『玄椿 くろつばき』
第5巻
-舞妓試練-
摩歩:(さっきの唐糸ってコもそうだったけど、この2人も大体平均…かな…とゆーことは。胡蝶さんは平均よりちょっと低め、女将さんはもっと小さい、でも丸い。このおじさんはずい分な長身で…この場合男は関係ない…か。)
胡蝶:…摩歩ちゃん。あんた、身長何センチあるのん?
摩歩:高校に入った時の検診で確か173センチ。多分、あれからもう少し伸びてると思う。
胡蝶:私(ウチ)が155センチやさかい…20センチも差ァがある訳やな、えろう大きいなァ。
乙女:ひえっ。ほな日本髪結うて、花かんざし挿したら180越えてまうな!おこぼ履いたら190以上や!!
恵慈:デカすぎる。ううむ、こりゃあ舞妓通り越して芸妓で店出しした方がいいかな?
摩歩:背が高いと舞妓さんになれないの!?
胡蝶:恵兄はん。
恵慈:現在(いま)はそーゆーコトでもないが…できるなら小柄の方が望ましい。
摩歩:どーして!?
恵慈:子供は小さなものだろう?
摩歩:(子供…?)
恵慈:昔の舞妓は本当に子供がなったんだ。普通八ツ九ツで仕込み(おちょぼ)に入り、11・12歳で座敷に出る。早いのは9歳なんてのもいたっていうからな。
摩歩:(8歳!?11歳!?)…まだ小学生だ!!
恵慈:そうだ。まだ肩上げや腰上げした着物を着てるような完全な子供だ。現在(いま)でも舞妓の衣装(しかけ)の肩と袂が普段着(からげ)でも肩がつままれているのは「舞妓(わたし)はまだ子供です」という表現(いみ)だ。その舞妓の体が段々と大きくなって、えずくろしくなる頃「衿替え」して芸妓になる。これが16・17歳だ。
摩歩:…じゃあ、今のあたしくらいでもう芸妓さんだったんだ!!あたしくらいで、あんな色っぽいカッコしたの!?「えずくろしい」って何?胡蝶さん。
胡蝶:「えずくるしい」とも言うえ。「基準に合わんよおなる」意味や、この場合は「舞妓姿が派手で似合わんよおになる」ゆうコトやな。
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