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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

★2011年度★第7回お昼休みのおはなし会

2012年02月23日 | 日記
お届けしたお話は、この3つ。

①『これはおひさま』谷川俊太郎:文/大橋歩:絵
 
ことば遊びの絵本。積み重ね歌。
 
「これは おひさま」
「これは おひさまの したの むぎばたけ」
「これは おひさまの したの むぎばたけで とれた こむぎ」
…と、続いていきます。
 
読み始めたときの子供たちの反応は「あっ!『のみのぴこ』みたい!」でした。
谷川俊太郎さんで有名な「これはのみのぴこ」の別バージョンといえます。
 
「これは、お日さまの下の小麦畑で採れた小麦を粉にした小麦粉を捏ねて焼いたパンを食べるあっちゃんのお腹の中に飲み込まれたミルクを出した牝牛のいる牧場の上のお日さま」

最後は、また「おひさま」に戻る。実は、太陽エネルギーを始点とした物質循環の流れが秘められている深い内容なのです(なんてね)。単純に楽しめる絵本でございます。

子どもたちから、「今、『なか』が抜けたっ!」と指摘を受けました。さすが!よく聴いてますね(笑)

大橋歩さんは、大好きなイラストレーターのひとり。暮らしぶりやファッションセンスに憧れて、イラストいっぱいのエッセイ本をよく読んだものです。この絵本を見つけたのは、かれこれ10年以上前、実家の近所のパン屋さんで。「谷川俊太郎×大橋歩!貴重だわ…」ということで、Amazonで中古品を手に入れましたが、いまや高値になってしまって…4000円~5000円台。よかった安いときで。この絵本が、こどものとも年少版として発行されたのは、もう30年前。当時定価220円なり。

ファッション誌に載っていた大橋歩さんや西村玲子さんのイラストが大好きで、よく切り抜いたりしてました。あ、今も好きです、もちろん。


②「にんげんごっこ」木村裕一:文/長新太:絵
人間のバスが走るようになったある森でのお話。森の動物たちは、人間が住む街の様子や暮らしに興味津々。そこへ、人間と暮らしたことのあるノラネコの「のら」がやってきて、得意げに人間について話し始めます。聴くだけじゃわからんだろ?ということで、皆で人間の暮らしを実際に体験しようと、「にんげんごっこ」を提案。のらが仕切って、動物たちを人間界のいろんなものに見立てていくのです。シマウマは横断歩道の役、キリンは踏み切りの遮断機、アリクイは掃除機に、そして、人間生活に欠かせないトイレの役をさせられたカバなどなど…。
さてさて、動物たちが人間の生活について抱いた感想というと…。

中でも、学校の教材、地図にされてしまった牛には、子供たちも大爆笑でした。

「あらしのよるに」で有名な木村裕一さん(キム兄ではありません)の、楽しい動物のドタバタ話は、いつも子どもたちに大ウケです。「ゆらゆらばしのうえで」「どうする、どうする、あなのなか」もお薦めです。


③「かかしのペーター」バーナデット・ワッツ:作・絵

広大な小麦畑に立っている案山子のペーター。農場の子供たちはペーターが大好き。子どもたちはペーターの周りで遊び、マフラーを巻いたり手袋をしてくれます。しかし、刈り入れが済んだ小麦畑に取り残されるペーター。風雪にさらされ、倒れてしまっても、それでも、思うのは大好きな子どもたちの事。立ち寄る動物たちに「子どもたちは元気にしているかい?」と尋ねるのです。季節がめぐり春がきて、子どもたちはペーターを見つけ、野菜畑へ連れて行きます。また一緒にいられると、ペーターは嬉しそう。農家の家族の一員として招かれたよう。望んでいたように、これからはずっとペーターは子どもたちと一緒にいられるはず。

案山子と農家の子供たち、そして動物たちとの、暖かい心の繋がりのお話。

案山子にも心がある。こうした汎心論的(あらゆるものが心的な性質を持つ)な感情は、子供たちは大概持っているもので、大人になるにつれて薄れていく。物を物質としか見れなくなってきてしまう…、どこか寂しいきもしますな。

倒れてしまった可哀そうな案山子が、これからいったいどうなってしまうのか…と、心配そうに聴いていた子どもたちも、最後は幸せな案山子を見れて、ホッと安堵した様子でした。

バーナデット・ワッツが、巡る季節を優しいタッチで描いていて、主人公案山子のペーターの表情も愛らしく、ストーリーにマッチしていて、とても素敵な絵本です。ぜひ、寒い夜に、心温まるお話として、どうぞ~。

バーナデット・ワッツは、グリム童話、アンデルセン童話、イソップ童話の絵本のイラストを多く手掛けています。



今日、W先生に「ブログ読んでますよ~」とお声をかけて頂きまして、恐縮至極…(汗っ)。
「いかん、いかん、最近は、ほとんと私物化してしまっており、気まぐれに気になった本について書いておりましたが、メインの本の会の活動であるおはなし会を載せなくては…」と、さっそく記事にしてみました。そうです、文責はすべて、私(S)にあります、どうぞ、ご容赦を~。

