イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

心なき生体兵器の“女”を真に支配する愛の力

2012年09月30日 04時20分56秒 | 高橋美由紀


橘慎悟という奇蹟の存在に愛されなければ、篠塚は“鏡”の元に下り隷属していたに違いない。篠塚も結城も組織に従うよう調教され、人生を破壊され傀儡として育ったという双児的存在だった。しかし、見えざる何かの導きか、篠塚を人間として留める“愛”が彼女に齎された。



「煌龍」の総帥にして世界の支配者と自身を結城にセックス奉仕するメス奴隷兼下僕が篠塚の在るべき姿だと定義し、それを強制することを当然として彼女を狙うことに結城は疑問も無く行動する。しかし、それは篠塚が機械人形だった過去ならばあり得たかもしれないという無意味な幻想である。確かに、慎悟を愛し彼に愛される至福を得なければ、慎悟と出逢わなければ辿っていたかもしれない。しかし、めぐり逢い、愛し合って喜びも悲しみも分かち合って慎悟と生きる道を歩む今となっては“幻”に過ぎない。



『キルトS(セカンド)』の〈西の守り〉編で、白の鎧の力でモンスター化した少女。感情も無く凍りついた表情で、キルト(泉切人)の仲間を殺そうとする。4人の「守り」の中で唯一裏切らなかった慶吾の転生体の槍蔵圭吾だが、死すべき定めを捻じ曲げて妹の志穂をモンスターに変えてしまう。彼の弱い心がモンスター化した姿かもしれない、そしてキルトの醜い弱さの具現でもあるのだ。


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