制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

「社会参加カード(仮称)」を前提とした事務のあり方

2009年09月21日 19時06分30秒 | 自立支援法・障害
民主党の「障がい者制度改革推進法(案)」の第十四条にある「障がい者に対する給付の支給決定に関する証明書」が「社会参加カード」であるとして、どのような利用方法になるか考えてみたい。

第十四条(障害福祉サービス等)
二 現行の障害の種類ごとの手帳制度を廃止し、障害の種類にかかわらず、障がい者に対する給付の支給決定に関する証明書を交付する制度を設けること。この場合において、現行の手帳制度からの移行が円滑になされるようにすること。

サービスを利用するにあたっては、社会参加カードが前提になること、障害の種別によらず交付されるカードであることから、カードの表面には最低限の情報のみを記載、詳細情報はICチップ内に格納する方法が考えられる(ICカード)。
プライバシーを確保しつつ、ICチップの読み書きができる事業所などでは詳細情報を利用できるようになる(例えば、公共交通機関の割引のために、詳細情報を晒さずに済む)。
サービスを利用したい、手帳を所持したい場合には、市役所に申請してカードの交付を受ける(障害種別などが書き込まれる)。サービスを利用する場合は、ICチップに利用するサービスの種別や給付額などのデータを書き込む。ケアマネジャーや事業所などは、ICチップ内のデータにアクセス(照会・追記)してサービスを提供する、といった運用方法になる。
社会参加カードをうまく使うと、認定情報の履歴を管理したり、事業者間の申し送りができるようになる。

住民基本台帳カードや「社会保障カード(どうなるかわからないが)」と共用したいところだが、カードの表面だけで障害者手帳と同じように「社会参加カード」とわかる必要があるので、カードは専用になる。読み書き装置を共用としたいので、ICチップの仕様は他のカードと同じにすることになるだろう。

「社会参加カード(仮称)」のあり方

2009年09月21日 11時02分43秒 | 自立支援法・障害
自立支援法の「廃止」に続き、障害者手帳を見直して「社会参加カード(仮称)」とする方針が出されている。
現在、身体障害者には「身体障害者手帳」、知的障害者には「療育手帳」、精神障害者には「精神障害者保健福祉手帳」が交付されているが、これらの「手帳」が「カード」化されることになる。

現在の障害者手帳の制度には、

・手帳を持つことに抵抗感がある、持つことで得られる利便が魅力的でないなどの理由から、申請していない者も多く、「障害者=手帳の所持者」でない
・手帳を交付した後の管理が十分になされていない(手続きがなされないとわからない)、住民基本台帳と連動していないため、市町村が管理している交付データと実際が一致していない
・ゆえに、市町村は、地域で暮らす障害者の実数を把握できない

などの課題がある。
紙の手帳をカード化するだけでは何も変わらない。かといって、「障害者=手帳の所持者=サービスの利用者」とし、市町村が交付データを管理し、自立支援法のデータと連動させるような制度とするのは、「改正」よりも「改悪」だろう。