2014年4月5日放送 美の巨人たち(テレビ東京)
フィンセント・ファン・ゴッホ 「オーヴェールの教会」
濃いブルーをバックに映える歪んだ教会。
この絵は長らく画家の悲観的な心理のあらわれと解釈されてきた。
無理もない。
題名にも含められているオーヴェールとは、画家の絶命の地なのだから。
しかし本当にそうなのか。
終の住み処となったパリ北部の農村で、ゴッホはかつてないほど精力的に作品を仕上げていった。
そのペース、70日間で70作品以上。
今回の一作は、ゴッホの画業における新たな方向性のあらわれともいわれる。
この作品が彼の集大成となってしまったことは皮肉かもしれない。
しかし見方によっては、画家の望みが遂げられた、その達成感も少なからずあったのではないか。
画面上部は夜の青。
その視線は俯瞰的。
対して下部は昼の黄。
こちらは見上げるような視点から描かれている。
撞着融合的なコントラストのなかで浮かび上がる教会の姿。
異郷にあって、教会牧師だった父のことが思い起こされる。
自らの内面においての父との和解が、臨終のときを安らかに導いた。
依然謎多きゴッホの死だが、こうした解釈も十分可能だろう。
最後に・・・
ドラマ「シャーロック」で一躍有名になった俳優ベネディクト・カンバーバッチは、BBCのドキュメンタリードラマVincent Van Gogh: Painted with Wordsでゴッホを演じている。
YouTubeでも観られるので、興味のある方はどうぞ。
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