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「パンクしないタイヤ」実用化に現実味 ブリヂストン、2020年目標に

2014-01-13 15:56:50 | 経済

http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20140112009.html
2014年1月13日(月)08:21
(フジサンケイビジネスアイ)

 ブリヂストンが開発している非空気入りタイヤ「エアフリーコンセプト」の実用化がいよいよ現実味を帯びてきた。空気が入ったゴムチューブを用いる従来のタイヤと異なり、特殊形状の樹脂で荷重を支える新発想の製品で、パンクの心配や空気圧の調整が必要ない上、100%リサイクルできる優れものだ。このほど発表した「第2世代」の新型は、耐えられる車両の重量や最高速度を大幅に向上させており、今後は耐久性の向上などに努め2020年の本格実用化を目指す。

 「パンクしないタイヤなら自分の車にもぜひ着けたい」「はやく実用化してほしい」。昨年11、12月に開かれた東京モーターショーの会場で、新型エアフリーを装着した超小型車が来場者の関心を集めていた。エアフリーは、タイヤ表面のゴムとアルミホイールとの間に板状の波打った樹脂(スポーク)を張り巡らせ、その反発力で車の重みを支える構造だ。スポークはタイヤの外側と内側に60本ずつ計120本付いている。

 新型では樹脂の材質を「強度と柔軟性を併せ持つ新素材」(広報)に切り替えたほか、スポークの形状を見直し、圧力のかかるポイントを分散させた。この結果、耐えられる車両重量は、11年に発表した第1世代に比べ4倍増の410キロ、最高速度は10倍増の時速60キロまで向上した。

 また転がる際のタイヤの変形が抑制され、エネルギーロスが少なくなった結果、同社の空気入り低燃費タイヤとほぼ同レベルの燃費性能を実現することができたという。第1世代は、高齢者向けに作られた速度の遅い「シニアカー」などで用いるのが精いっぱいだったが、第2世代なら軽自動車よりコンパクトな1、2人乗りの超小型車などに装着し、地域の足としても利用可能な状態だ。

 タイヤは走行時の安全を文字通り支えてくれる存在。それだけにパンクや空気抜けは極力避けなければならない。「ならばいっそ、空気を使わないタイヤを作ってみたら?」。そんな発想から同社がエアフリーの開発に着手したのは08年のことだ。コンピューターによるシミュレーションを繰り返し、走行時の衝撃を吸収できるスポークの形状や材質を研究してきた。

 次世代のタイヤに求められるのは走行性能だけではない。開発チームは環境性能にもこだわった。従来のタイヤは9割程度を燃料に再利用できるが、タイヤとして再生はできない。それに対しエアフリーは、樹脂や表面のゴムなど素材すべてをタイヤとしてリサイクルできるのが特徴だ。ブリヂストンは、二酸化炭素(CO2)の排出量を20年までに05年比で35%削減する目標を掲げており、エアフリーの実用化は大きな鍵を握る。

 東京モーターショーでの期待通り、乗用車に装着するのなら、耐えられる車両重量をさらに大幅に引き上げる必要がある。耐久性についても、街乗り用に作られた超小型車や原動機付きバイクなどの場合は数千キロレベルで済むが、乗用車なら数万キロレベルが要求される。今後は走行試験を積み重ね、耐久性を実証する。製品を回収、リサイクルするシステムの確立も課題だ。同社幹部は「どんな車種に搭載できるかも含め、15年ごろには開発の方向性を明確に打ち出したい」としている。(田辺裕晶)


筑波大の人工衛星「結」は1辺10cmの立方体

2014-01-13 15:56:11 | 科学

筑波大の人工衛星「結」は1辺10cmの立方体
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140113-OYT1T00313.htm
2014年1月13日12時57分
読売新聞

 筑波大学が初めて宇宙へ送る小型人工衛星「結ゆい」が21日、宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)に引き渡され、2月28日に打ち上げられる予定だ。

 衛星本体は完成しており、学内関係者らに公開された。

 結は、システム情報系の亀田敏弘准教授(45)と学生約20人が開発している。大きさは1辺約10センチの立方体で、衛星内部の温度データなどを送信する。データは簡易なアンテナで受信でき、世界中の人たちが交流できるようにする。

