2014年12月6日放送 美の巨人たち(テレビ東京)
レンブラント・ファン・レイン 「イサクとリベカ」
17世紀オランダ黄金期を代表する画家のひとり、レンブラント。
光と影のコントラスト(cf. "chiaroscuro")に魅せられたバロック期の画家のなかでも、彼の描き出した明暗の世界観は群を抜いていた。
彼の駆使した明暗法が、現代の写真技術にも応用されていることが、そのひとつの証左である。(cf.「レンブラント・ライティング」)
さて、そうした光と影の魔術師の最晩年の傑作が、今回の一作《イサクとリベカ》である。
画面上には明確なアトリビュートがみられないため、描かれている人物の特定に関しては、長らく研究者を悩ませていた。
作品のタイトルの変遷が、そうした長年にわたる解釈の移り変わりの有り様を如実に示している(レンブラントの時代には画家自身が作品にタイトルをつけることはなかった)。
19世紀にアムステルダム国立美術館に寄贈された当初は、《誕生日の挨拶》。
続いて、《ユダヤの花嫁》(これが、長らく正式の画題として認められてきた)。
そして、現在、もっとも有力とされているのが《イサクとリベカ》。
根拠は、画家の遺した素描。
それは、ラファエロの手になる同じ主題の作品にインスピレーションを受けて描かれたものであった。
後年、レンブラントのこの絵を絶賛した画家がいた。
ゴッホである。
彼は、同郷のこの画家の作品をみて、こう述べた。
"I should be happy to give 10 years of my life if I could go on sitting here in front of this picture for a fortnight, with only a crust of dry bread for food." (参考)
最後に、クロード・ロランの描いたイサクとリベカを。
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