Elevenses Laboratory

爬虫類・蟲系ぺっとぶろぐ

What is the "pet" ?

2007-02-09 | ペット徒然


 人間社会の近代化に伴って発生した『ペット』という概念は、今なお極めて曖昧なものだと私は考えている。
 ペットとは何かと人に問えば、「掛け替えのない相棒」と答える人もいるだろうし、「家族の一員」と答える人もいるだろう。私の知人には、「自分にとっての一番の理解者」とまで断言する人もいる。
逆に、人間同等の思い入れまで抱かない人たちだって勿論いるはずだ。クリスマスに振舞う予定の七面鳥も、その時期までは飼育者からしてみればペットなのかもしれない。

…要は人それぞれなのだ。



 では、私にとってのペットとは一体何なのだろう?



 私は動物全般が好きな方だが、飼育の対象として選んできたのは昔から爬虫類・昆虫類だった。これらの生き物たちを飼い始めた切っ掛けといったものが思い出せないので、恐らく物心付いた時から両爬が好きだったのだろう。

 しかし彼らは、犬や猫のように人間に懐くということがない。警戒心の強い個体が環境によって人に慣れてくることはあっても、飼育者を慕い、一緒に遊ぼうと擦り寄ってくることは皆無といってもよいだろう。イグアナくらい知能の高い爬虫類になると話は変わってくるとも聞くが、大抵の爬虫類や全ての昆虫類にとって、飼育者の愛情は一方通行でしかないように思う。
 正直、「自分にとっての一番の理解者」とは程遠い連中なのだ。




 では、そんな爬虫類・昆虫類を飼う楽しみとは一体何なのだろうか。

 その楽しみの一つは恐らく、彼らが持つ『野生の本能』だ。
自分の力で寝床を確保し、自分の力で獲物を仕留め、それを喰らい脱皮して大きくなる。そんな彼らの野性は、見るものを飽きさせない魅力を秘めている。愛玩動物としてペット化された生き物は決して発揮することのない逞しさを、彼らは持ち続けているのだ。
種が生存の知恵として獲得した鮮やかな体色や特異な形態も、そんな魅力の一つとして数えられるかもしれない。

 もう一つは『非日常との同居』だろうか。我々日本人は普通の生活をしている限り、外国産のヘビや毒蜘蛛たちと日常的に接点を持つことはない。私達にとって彼らは全く未知の生物、ファンタジー世界の住人なのだ。そんな不思議な生き物を自室で飼育し、間近で観察する…。なんとも心躍る生活ではなかろうか。

 両爬飼育は、餌代や設備費等、何かと費用のかかる趣味である。しかし、ふと動かした視線の先に両爬がいてくれるだけで、それら出費や労力も報われてしまうのだ。
 ……まぁ、ここらへんが一般の方々に理解されないところでもあるわけだが。



 ここまで書いてきて、段々と私の中のペット観が纏まってきた。

 ペットに対する私の見方は、ショーケースの中に自作の模型を飾って眺める感覚に近いかもしれない。つまり、私は彼らの持つ生態そのものを日々観察していきたいだけなのだ。テラリウムなどで俗に言う「環境を飼う」という概念に、カタチこそ違えど似たような所があるかもしれない。ケージという空間の中で発揮される彼らの本能の行動を、ケージの外から手を加えつつ静観していく。そして、彼らが日常の中で餌を食べ、水を飲んでいるだけで、私の心は満たされてしまうのである。





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