 永田恭介学長(60)や教員らが先月25日、結の開発が行われている部屋を訪れ、無塵衣むじんいを着て、まもなく宇宙へ飛び立つ結をじっくり見たり開発の経緯を聞いたりした。設計などを担当した4年生の野中淳司さん(23)は「ずっと地道な作業を続けてきたがようやく日の目を見る。開発が大変な時期もあったがやっと報われた気分だ」と話した。


iPSで染色体異常修復 新たな治療法期待 山中教授ら発見

2014-01-13 15:53:57 | 科学

iPSで染色体異常修復 新たな治療法期待 山中教授ら発見
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140113/scn14011309480000-n1.htm
2014.1.13 08:07
(産経新聞)

 生物の遺伝情報を担う染色体に異常がある病気の患者の細胞から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)を培養すると染色体異常が自己修復されることが、米グラッドストーン研究所で上席研究員を務める京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授らのグループによる研究で明らかになった。英科学誌「ネイチャー」のオンライン版に13日、研究成果が掲載される。

 現在、染色体異常による病気の根本的な治療は難しいとされるが、グループの研究は、将来的に染色体そのものを修復する治療法の開発につながりうる成果。今回は希少な染色体異常のケースだったが、ダウン症など患者数が多い染色体異常もiPS細胞で修復できる可能性があるという。

 グループは、46本ある人間の細胞の染色体のうち、1本の両端がつながって輪になった「リング染色体」と呼ばれる異常に由来する病気の患者から採取した皮膚の細胞でiPS細胞を作製。リング染色体は多くの場合、遺伝情報が大きく欠損しており、先天的な患者は極めて少ないが、発育不良や知的障害などに関係することが知られている。

 作製したiPS細胞を数カ月間にわたって培養したところ、ほとんどの細胞で異常な染色体が消え、正常な染色体に置き換わったという。グループはリング染色体とは別の異常がある患者のiPS細胞でも培養を行ったが、今回の研究ではこの現象は起きなかった。

 自己修復が起こる仕組みは不明だが、細胞分裂の過程でリング染色体が消える一方、正常な染色体のコピーに置き換わることがあるという。iPS細胞は増殖能力が高く、培養中に数十回以上の細胞分裂を繰り返すうちに、自己修復された細胞が大半を占めるようになったとみられる。

 研究の中心となったグラッドストーン研究所の林洋平研究員は「実際の治療法になるまでには多くの課題があるが、まずは自己修復の詳しい仕組みを明らかにしたい」としている。

染色体

細胞の核の中にある物質で、DNAやタンパク質などからできており、細胞分裂の際には通常は棒状の構造になる。人間の染色体は通常、父親由来と母親由来のものが2本で1対になっており、全部で23対(46本)ある。染色体の一部が欠損したり重複したりする異常は、さまざまな病気の原因となる。


 (産経新聞テキスト朝刊)


離島奪回想定、パラシュート部隊による演習公開

2014-01-13 15:20:20 | 社会

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20140112-567-OYT1T00431.html
2014年1月12日(日)18:56
(読売新聞)

 防衛省は12日、千葉県の習志野演習場で、パラシュート部隊による離島の奪回を想定した演習を公開した。

 演習場を占領された離島に見立て、陸自の最精鋭部隊とされる第1空挺くうてい団の隊員らが、飛行機からパラシュートで降下したり、ヘリコプターで移動したりし、敵の陣地を占領するまでの手順を確認した。

 視察した小野寺防衛相は終了後、この日あった中国船による領海侵入について、「繰り返しの領海侵入は決して見過ごすことはできない」と報道陣に述べた。


名護市長選告示 現新一騎打ち 普天間移設、行方を左右、自主投票「黙認」 公明ねじれ、自民不満

2014-01-13 15:19:39 | 政治
名護市長選 自主投票「黙認」 公明ねじれ、自民不満
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140113063.html
2014年1月13日(月)08:02
(産経新聞)

