いい…wwwww
初めてなんか「そういうジャンル」に入るやつを
演じた時を思い出しながら書きました。懐かしいw