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イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

篠塚高(No.9) -11

2013年05月28日 18時05分30秒 | 高橋美由紀

健康面では或る一点を除いて問題はなかった。その問題点とは女性としての当然の事象である。女性らしい肉体に変容しつつあったが肝心の初経(初潮)は起こらず、第二次性徴を迎えても兆しすら無く問題視されていたが、任務の為には“女性”である必要などないという愚かな考えを有していた為、いっそ女性化の要因を排除したいと思っていた。しかし、周囲に反対され口には出さないが不満だった。慎悟と出逢って想いをぶつけられ自覚するのに時間が掛かったが口づけされ彼に対する恋情の炎が心の中に燃え上がり、予期せぬ初経を迎えて激しく動揺する。しかし、一方的な別れを秘めての性行為を経て愛する人を「No.9 ムサシ」としても信頼を寄せてくれたのを裏切った罰か、無月経に陥るも疼きに苛まれるようになり、慎悟を捨てた罪の代償は付き纏った。2年後に再会し己自身の罪を悔い改め、慎悟と彼の愛を受け入れた直後、漸く月経が再開されたのだった。

女王蜂のように最初から「No.9」として養育され厳しく組織の命に従うよう教育された為、鍛え上げられた精神力や戦闘力を支えるには心の成長が追いつかず、自他共に己自身の内面を知らずに人間性を欠落したまま13歳で「No.9」としてUB日本支部での研修に就いた。赤ん坊から老人までメンバーが揃っているという組織の構造上、13歳でUB日本支部の頂点に立つという異常さは篠塚自身の人生を根底から犠牲にしている点を浮き彫りにしている。勿論、いきなり任務などというタワケたことは絶対にない。日本支部内部で研修を受けるのは必然であり、正式な「No.9」としての認定と正規の活動は15歳を迎えてからである。

この15歳という年齢でさえ本当ならば全然早すぎるのだから。10歳や13歳で偉そうにふんぞり返るクソガキなんぞ出る幕はない!当たり前だ。10歳未満のまだ体が未完成のガキが大の大人の戦闘員を倒すなど夢のまた夢であり、実際に戦おうとしても逆に倒され、レイプされた挙げ句に処刑されるのがオチである。現実は厳しいのだ、絵空事にあるような10代前半のガキが海千山千の大人を倒すなど絶対にない。ガンダムシリーズの強化人間じゃあるまいし!どんなに鍛錬を重ねようが才能に恵まれようが、ガキはガキだ。

物心つかぬ頃から調教され、自身で「UB」メンバーとしての道を選ぶか否かの選択権を剥奪されて洗脳された傀儡である。そういう点では、「煌龍」の傀儡である結城(張)と鏡像のような存在だと言えるだろう。自身というモノがなく、微塵も自身の意思では生きていない。任務遂行しか頭になく他者との関わり合いもその為だけの浅いモノであり、風のように現れては切ない想い出を残して去っていくという繰り返しだったが、慎悟との出逢いが重大なる転機を齎す。


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