 12日告示された沖縄県名護市長選で、公明党は党沖縄県本部の自主投票方針を事実上「黙認」する形で臨む見通しだ。自民、公明両党の連立政権は国政、地方を問わず選挙戦で足並みをそろえるのが通例だが、今回は元県議の末松文信氏(65)を推薦した自民党県連の対応とは隔たりがある。自民党県連内では公明党への不満が渦巻いており、市長選の結果次第では今後の政権運営に影を落としかねない。

 「連立、終わりの始まり」

 末松陣営によると、12日の出陣式に公明党県本部幹部らは出席しなかった。自民党県連は前公明党代表の太田昭宏国土交通相らに応援を要請しているが、一向に返事はない。

 公明党が末松氏の支援に二の足を踏むのは、県本部が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する立場を変えていないためだ。

 一方、政府・与党として県内移設を容認する党本部は9日、県本部の自主投票方針を了承せず、井上義久幹事長が県本部との「ねじれ」解消に乗り出した。

 だが、告示日を迎えても折り合いがつけられない「吊るし」(党幹部)のままだ。

 党本部は引き続き末松氏支援を県本部に働きかける構えだが、自民党県連内では公明党への批判が強まっている。ある自民党県連幹部は「自公協力の下、公明党国会議員らの選挙戦を支援してきたが、恩知らずも甚だしい」と憤る。

 自民党県連は不信感も高めている。

 11月に予定される県知事選で、辺野古移設に強く反対している那覇市の翁長雄志(おなが・たけし)市長を担ぎ出そうとする動きが公明党県本部の一部にあることを嗅ぎ取っているからだ。

 革新系も巻き込み、「オール沖縄」で辺野古反対という図式を作り上げ、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事かその後継者に弓を引く-。その策謀は単なる「野合」にすぎず、連立を組む自民党への背信にほかならない。

 別の自民党県連幹部は「連立の終わりの始まりだ」とも警告する。

 名護市長選をめぐっては、民主党が自主投票とする方針を決定。共産、生活、社民の各党は稲嶺進氏(68)を推薦している。


過去の名護市長選 辺野古容認派、3勝1敗
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140113064.html
2014年1月13日(月)08:02
(産経新聞)

 日米両政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設方針を明示した平成9年以降、名護市長選は今回で5回目。過去4回は「容認派」と「反対派」の対決だったが、容認派は受け入れ条件を公約に掲げるなど曖昧さを残した。

 今回は仲井真弘多知事の辺野古での埋め立て承認を受け、移設推進を前面に掲げる末松文信氏と、移設に強く反対する稲嶺進氏の一騎打ちで対決構図が鮮明になった。

 辺野古移設をめぐり名護市が9年12月に行った住民投票は受け入れ反対が多数を占めた。当時の比嘉鉄也市長は地域振興などを考慮し、辞職と引き換えに「苦渋の決断」で受け入れを表明した。

 これを受けた10年の市長選は比嘉氏の後継で後に条件付き容認を表明した岸本建男氏が当選。岸本氏は2期務め、18年の市長選は後を託された島袋吉和氏が当選した。

 県と市のトップがともに移設を容認する体制が続いたが、建設場所や工法をめぐり日米両政府と県、市という4者の思惑が交錯し、計画の具体化は難航。それに伴い、市長選では岸本氏が「15年使用期限」の条件を付すなど受け入れに高いハードルを課した。

 2本の滑走路をV字形に配置する現行計画が固まったのは18年4月。着工に向けた手続きは進んでいたが、民主党政権の迷走で辺野古移設はいったん白紙化された。県民感情も刺激し、22年の市長選は9年以降で初めて反対派の稲嶺進氏が当選した。

名護市長選告示 現新一騎打ち 普天間移設、行方を左右
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140113057.html
2014年1月13日(月)08:02
産経新聞]

 ■稲嶺氏「造らせない」/末松氏「振興進め実現」

 米軍普天間飛行場移設を最大の争点に戦いの火ぶたが切られた。移設をめぐり「推進」「反対」を明確に主張し合う候補者の一騎打ちは初めて。準備万端で臨む稲嶺進氏に対し、立候補表明と候補者一本化の遅れが響き、やや劣勢で選挙戦に入った末松文信氏が猛追する構図だ。

