旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅と写真

2017年05月10日 | 旅行一般
 若い頃に旅をしていた時は少し無鉄砲な面もあって、治安のあまり良くないエリアに入り込んだり滞在したりすることも多かったのでカメラを持たずに旅していたことが多々ありました。ある意味”金目のもの”を見せながら旅した結果、嫌な思いをして、その国を嫌いになるような事にはなりたくないと考えていたのです。それに、電子機器は水やホコリを嫌うので旅先での管理に神経を使わざるを得ません。荷物だって増えます。だから残念な事にその頃の旅の写真はほとんどありません。

 と、色々まともそうな理由はあげてみたものの、実のところは、観光地でパチパチ写真を撮って大急ぎで次のポイントへ移動していく団体観光客と自分の間の差別化の意識もありました。”団体さんとは違うんだ!自分はホントの旅人だ”と気張っていたわけで、まあ若かったということでしょう。いつも自分を他の人と比べて、なんとか大きく見せようと頑張っていたわけです。

 ”写真に焼き付けるより、自分の心に焼き付ける方が大切だ!”と、どこかで聞きかじった他人の意見にいたく影響されていたことも白状しておきましょう。

 はじめての海外ツーリングから帰国した時の事。今度は色々な人にも旅の情景を伝えたいと考えるようになって写真を撮るようにはなったのですが、カメラを持って旅にでるものの、何を撮っていいかわからないまま帰国日になることばかりで、1週間旅していてもフィルム(当時はデジカメ時代ではない)1本も撮れば、”沢山撮ったなぁ”と感じる位。

 いつしかそのまま社会人に...写真に興味はあるけれど...全然撮れないまま月日は過ぎ去っていったのでした。

 資料を作成したり、Webサイトを作成したりする材料としてどうしても写真が必要なので撮影自体はするのですが、私の写真は一向に上達することはなく、1度の旅で押さえてくる写真の枚数自体も少なくて帰国後、”使えそうな写真がないなぁ”とガッカリすることばかりでした。

  ある時、ツアーを雑誌で紹介していただけることになってカメラマンの方が同行していただけた事があります。道端のちょっとした草花や、目についたものをどんどん写真に収めていく姿に”さすがプロだなぁ”と感嘆したものの、真似しようにも同じようには題材が目に入ってこないのです。色々なことに目がいく事それ自体がプロな技の一つだと実感させられました。

フィルムカメラの頃は荷物を増やしたくないために持参しているフィルムだってそう多くないですから、撮影枚数を無意識に少なく収めようと気を配っていた面もあるのだと思います。
 
 ハッとするような場面に出会っても、自分が楽しむ事が優先してしまって、過ぎ去ってから”あっ。写真を撮るべきだった”と思うだけなのです。これはデジタルカメラを使うようになってからも変わりませんでした。

 数年前の事、ラオスへの渡航を計画していた私は当時もう一つの仕事として取り組んでいた高齢者介護の現場でラオスやタイの写真の上映会を行う事を提案したのでした。この時の旅は自分にとって大きな変化をもたらしてくれました。
 
 いつもは自分が興味を持つかどうかだけがシャッターを切るかどうかの基準だったのですが、高齢者施設を利用されている方々の具体的な顔を思い浮かべながら、その人達に何を伝えたいかとか、どう伝えたいかを考えながら写真を撮るようにしたのです。その写真を見せながらどんな説明をするかも思い浮かべながら。

 これは私にとってとても新しい体験で、タイ北部のように何度も渡航している場所で自分自身は慣れてしまっている情景についても、その情景を、全く知らない人たちに伝えるために写真に収める事は、もっとじっくり色々な事を観察する機会をもたらしてくれました。

 時には他人の視点に立ってみることが新しい発見につながるというわけです。
 
 写真そのものは....少しは上達したと思いたいですが、”あれ?せっかく念のために3枚も撮ったのにどれもピントがあってない”とか”なんだか手ブレしてて人には見せられない”という事も多いのです。とりあえず沢山の枚数を押さえる事はできるようになりました。そして何よりも、”○○さんに見てもらうために写真を撮る”というイメージを持つことで、色々な事をより注意深く興味を持って見るようになりました。新しい視点を手に入れることができたようです。

 昨年1年、旅行好きの夕べの写真上映会に使うために過去の写真を見直す機会が何度もあったのですが、2014年のタイ&ラオス路線バスの旅の下見を境に写真が大きく変わった事を感じました。

 もちろん、一番大きな変化は枚数ですが.....あとは写真がうまくなれば...。

□ 第4回旅行好きの夕べ参加者募集中□
 美味しい食事を楽しみながら他の旅人との交流と旅の情報交換をしませんか。次の旅に思いを馳せようではありませんか。
 日時 6月16日(金)午後19時~21時30分
 場所 東京 四谷 サロンガイヤール
 会費 3,500円
 詳しくは下記ページから。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/eandg/event/yube.html


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