旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

=ガイドブック考=(自由旅行のガイドブック)

2000年07月03日 | 旅行一般
 ここ数年で、書店の店頭に並ぶガイドブックのカバーする国や都市は飛躍的に拡大し、いまやガイドブックの存在しない国を探すほうが難しいくらい。むしろ、同じ国のガイドブック数冊の中から自分のスタイルに合ったガイドブックを選択するのに悩むほどの数がならんでいます。
 最近の”自由旅行向け”ガイドブックの特徴は、過去の旅行者の投稿などのデータを数多く掲載していること。ここを読んでいる人の中にもそういった記事を参考に安宿探しをしたことがある人が多いんじゃないでしょうか。ただ、ここでひとつ気をつけなければならないのは、ガイドブック掲載の情報は半年~1年以上も前の情報だということ。過去、私自身旅行していたときにも、ガイドブックを安宿のスタッフに突きつけて、”ここに1泊○○ポンドだって書いてあるからこの値段にして”などと迫っている旅行者を何度か見かけましたが、これはガイドブックを過信しすぎというか・・・・・。この場面から想像するに・・・。この次の年のガイドブックには”XXホテルは突然値上げして、従業員の態度も悪く、最低”などと書いてあったりするんでしょうね。そういう情報に縛られて旅行するのはもはや”自由旅行”とはいえない”不自由旅行”になってしまってませんか?
 ガイドブックを読んでもガイドブックに読まれるな。
 ということじゃないでしょうかね。
 確かに、最近のガイドブックは非常に各論に触れていて、情報も細かく掲載されていますが、この細かい情報をたどっていく旅って、よくよく考えたら誰かが歩いた道を辿ってるだけじゃないですかね。それじゃ添乗員つきのパッケージツアーとあんまり変わらない気がしませんか。
 そもそも、ガイドブックというのは、旅行の計画を立てる上で参考にするものであって、現地に行ったら、その場その場の状況で計画を調整しながら行動するべきものだと思います。だから、あの、分厚くて重いガイドブックを持って歩く必要はないんじゃないですかね。
 もし、あなたが今、航空券だけで海外に飛び出していこうと考えているのであれば、私の提案は・・・・。
 ガイドブックを持っていく余裕があったら、自分が行こうとしている国について書かれた本を持っていくこと、更には日本のことについてかかれた本を持っていくことだと思います。飛行機の中での暇つぶしにも役立ちます。
 たとえば、これからインドシナ半島へ旅に出ようと思うんだったら、近藤紘一氏の”サイゴンから来た妻と娘”を読むとか、映画”キリングフィールド”を見るとか、本田勝一氏の”殺される側の論理”を読むとか、そういったことがあなたの旅をより心に残るものにしてくれるはずです。
 もし、何ヶ月もかけて旅をするんであれば日本の地理、政治、経済、歴史、宗教についての知識は必須です。何かの機会に”象徴天皇制とは何か”とか、”日本はインドのどの辺りの地方のことか”とか、いろいろな質問を受けます。日本の総理大臣が誰かも知らないで旅に出ると、かなり恥をかくかも。
 ちょっと堅苦しい話になってしまったかもしれませんが、忙しい毎日の中、なかなか自分の生まれ育った国について学んでみたり、自分がこれから行こうとしている国について考えてみたりする機会は無いんだから、良いチャンスだと思いますよ。

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