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「五重奏」 アンヌ・フィリップ 晶文社

2006年01月19日 | 読書記録
作者紹介
アンヌ・フィリップ…1917年、ブリュッセル生まれ。
51年、俳優のジェラール・フィリップと再婚、59年に夫が急逝し、その3年後に夫の生と死をめぐる手記「ためいきのとき」を発表、フランス文壇の脚光をあびた。
その後、本格的な作家活動を開始。

@感想@

パリのアパルトマンに一人で暮らす中年女性と、彼女の部屋のそばに引っ越してきた三人家族、三人家族のお父さんの愛人…若い女性…の交流を描いた小説です。
この本を読んでいると、三人家族と、この中年女性は、アパルトマンの中庭を挟んでお向かい同士に住んでいるようです。互いの部屋の窓から、互いの部屋の中が見えるようですから…。
主人公は、夫を亡くし、子供二人も既に成長し離れて暮らしており、孤独に暮らしているのですが、一家との交流に、とても温かいものを感じ始めます。
そのうちに一家のお父さんが若い女性を作って、その関係も微妙なものになるのですが、状況が変わっても(その若い女性を含めた)5人の友情は変わらず、お互いがお互いを大事に思いあっている関係、を維持してゆきます。
普通に考えると、お父さんが愛人作った時点でみんなテンでバラバラになるのが普通な気がしますが、こういう友情関係っていいものだな、と思いました。
相手に落ち度があっても、関係を維持できるか。(浮気を落ち度と言うかどうかは別問題として)
大人の、成熟した人でなければ書けない小説なんだろうな、そんな感想を持ちました。

この本の表紙のデザインが好きで、写真を載せたかったのですが、見つからず残念。文字だけで、絵はありませんが、文字の形が面白い、(私から見たら、だけれど)センスのいい表紙です。


コメント
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