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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

『いじめと戦おう!』玉聞伸啓

2012年07月16日 | 日記
著者自身が、いじめっ子といじめられっ子を経験。

いじめの「しくみ」が、子どもにも分かりやすく書かれています。

いじめをどのように克服したか、多くの体験談も載っていて、参考になります。

著者は、いじめっ子を改心させるのは難しいし、無理だと言っている。

私も、残念ながら、そう思う。

大事なのは、いじめを見たら、周りの人がどうするか。


仲間外れを怖がって、いじめられていると言えない子ども。

仲間外れを怖がって、いじめに加担する子ども。

仲間って、怖いときは怖い。


「集団になるとねぇ…」と、それで終ってしまっている親が多い。

ならば、その集団心理とやらについて、大人がよく理解しておいた方がよいかと。
子どもの世界のことだけではないのだから。

世の中を驚かせる大きな事件は、意外にささいなことから発生することが多いものです。集団効果でその問題を大きく発展させることのないように、一人ひとりが集団心理 の特性を理解しておくことが、大切なリスク管理につながるのではないかと思います。

【いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ】より
http://allabout.co.jp/gm/gc/395998/

『広い海へ出てみよう』さかなクン/『立ち向かわなくてもいい』松井秀喜さん

2012年07月12日 | 日記
「広い海へ出てみよう」東京海洋大客員助教授・さかなクン


 中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。
 でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。

 広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

 中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。

 ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。

(朝日新聞2006年12月2日掲載)


「立ち向かわなくてもいい」大リーガー・松井秀喜さん

 君は、無理して立ち向かわなくていいんだ。
 学校やクラスにいても楽しくない。仲間にうまく入れない。それなら、それで、別にいいんじゃないかな。だれかがつくった世界に君が入らなければいけない、ということはないんだよ。

 それより、君には、居心地のいい場所で、自分の好きなことに夢中になってほしい。何かに没頭(ぼっとう)することによって、いやなことが気にならなくなることって、あると思うんだ。逃げるんじゃない。自分から好きな世界を選ぶんだ。その中で同じ夢を持った友だちに出会うこともあるだろう。新しい仲間ができるかもしれない。

 ぼくは小さいころ、体が大きいだけでなく、太っていた。それを悪く言う友だちがいたかもしれない。ぼくはまったく気にならないタイプだからコンプレックスを感じることもなく、ただ大好きな野球に没頭していた。そのうちに、自然と体も絞(しぼ)れてきた。もちろんいい仲間とも、たくさんめぐり合うことができた。

 だから君にも大好きなことを見つけ、自分の夢を持ってほしいんだ。スポーツが好きな人もいれば、音楽が好きな人もいるだろう。何かを書いたり、つくったり。見ることでもいい。どんなことでもいいんだ。大好きなものに出会えたら、それを大切にして欲しい。

 君をいじめている人がいるとしたら、その人もきっとつらい気持ちでいると思う。だって、人をいじめることが夢なんて人はいないはずでしょう。いじめは夢の遠回りなんだ。その人にも、自分の夢を早く見つけて欲しいと言いたい。後悔(こうかい)するような時間は、短い方がいいからね。

 だから、いま君が立ち向かうことはないんだ。

(朝日新聞2006年12月6日掲載)


アサヒ・コムより
http://www.asahi.com/edu/ijime/