 「集まられた方々に笑顔で手を振りましょう」

 選挙カーに立った仲井真弘多知事は末松氏の手を取りながら耳打ちした。県と市が二人三脚で国との協調路線を進め、普天間飛行場の危険性除去と北部振興を両立させる方針で寸分違わぬ2人だ。

 末松陣営は応援に招く国会議員の選定に細心の注意を払う。「辺野古」を想起させる閣僚や、県選出国会議員を辺野古移設容認に転じさせた石破茂幹事長の投入は見送った。県議や市議のネットワークを生かし、経済界とも連動することで票の上積みを図る。

 4年間不交付分42億円

 「交付金がなくても行政はできます」

 稲嶺氏が辺野古移設に伴う交付金に背を向ける姿勢を改めて強調すると、隣に立つ社民党の照屋寛徳衆院議員は満足げな表情を浮かべた。稲嶺陣営には共産党の赤嶺政賢衆院議員、沖縄社大党の糸数慶子参院議員らも応援に駆け付けた。

 稲嶺陣営の主張はシンプルだ。辺野古移設を認めない立場から仲井真氏と安倍晋三政権を糾弾し、その支援を受ける末松氏を批判する戦略を描く。基地反対運動の団体とも連携し、組織戦を展開する。

 自民党が昨年12月中旬に実施した調査では6対4で稲嶺氏が優位だった。年明けの調査でも末松氏の劣勢は変わらなかったが、自民党幹部は「一本化を果たし、選対の態勢も整った。これからは情勢が上向く材料しかない」と語る。

 「同業者の倒産が相次ぎ、うちの収益も2割減った」。建設業の40歳代男性はそう話す。この4年間で名護を中心とした北部での国・県の公共事業予算は32億円の減。国からの再編交付金も停止され、4年間の不交付分は42億円に上る。稲嶺市政が続く限り、新規の交付金も入ってこない。

 ◆「百害あって一利なし」

 稲嶺氏は市長権限で移設を「阻止できる」と徹底抗戦する構えだが、県幹部は「阻止できない」と明言する。たとえば代替施設での燃料タンク設置は消防法で市長の許可が必要だが、同法は保安基準を満たしていれば許可しなければならないと規定。県幹部は「妨害しても訴訟や是正命令で国は必ず移設工事を完遂できる。それが法治国家というものだ」とも指摘する。

 稲嶺市政が続けば移設工事が遅れることは避けられず、普天間飛行場の危険性除去は遅れる。辺野古の代替施設が完成するメドが立たない限り、米政府は嘉手納基地(嘉手納町など)以南の基地返還に応じず、県全体の基地負担軽減もままならない。北部振興への政府の熱意も薄れてしまう。

 飲食店を経営する50歳代の女性は断じる。「国に盾突いても百害あって一利なしだ」(那覇支局長 半沢尚久)


「鮮魚列車」知られざる全貌…ドアの開閉わずか1秒、大阪へひた走る

2014-01-13 15:19:05 | 社会
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140113513.html
2014年1月13日(月)12:45
(産経新聞)

 都市伝説のような謎の列車の内部に潜入すると、そこには見たこともない「寝台車」があった。13人の乗客と新鮮な海の幸を乗せた鮮魚列車は、一路大阪へとひた走る。途中停車駅は特急並みに少なく、ドアの開閉時間もわずか1秒!鮮度のためなら停車時間も惜しむのか。と思いきや、どうも実態はそうでもないようで…。半世紀に及んだ鮮魚列車の知られざる全貌がついに明らかになった。(大竹直樹)

 2両目は「寝台車」

 女性行商人たちの笑い声が響く最後尾の3両目から真ん中の2両目に移ると、雰囲気は一転、車内は静まり帰っていた。ここはさしずめ「寝台車」だ。

 発車直後から、2人の男性がロングシートの上で寝袋にくるまり、寝息を立てている。堂々とロングシートに横になれるのも、鮮魚列車だけの“特権”だ。

 伊勢志摩魚行商組合連合会の浜田吉一会長によれば、鮮魚列車の運転が始まった昭和38年当時は荷物が天井まで積まれ、毎日100人以上が利用していた。シートや床にはスペースがなく、「新人はなかなか座らせてもらえず、網棚で寝ている人もいた」(浜田会長)。

