イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

人形屋敷の謎

2014年06月02日 16時34分49秒 | 白泉社

『嘘解きレトリック』
都戸利津(みやこ・りつ)



花とゆめコミックス 第3巻

出版社からの画像提供が遅れていたが、6月1日に漸く画像がupされた。

九十九夜町九十九番にある「祝探偵事務所」。

頭脳明晰なのにダメ人間である貧乏探偵の祝左右馬は大家に家賃をまけて貰っているものの遂に夜逃げを決行! 助手の浦部鹿乃子は列車に乗っているのは仕事だと思っていたが、知らずに夜逃げに同行させられていることを知り真っ青になる。ダメ人間だと知っていて左右馬とのほほん生活を送っていた自身に彼を責める資格はないと自覚し、何とかしなくちゃいけないと思うも妙案は浮かばなかった。車中での泥棒騒動で左右馬の友人である端崎馨の姉で雑誌『心霊・怪奇「魔境探訪」』の記者の雅に出会う。よく似た姉弟で一目で血の繋がりがわかる容貌である。取材で荷物持ちをすれば家賃を出して貰えるという餌を鼻先につり下げられ、同行した先で「人形殺人事件」に遭遇した。

人のウソがわかる能力ゆえに疎まれ郷里にいられなくなって逃げて来たのに、その力を過信して鹿乃子は腐った思考に陥ることが多々ある。双子じゃないという品子の言葉を自身の能力で真に受けるが、嘘を言っていないだけで事実ではないということが鹿乃子にはわからなかった。双子じゃないという言葉には「1人」ということと「3人以上」という2つの意味がある。

「その場しのぎと過保護が過ぎるわよね」
→ 端崎雅

綾尾夫人は自身も双児の姉妹として生を受け親族に強引に養子にされた際、それを拒絶した母親を養父となった男に階段から突き落とされて殺され、母親に抱かれていた姉をも失った。母と姉を殺された記憶は夫人の心に深く刻まれ、生まれてくる我が子が1人ではないと分かった途端に夫人は恐怖に襲われてしまう。やがて三つ児の姉妹が生まれるも夫人の心情を慮った綾尾氏により1人の娘として扱われ、そんな両親に言われるままに三つ児は「品子」という1人の娘を演じて三人一役を続けた。しかし、両親の海難事故による死から2年後、人形のお膳の食事が減るのは台所に出没するネズミが盗み食いしているからではないかと考えた女中の柴田イネが食事に殺鼠剤を混ぜ、そうとは知らずに3人の「品子」の1人が毒で死んでしまった。その直後、滝で転落死体となって発見されたイネは自殺したと警察に処理されたが、人形の祟りだと戦いた彼女は兄に共謀して盗んだ人形を元に戻そうとして兄に殺されたのだった。

改名やら新しい生活に戸惑いつつ各々の人生を歩み始めた2人の品子は、新しい名前で、新しい心で死んだ姉妹の分も生きてゆく。


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