制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

自立支援法の廃止~新法のあり方 その1

2009年09月26日 13時59分39秒 | 自立支援法・障害
ここまでのまとめに代えて、「新法」における利用方法(理想像)を考えてみたい。

「社会参加カード(仮称)」を持っていることが何らかの支援やサービスを利用するにあたっての要件になるとすれば、市町村の窓口にて、どのような「障害」があり、社会参加カードを必要としているのかを申請することになろう(医師の診断書などを添えて)。
新聞記事などで報じられているように、3障害の区別を無くして「制度の谷間」を無くす、障害の範囲と定義を見直して広く自立生活を支えることなどを実現しようとすると、サービスの要否の判断はかなり難しくなる。
現在の自立支援法の「障害程度区分」は、介護保険制度の要介護認定の応用版で、介護サービスの要否を判断するためには使える仕組みである(判定結果への批判はあるが)。しかし、障害の範囲・定義を見直すとの考え方に転換すると、「介護を必要とする時間(1分間タイムスタディ)」を尺度=基準とする、この仕組みは使えなくなる。

それならば、市町村の窓口にケアマネジャー(ソーシャルワーカー)を配し、障害の程度や充たされないニードをきちんとアセスメントする、必要に応じて情報を提供したり、代弁したりする。その上で、障害の認定に進む(社会参加カードを交付する)とするのはどうだろうか。

障害分野のケアマネジメントの研究と実践はなされているが、まだまだ「高齢者介護の応用版」に留まる(分野特有の難しさがあるため、仕方ないが)。全国の市町村窓口にケアマネジャーを配するためには、よほど力を入れて養成しないと難しい。流行言葉のように使われている「制度設計」と並行して「業務設計」をしないと、やはり現実感が出てこない(制度はよくても運用がついていかない)。

すぐにでも自立支援法を廃止し、手続き方法も負担方法も見直して新法に切り替えたいなら、上記のような議論と現実的な方策の検討を始めるべきだろう。