 車内では行商人同士で仕入れた魚を売買することもあり、床は海水でぬれ、シート下の金属部分はよく腐食していたという。

 ■これぞ正真正銘の網棚

 網棚で寝られるのだろうか。網棚といっても、たいていの電車はパイプや金網の棚だから、横になるのはつらそうだが…。

 気になって網棚を見上げると、はたして糸を編んだ網の棚ではないか。網棚、かくのごとしと感心した。

 1両目には和式のトイレも備わっていた。トイレの前はここだけ、向かい合わせのクロスシート(ボックスシート)。浜口文子さん(56)が「前の鮮魚列車は怖いトイレだったのよ。東青山に長時間止まるから、停車中に駅で用を足したの」と教えてくれた。

 現在の2680系は平成13年から鮮魚列車に使われた3代目。昔の鮮魚列車は、とにかく「怖いトイレ」だったらしい。

 ■道を譲ってまた譲り…

 午前7時2分、東青山駅に着いた。ドアはいっこうに開かない。だが、いくら待っても動く気配はなく、不審に思っていると、浜口さんが解説してくれた。

 「貸し切り列車だから、遠慮しながら走っているのよ」

 昔は東青山駅に停車している間にラジオ体操をする行商人もいたという。なるほど、結構止まっている。

 本線を勢いよく特急列車が通過していき、いよいよ出発かと思ったら、もう1本、特急列車が駆け抜けていった。そして今度は、快速急行列車。3本の列車に道を譲り、ようやく動き出したのは、13分後だった。

 鮮魚列車は、宇治山田から大阪上本町まで途中、伊勢市、松阪、伊勢中川、榊原温泉口、伊賀神戸、桔梗(ききょう)が丘、名張、榛原(はいばら)、桜井、大和八木、大和高田、鶴橋の12駅に停車する。停車駅だけ見れば、特急並みだ。

 しかし、鮮魚列車はこのほか、快速急行も停車しない東青山と河内国分の2駅で、客扱いを行わず、後発の優等列車に道を譲る「運転停車」があるのだ。

 名張駅で運転士と車掌が交代し、さっきまでにぎやかだった3両目の女性たちも、いつしかロングシートの上で仮眠を取り始めた。

 通過駅には通勤・通学客の姿も見える。朝の「ラッシュアワー」だ。しかし、朝日が差し込む車内はいたって静か。通勤・通学ラッシュとは無縁の世界だ。

 1秒で閉まる駅

 午前8時9分、桜井駅に到着。ドアが開いたかと思うと、そのまま閉まった。

 たぶん、ドアが完全に開いていた瞬間は1秒もなかったはずだ。乗降はまず不可能。何のためにドアを開けたのか。

 関係者によれば、理由はこうだ。鮮魚列車の運転が始まった半世紀前は行商人の乗降があり、正式な「停車駅」だった。しかし、行商人の乗降がなくなって久しい駅もあり、こうした駅では、駅員が合図を送って車掌がドアをすぐ閉めてしまうのだという。

 かつては間違えて鮮魚列車に乗り込もうとする「一般客」もいたという話だから、わずか1秒間のドア扱いは、「誤乗」を防ぐという効果もあるのだろう。

 ならばなぜ、ドアを開けるのか。もう一度、「関係者」に聞いてみたところ、昔からのダイヤを今も踏襲しているため、たとえ利用客がいなくなっても、決められた駅には必ず停車しなければならないのだそうだ。鉄道とは律義な乗り物であることを痛感した。

 収益は考えていない!

 午前8時半ごろ、大阪の街並みが車窓に広がり、行商人が申し合わせたように床を上げ始めた。車内がにわかに活気づく。

 浜田とし子さん(56)は「この仕事には欠かせない列車。いつまでも残してほしい」としみじみと語る。だが、行商人の高齢化で利用客は年々減少している。浜口文子さんは「時代の流れだね」と寂しそうにつぶやいた。

 鮮魚列車は「伊勢志摩魚行商組合連合会」の貸し切り。乗車には通常の定期運賃に加え、大きな荷物を車内に持ち込むための「手回り品料金」(270円)が必要だ。ただ、行商人の多くが「手回り品料金」の定期を利用しており、こちらは1カ月3250円。貸し切り列車にしては、料金設定は「お手頃」といえる。

