イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

玄椿 くろつばき -02

2012年10月01日 00時30分49秒 | 白泉社

恵慈:それが一変するのは大平洋戦争だ。15歳で中学を卒業し義務教育を終えるまでは舞妓にはなれなくなった。15なんてのは女にとってはもう子供じゃない。身長の伸びも止まり胸も腰もふくらんだ大人の肢体(からだ)だ。しかも、戦後の食生活と生活様式の欧米化で日本人の体つきまで変わっていった。平均身長は10センチ以上伸び、顔は小さく肩は張り手足は長く、これは和服の似合う体形じゃない。その外国人擬(もどき)の大人の体で舞妓(こども)をやるんだ!つまり君に限らず現在(いま)の舞妓は全員不自然なんだよ!しかし…だ!だからと言って、これが京舞妓の実状なんだから受け入れるしかない。全部が不自然というなら、それで「自然」だ。この京から舞妓を無くす訳にはゆかないのだから。そのためには背が高すぎるからと、せっかくの貴重な舞妓志願者を失う訳には…な。この将来(さき)きっと君みたいなのはもっと増えるだろうし。
乙女:恵ちゃん、ほな…。
摩歩:…じゃあ。
胡蝶:おおきに、恵兄はん。よかったなァ、摩歩ちゃん。

摩歩:(あたしはべつに舞妓でも芸妓でもかまわないんだけどな、最終的に胡蝶さん(このひと)みたいな女性(ひと)になれるんなら。…つまり基本的に舞妓さんてのは幼く可愛く見えるべきで、そのために小さく華奢な方がいいんだ。背…かァ今更縮めないしなァ、人間って小さい人を大きく見せる工夫はいくらでもできるけど大きな人を小さく見せるのは難しいってきいたことがある。でも、今のあたしに芸妓さんってのも無理があると思うけど…。)


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