3月23日(火)

ときどき
昨日は、中学校の卒業式でした。
卒業生を祝福するかのように、校庭の桜も咲き始めていました。
ご卒業おめでとうございます。
いつも初等の子どもたちを、あたたかく見守って頂き、ありがとうございました。
おはなし会で読まれた本を、定例会で話された内容とともに、紹介いたします。

学年末おはなし会プログラム

「けんかのきもち」(絵本)
こうたとケンカして負けてしまった、たい。
くやしくて、家に帰って、お母さんのひざで泣いても泣いても、泣きたい気持ちが終わらない。
こうたが謝っても、「ケンカの気持ち」は収まらない。でも、美味しい餃子を食べたら…。
(柴田 愛子/著、伊藤 秀男/絵、ポプラ社)
子どもの喧嘩は、優しく見守ってあげましょう

。
もともと子どもの世界は理不尽な事ばかり。
そこに下手に大人が介入したら、かえってややこしくなったりしますよね。
美味しいものを食べて

、ぐっすり眠れば

、もうケンカの気持ちは収まっているものです。
6年生卒業おはなし会で読んだ「ぜっこう」と一緒の「あそび島」シリーズのひとつです。

「ウグイスホケキョ」(絵本)
春の山で、ウグイスの子どもが鳴き方の練習をしています。
シジュウカラやメジロの上手な鳴き声を聞いて、みんなにおいつこうと、「ホーホケキョ」と、上手に鳴けるまで頑張ります。
(三宮麻由子/文、飯野和好/絵、福音館書店「ちいさなかがくのとも2010年3月号」)
春の山で、ときどき、下手くそなウグイスの声を耳にすることがありますが、これからは、「ウグイス君!がんばれ~!」と応援したくなる、そんな絵本でした。
子どもたちも、なかなか上手くならないウグイスが、最後に上手に歌えたときは、(やった~!)といった顔

をしていました。ホントに、みんなかわいい~です。
作者の三宮さんのコメント
「この本を通して、子どもたちに、人が見ていなくても、結果をおわずひたむきに努力する気持ちを、ウグイスと一緒に育んで欲しいと思います」
三宮さんは、幼くして、視力を失いました。エッセイスト、絵本作家として活躍されています。
鳥の声を見分けられ、鳥の鳴き真似も上手な三宮さん、日本オーディオ協会から「音の匠」という称号を授与されているのです
三宮さんならではの素晴らしい「音」の描写を、ぜひ他の作品でもお楽しみください。
エッセイもお薦めです。

「でんしゃはうたう」(絵本)←お薦め

以前、低学年で読み聞かせしました。

「おいしいおと」(絵本)ご飯や春巻きを食べるときの音は?

「おでこにピツッ」(絵本)いろんな雨の音がきこえるよ

「そっと耳を澄ませば」(エッセイ)←エッセイスト・クラブ賞受賞作品
3年生は、聖書の時間に、盲人に対するエチケットや、点字を習ったようですね。特に、雨の日は、杖をついて歩いている目が不自由な方に出会ったら、そっと手をさしのべてあげましょう。
眼が不自由な方は、雨の日の外出が厄介だそうです。両手が杖と傘で塞がれ、傘の覆いで、いつもは敏感に感じられる圧力(壁や障害物を独特の圧力で感じるそうです)が感じられなくなり、近づく車の音もいつもと違って聞こえてくるのだそうです。

「カチカチ山」(語り)
いたずらタヌキにおばあさんを殺され、打ちひしがれてしまったおじいさん。
おじいさんの代わりに、ウサギがかたき討ちに立ち上がります。
最後は、土の舟でブクブク…。
(こぐま社「子どもに日本の昔話③」より)
ご存じ(?!)、日本の有名な昔話、カチカチ山。
子どもたちも、タイトルコールの時点で、「知ってる~!」と声をそろえて叫んでいましたが…。
さぁ、今回のカチカチ山は…?
「カチカチ山」は、前半の婆汁のあたりと、後半の執拗な仇討ちが、残酷すぎやしないかと、いろいろと改作されたものが出ています。
最後はみんな許し合って仲良くなるのがいいか、悪いことをしたら必ず報いがあるということを残酷ながら話聞かせた方がいいのか…。
いろんな「カチカチ山」を読み比べてみるのも楽しそうですね。
番外編ですが、大人向けに…、
太宰治の「お伽草紙」の中の「カチカチ山」も面白いです

。
ウサギとタヌキを、美少女と、彼女に恋するブサイクな中年男に見立てています。
男が湖には沈みながら吐く最後のセリフが、インパクトあります。
「惚れたが悪いか」

「ダンゴムシみつけたよ」(写真大型絵本)
学校の庭でもおなじみのダンゴムシ。大型写真絵本で、直径30cmくらいになって登場!
ダンゴムシのすみか、食事、うんち、卵、赤ちゃん、脱皮…
これで、みんなダンゴムシ博士、間違いなしです。
(皆越ようせい/写真・文、ポプラ社)
「うわぁ~!気持ち悪い~!」と言いながら、身近な虫、ダンゴムシにみんな興味津々でした。
春にもぞもぞ活動しはじめるダンゴムシ。
制服のポケットに入っていても、怒らないであげてくださいねぇ~

「女トロルと8人の子どもたち」(絵本)
手のひらに羊がのっかってしまうほど、大きな大きなトロル。ある日、女トロルが男トロルに恋をして、8人の子どもを産みました。女トロルは、8人の子どもたち全員にたっぷりお乳を飲ませ、たっぷりの愛情を注ぎます。大きくなった8人の子どもたちを父親に会わせたくて旅に出ますが…。
(グズルン・ヘルガドッティル/著、ブリアン ピルキングトン/絵、偕成社)
妖精とトロルの国、アイスランドのお話。
トロルと言うと、「三匹のヤギのガラガラドン」のように、悪さをするトロルを想像してしまいますが、こちらのトロルは、醜いけれど、優しいお母さんトロル。そのおおらかさ、たくましさが、挿絵からも、ストーリーからも溢れ出ていて、素晴らしい作品だと思います。
岩が転げ落ちたら、トロルが掃除をしたということ。火山が爆発したら、トロルが料理をしたということ。地震が起きたら、男トロルと女トロルが愛し合っているということ。山から白い川が流れてきたら、赤ちゃんトロルがたくさんお乳を飲んだということ。
火山活動が盛んで、日本に似て地震の多い国アイスランド。溶岩大地には、コケや草が生えているだけで、自生する木はほとんどないそうです。
トロルにまつわるアイスランドの言い伝えから、そんなアイスランドの自然をも、子どもたちは想像できたのではないでしょうか。
女トロルが、愛おしい8人の子どもたちに、愛情たっぷり、それぞれに呼びかけるシーンがあります。子どもたちは、ちょっと照れてるような感じでしたが、みんないい顔で

聴き入っていました。
以上、2009年度のおはなし会は、これにて、無事終了しました。
みなさん、聴いてくれて、ありがとうございました
また、来年度も、よろしくお願いいたします。
(文責:S)