 一般の列車で鮮魚を運べば、魚特有の臭いなどもあり、ほかの乗客との棲み分けも必要になる-。鮮魚列車が運転されてきた背景にはこうした事情もあったが、利用者が減少している以上、鮮魚列車の“去就”も気になるところ。近鉄の収支は大丈夫なのか…。

 近鉄は「鮮魚列車は、新鮮な魚を運ぶことに貢献し、地域活性にもなっている。鮮魚列車については、収益だけを考え走らせているわけではない」としている。

 松阪駅から約2時間半。午前8時56分、鮮魚列車は大阪上本町駅に到着した。

 行商人たちは素早く荷物をホームに下ろすと、台車に載せて各地の店舗へと散っていった。店先では常連客たちが、今か今かと新鮮な魚の到着を待っていた。


TPP参加へ 経済的孤立と支持率低迷を危惧する台湾・馬政権

2014-01-13 15:18:33 | TPP

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140112518.html
2014年1月12日(日)12:36
(産経新聞)

 台湾の馬英九(ばえいきゅう)政権が地域経済で孤立する危惧に焦りをにじませている。馬総統(63)は年頭の演説で、2014年を「台湾経済の突破年とする」と宣言。中台双方の市場開放を促進するサービス貿易協定に反対する野党に対し、立法院(国会に相当)での早期承認に協力を呼びかけるとともに、海外との自由貿易協定(FTA)締結を一層推進する意向も強調。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた具体策の模索にも乗り出した。

 対外貿易、投資に活路

 「(総統就任以来)過去5年の元旦のあいさつは主に1年間の政策の成果を振り返ることだったが今年は違う」

 馬総統は元日、台北市内の総統府で江宜樺(こうぎか)行政院長(53)=首相=以下、各要職を前にこう切り出した上で次のように語った。

 「今年の重点はただ一つ。全民あげて経済において努力することだ」

 演説の中で馬総統は、天然資源に乏しく、内需も限られている台湾の経済成長は、海外との貿易や投資などを頼みとする以外にないと強調。日中韓のFTAに向けた動向などと照らし、台湾の貿易自由化の取り組みが停滞すれば「手遅れになってしまう」と地域経済で孤立する危惧に触れ、TPPや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加に向けて、より具体的な戦略を定める意向を示した。

 野党にも協力呼びかけ

 市場拡大については、馬政権が08年の発足以来、経済を軸に改善してきた対中関係の更なる強化の重要性にも踏み込み、昨年6月、中台の窓口機関トップが上海で調印したものの、台湾の立法院での承認が遅れているサービス貿易協定にも言及した。

 馬総統は「与野党協力して台湾の経済発展に有利な議題を迅速に通過させるべきだ」として、反対している野党にも立法院での早期承認を呼びかけた。サービス貿易協定は電子商取引や医療、旅行業など、開放項目数は中国80、台湾64と台湾側に有利な取り決めだが、野党は「中国による統一工作」「大企業優先で、台湾の弱い産業にとっては打撃が大きい」と反発しており、立法院での採決は今春以降になると見られている。

 そもそも馬政権は台湾の輸出伸長にかげりが見える中で誕生した経緯があり、経済的に無視できないレベルに成長した中国と関係を改善し、台湾の経済にテコ入れしてゆくことは当初からの課題だった。

 事実、政権発足翌年には中国との自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)の協議に入り、10年に締結。また12年には中台で投資保護・促進協定などを締結し、中国大陸市場を確保してきた。

 一方で「活路外交」を掲げ、11年には日本と投資取り決めを結び、13年にはニュージーランドと事実上の自由貿易協定にあたる経済協力協定(ANZTEC)を、同様にシンガポールとも経済連携協定(ASTEP)を締結。TPPに関しても20年までに参加の方針を打ち出していたが、一時的に回復した輸出の伸長も再度かげりの中にあり、経済成長率と実質賃金水準も低迷。着実な前進姿勢を示す段階を迎えたようだ。