来月、機材を拝借します、よろしくお願いいたします。諸先生方には、いつも本の会の活動への温かいご理解とご協力を頂きまして感謝申し上げます。ありがとうございます。

2/15『子育てに役立つコーチング』講座

2012年02月17日 | 日記
コーチングの藤田潮先生をお招きして行われました「子育てに役立つコーチング」講座。

先生の楽しいお話の数々に、会場は始終、笑いの絶えないにこやかな雰囲気に包まれました。

聴きあう際のコツや、自分自身の今を見つめ直すことなど、包括的にさまざまなお話をしていただきました。

皆さまと有意義なひとときを共有できましたことを嬉しく思っております。
参加者の皆さまには、寒い中、足をお運びいただきまして誠にありがとうございました。

謹んで御礼申し上げます。



・母親は「北風と太陽」のお話にあるような「太陽」の存在である。⇒笑顔で!
・「聴く」ことは、「耳」と「目」と「心」で、相手を受け入れること。
・「ほめる≒みとめる」⇒認めると伸びる!
・「ペーシング、うなづき、うながし、繰り返し」…聴くにはコツがある。
・「リフレミーング」…人の短所も角度を変えれば長所になる。
・「ライフキャリアレインボー」…人生の20~40代は、子、親、市民、社会人など、多くの役割を担う世代。自分に期待される複数の役割をバランス良く統合して自分らしい生き方を展望し実現していく考え。

などなど…。

いくつかのキーワードをご紹介いただきました。

「他人と過去は変えられない、変えられるのは今の自分、未来の自分」

子育てだけではなく、自分のあり方など、よりよい人間関係を築いていくためのヒントをたくさん頂戴しました。

さっそく、日常生活で、実践していきたいと思います。

『感じない子ども こころを扱えない大人』袰岩奈々:著

2012年02月09日 | 日記
子どもも大人も「感情」を上手に扱えなくなっている。特に怒り、落ち込み、不安といったネガティブな気持ちに対応ができない。このことが学級崩壊や少年たちの衝撃的な事件を生んだり、大人の社会でもさまざまな困ったコミュニケーションをひき起こしているように思える。かつて家族のなかで自然に行なわれていた、気持ちを取り扱うための訓練―これからは教育の場で、家庭で、意識的にこころのトレーニングをしなくてはならない。子どもたちの発する気持ちのSOSにどう答えるか、大人の感情トラブルをどう解決するか、実践的なこころの扱い方読本である。(「BOOK」データベースより)




読後の感想は、ひと言「言葉って難しい!」だ。

著者主催の研修会や、カウンセリングでの実例が多く載っているが、同じ言葉がけでも、子供によっての受け取りかたが違う。

「大人が自分の気持ちに気づく練習問題」や、最終章「大人が子どもと話すための練習問題」はなかなか楽しかった。たまには、こういう心理学っぽいテストも良いものだ。

自分がこれまでで一番嬉しかったこと。辛かったこと。悲しかったこと…。自分の「気持ち」を表現するのが、いかに難しいか。語彙の少ない子供なら、なおさらだ。

親も似たように実感した経験と自分のときはどうしたかを話してあげる方が有効だという。そのためにも、まず、自分の気持ちを整理しておくというのだ。

しかし、全部鵜呑みにして、マニュアルとおりにやるのも危険。

自分の子どもの気質(性格)を、まずよく知っておかないといけない。


以下、この本の受け売りですが…自分なりのまとめ(笑)

乳幼児は、「快-不快」が心の動きのベースになっている。

幼児期は、さらにそこに「善-悪」が加わり、小学校入学以降では、知識を得ることを中心とした「正-誤」の世界が広がっていく。しかし、現代では、幼児期からの早期教育でいきなり「正-誤」の世界に入ってしまう。

「快-不快」についてじっくり味わい、感情への対処方法を学ばず、「善-悪」も飛び越して、情緒的なものをたっぷりと体験することが妨げられて、いきなり「正-誤」。

幼児期に存分に「快-不快」を味わい、自分なりに不快な感情やネガティブな感情を持ったときに、その切り抜け方を編みだすことや、気持ちのコントロール法を身につけることはとても大切。

ギャーギャー叫び不快感丸出しになったとき、多くの子どもは、親から与えられるお菓子やオモチャやお子様向けテレビ番組でごまかされてきたことだろう。

それは、親にとって、その子のネガティブな感情に長々付き合うより、楽だからだ。放っておいて、自分で解決させることも大事。「我慢」や「嫌なことでもやらなければならない」ということが育たなくなる。

そういったごまかしを繰り返し、楽してきた親ほど、感情のコントロールのきかない少年期の子供に手を焼く。

気持ちを言葉にするのが、苦手なのは子供だけじゃなく、大人もしかり。

子供だけではなく、大人自身が、自分の感情を無理やり抑制したり、気持ちの扱いに不慣れ。

成果至上主義、効率第一優先の大人社会、「感情より効率」「テキパキやることが大事」「時間との戦い」を、家庭に持ち込んではいけない。

昨今の子供は、大人の都合で、なにかしら時間に追われ、やるべきことに追われ、自分の気持ちをコントロールする機会が少ない。

毎日沸き起こる「感情」「気持ち」を大事に。家族でゆったり会話する。


続編の『○のない大人 ×だらけの子ども』もお薦め。