● スギ花粉症、自宅療養で根治も-鳥居薬品の「舌下液」が初承認
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1020140121cbal.html
掲載日 2014年01月21日
日刊工業新聞
舌の下に投与するスギ花粉症用の減感作療法(アレルゲン免疫療法)向け治療薬が、日本で初めて製造販売承認を得た。鳥居薬品が開発し、承認を申請していた。アレルゲンとなる花粉の成分を舌の裏側に垂らして体内に吸収させ、アレルゲンに徐々に慣れさせて過敏な免疫反応が起きないようにする。スギ花粉症の根治につながる可能性がある減感作療法用の承認薬は従来、注射剤しかなかった。新薬なら患者が自ら服用でき、自宅療養で根治が期待できそうだ。
新薬「シダトレン スギ花粉舌下液」は1日1回、所定の用量を舌の裏に投与して粘膜から浸透するのを待ち、2分間たったら飲み込む。少量から始めて問題がなければ濃度を高め、アレルギー性過敏症が起きない体質への変化を促す。対象者は12歳以上に限る。
アレルゲンとなる物質を患者に直接投与する減感作療法では一般に、皮下注射より舌下投与の方が副作用リスクが小さいとされるものの、従来の対症療法に比べればリスクが大きい。このため同新薬を用いた舌下投与による減感作療法については、十分な知識と経験がある医師の指導・管理下での使用が条件となる。
● 「シダトレンRスギ花粉舌下液」スギ花粉症を対象とした減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬
http://www.torii.co.jp/release/2014/140117_1.html
「シダトレンRスギ花粉舌下液」の国内製造販売承認取得について
2014年1月17日
鳥居薬品株式会社
鳥居薬品株式会社(本社:東京、社長:?木正一郎、以下「鳥居薬品」)は、スギ花粉症を対象とした減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「シダトレンRスギ花粉舌下液」(以下、「シダトレン」)について、「スギ花粉症(減感作療法)」の効能・効果で、本日、日本国内において製造販売承認を取得しましたので、お知らせいたします。
シダトレンは国内で初めて承認された、舌下に投与する減感作療法薬であり、従来から施行されてきた皮下注射による減感作療法と比べ、自宅での服薬が可能であり、注射による痛みもなく治療ができることなどが特徴です。
国内で実施した、スギ花粉症患者を対象とした第?相臨床試験において、有効性の主要評価項目である「総合鼻症状薬物スコア」が、本剤投与群ではプラセボ投与群に比べ統計学的に有意に低下、スギ花粉症症状の軽減効果が確認されています。
鳥居薬品は、シダトレンがスギ花粉症治療の新たな選択肢として貢献できることを期待しております。なお、発売時期については薬価収載後、決定次第お知らせいたします。
花粉症に画期的新治療法 何度も通院し注射の時代から格段進化
http://news.nifty.com/cs/item/detail/postseven-20140310-245107/1.htm
2014年3月10日(月)7時0分配信 NEWSポストセブン
ついに花粉症が治る時代が来た。花粉症体質を改善させる新しい治療法の登場が目前に迫っている。いったいその効果の程はどうなのか? 一足先に、夢の最新治療を受けた人々の声を紹介しよう。
「長年、花粉症でひどい鼻水とくしゃみ、目のかゆみに悩まされ続けていたのに、今年は薬のおかげでのように症状が収まりました。花粉シーズン中はいつもマスクにゴーグルの完全防備でしたが、今年は軽装で外出できています。まったく信じられません!」
興奮して話すのは、都内在住の40代男性だ。
来年の今頃には、同様の声が続々と聞かれるかもしれない。現在、医療業界はあるニュースをきっかけにして、「今年6月から花粉症治療が劇的に変わる!」という話題で持ちきりだ。
そのビッグニュースとは、鳥居薬品株式会社(本社・東京)が開発した「シダトレンスギ花粉舌下液」(以下、シダトレン)が、今年1月17日に厚生労働省に承認され、6月にも治療現場に登場するということ。
これは花粉症治療法「舌下免疫療法」のキーとなる新薬だ。シダトレンの最大の特徴は、シンプルな服用方法にある。
注射の代わりに、スプレー式の容器に入った抗原エキスを舌の下にシュッシュッとスプレーして、粘膜を通じて体内に吸収されるまで2分間ほど待つ。その後は、口内に残った薬液を舐めて飲み込むだけだ。
シダトレンを開発した鳥居薬品によれば、「甘さと塩気が混じって“甘じょっぱい”味がします。決して苦かったりして飲みにくい薬ではありません」という。
この服用法を毎日1回続ける。投与開始から2週間は徐々に量を増やしていき、体が抗原エキスに慣れた3週目からはパックに入った定量の薬剤を服用する。毎日薬剤を2分間口に含み飲むだけでOKだから、何度も通院して注射を打たねばならない従来の根治法に比べて格段の進歩だ。
これまで舌下免疫療法を受けるためには、「スギ花粉エキス」という注射用の薬剤を薄めて舌下に服用する保険の利かない自由診療を受けるか、製薬会社と提携する限られた医療機関での治験を受けるしかなかった。冒頭の40代男性は自由診療で舌下免疫療法を受けていたケースだ。
しかし今回、治験を経て「スギ花粉エキス」を発展させたシダトレンが新薬として商品化されることで、スギ花粉アレルギーをもつ患者のための切り札ともいえる舌下免疫療法薬がついに一般のものとなる。
現在、自由診療で舌下免疫療法を行なっている、谷本呼吸器内科クリニックの谷本梓医師がいう。
「注射による皮下免疫療法から舌下免疫療法に切り替えた40代の女性患者は、治療法を切り替えてから本当に楽になったといいます。
以前は、注射自体の痛みと、その後の腫れからくる不快感で通院が苦痛だといっていましたが、舌下免疫療法ではそうした不快感や苦痛とは無縁だ、と。今シーズンはまだ花粉症の症状が出ていないととても喜んでいますね」
シダトレン開発元の鳥居薬品も手応えを感じている。
「これまで弊社は他社が脱落する中、半世紀にわたってスギ花粉の免疫療法薬の販売を行なってきました。その成果がついに実ったと思うと感無量です。
その他のアレルギーについても根本治療をめざし、錠剤タイプの薬を鋭意、開発中です」(鳥居薬品担当者)
※週刊ポスト2014年3月21日号