 参加への具体策を

 この年頭演説から中1日おいた3日、馬総統は経済部長(経産相)などからなる対外経済・貿易戦略の専門チームを招集し、TPP、RCEPへの参加に向けた態勢や状況を総点検。特にTPPについては、「2月末までに準備に着手し、7月末までに参加に必要な具体策をまとめるように」と指示した。行政院では、それに応じるための特別専門チームを成立させ、毎月開催する方針を発表。また、蕭万長(しょうばんちょう)前副総統(75)も近く民間団体を立ちあげて後押しする意向を示すなどで呼応した。

 張家祝(ちょうかしゅく)経済部長(63)によると、現段階でTPPに参加の12カ国と台湾の貿易額は2001億ドルで、台湾の貿易額全体の35%を占めており、同様に中国を含むRCEP16カ国では3233億ドルで、台湾の貿易額全体の57%を占めるという。

 馬総統は演説で、「自信を持ち、競争を恐れず立ち向かうことで進歩できる」と語りかけたが、民放世論調査による支持率は11%に低迷。今年末には16年の総統選を占う統一地方選も控えており「全民あげての経済努力」の実現には大きな困難を伴いそうだ。(吉村剛史 台北支局)


中国の鳥インフル 死者50人超、感染急増に警戒

2014-01-13 15:17:48 | シナ
死者50人超える 中国の鳥インフルH7N9型 再流行の懸念、感染地域も拡大
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140112555.html
2014年1月12日(日)20:56
産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国の上海市と江蘇、浙江、福建、広東の各省で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)感染者が12日までに新たに9人確認され、うち2人が死亡した。同ウイルス感染による死者は香港の1人を含め51人になった。

 上海の日本総領事館の12日の集計によると、香港を除いた中国本土での感染確認者はこれで164人、死者は50人となった。感染確認者には台湾旅行中に発症した江蘇省の男性1人が含まれる。感染者は今年に入り急増し、中国本土の2市10省に広がった、気温低下で再流行が懸念される。

 香港では3人(うち1人死亡)と、台湾で1人の感染が確認されている。

 12日までに感染確認後に死亡したのは、福建省の38歳の男性と浙江省の75歳の女性。上海市と浙江、広東の各省で2人ずつ、江蘇省で1人が感染確認されており、治療を受けている。

 H7N9型ウイルスは昨年3月、上海市で初の感染者が確認された。日本人の感染は確認されていないが、同総領事館や北京の日本大使館では、感染源とみられる生きた鳥の市場などには近づかないよう呼びかけている。江蘇省の衛生当局は、人から人への感染も確認している。

中国の鳥インフル 死者50人超、感染急増に警戒
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140113076.html
2014年1月13日(月)07:56
産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国で12日までに、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)感染により、福建と浙江の両省で各1人ずつの死亡が確認され、同ウイルス感染による死者は香港の1人を含め51人になった。

 衛生当局によると死亡したのは福建省の38歳の男性と浙江省の75歳の女性。このほか10日から12日にかけて上海市、江蘇、浙江、広東の各省でも新たに感染者の確認が相次ぎ、香港での3人、台湾での2人を含めて、死亡を含む感染例は合計で171人に増えた。

 同ウイルスは昨年3月に上海市で初の感染者が確認された。その後、昨年夏にかけて流行。一時は下火になったが、再び感染者が出始めた昨年10月以降、合わせて35人が確認された。

 特に今年に入って感染者が急増しており、感染地域も中国本土では2市10省に広がった。

 江蘇省の衛生当局は人から人への感染ルートを確認しており、今後の気温低下に伴い再流行が懸念されている。

 これまで日本人の同ウイルス感染は確認されていないが、上海の日本総領事館や北京の日本大使館は在留邦人に対し、主な感染源とみられる生きた鳥の市場などには近づかないよう注意を呼びかけている。



岐路に立つ任天堂、ネットで苦境 「WiiU」不振の一因か

2014-01-13 15:17:09 | 経済

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/industry/snk20140113502.html
2014年1月13日(月)08:57
(産経新聞)

 ゲームをインターネットに接続して遊ぶのが当たり前になる中、任天堂が苦境に立たされている。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」で、ネット機能を通じたいじめなどの問題が顕在化しているためだ。据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」でも通信環境でライバルに差を開けられており、ゲーム愛好家からは「任天堂はもはやネット分野で周回遅れ」との厳しい声も聞かれる。

 「保護者のみなさまへ大切なお願いです」。12月初め、任天堂の公式ホームページ(HP)にこんな書き出しの文面が掲載され、関係者の話題をさらっている。この一文に続き、3DSやWiiUでネットを使用する際に、見知らぬ人とのやり取りを制限できる機能があることを紹介。ここ数カ月、任天堂が想定していなかった事態が頻発していることへの対応だ。

 任天堂は11月1日、ネットを通じてユーザー同士が日記やメモを交換できる3DS用無料ソフト「いつの間に交換日記」「うごくメモ帳3D」でわいせつ画像などのやりとりがあったとしてサービスを停止した。11月下旬には3DSで裸の写真を撮影され、精神的な苦痛を受けたとして、茨城県内の小学6年の男児と両親が地元ハンドボールチームのチームメートらと保護者らを相手取り、1千万円の損害賠償を求める訴訟を水戸地裁龍ケ崎支部に起こした。

 訴状などによると、男児は平成24年から、所属するスポーツ少年団の練習や合宿で、チームメート数人からズボンと下着を脱がされるなどのいやがらせを受けた。25年には、友人宅でチームメートらに服を脱がされ、3DSで全裸の写真を撮影されたとしている。写真は「いつの間に交換日記」でチームメートら数人に送信されたという。

 3DSは、国内だけで1330万台以上販売されており、ソフトのサービスを停止する影響は大きい。それでも3DSが犯罪の“温床”になっているため、任天堂は「家族で安心して遊べることを優先した」と苦渋の決断を吐露する。ただネットの制限機能をHPで紹介したものの、対応が後手に回ったとの批判も出ており、子供の遊ぶゲーム機をネットにつなぐことの難しさを露呈した。

 一方、WiiUの販売不振の原因の一つはネット環境の脆弱(ぜいじゃく)さといわれている。WiiUには有線の接続ポート(端子)はなく、無線でネットにつなぐか、無線環境がない場合は別売りの「LANアダプタ」を購入することになる。据え置き型ゲーム機でネットに接続して対戦ゲームなどを行う場合、わずかな遅延でもゲーム進行の妨げになることから、通信が安定する有線で遊ぶことが常識だ。このため、無線機能しかなく、アダプタも高速通信に対応していないWiiUが「ゲーマーに不人気なのは当然だろう」(関係者)。

 また、最近のゲーム機はネットを利用して常に最新の状態に更新する必要がある。しかし、WiiUは24年12月の発売当初、更新に数時間かかるとの報告が相次ぎ、「すぐにゲームが始められない」と批判が殺到した。任天堂も公式HPで「更新に1時間以上かかる可能性がある」と注意喚起し、時間がかかることを認めている。いずれもライバルのソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)や米マイクロソフト(MS)の据え置き型ゲーム機では起こらなかった問題だ。

 任天堂は、1年間に数本しかソフトを買わない「ライトユーザー」に支えられている。だが、ライトユーザーの多くがスマートフォン(高機能携帯電話)向けゲームに移行していることから、任天堂はフルハイビジョン(HD)画質に対応したWiiUの発売でゲーム好きを獲得することをもくろんでいた。任天堂の岩田聡社長もWiiUの発売前は「(ゲームが好きな)コアゲーマーを取りにいく」と述べ、コアゲーマーの獲得に執念をみせていた。ところが、有線接続できないなどの“欠点”の影響もあり、コアゲーマーの多くはSCEやMSのゲーム機で遊ぶという構図ができあがってしまっている。

 任天堂がネットへの対応に苦慮する中、ゲーム機は次の時代に移行しようとしている。その主役が、ネットを通じて情報をやり取りする「クラウド」だ。SCEは、24年に米国クラウドゲーム大手のガイカイを買収。11月に欧米で発売した据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」では、ネットに保存している初代PSからPS3までのゲームソフトを遊べるクラウド構想を発表している。

 MSも、PS4とほぼ同時期に欧米で発売した据え置き型ゲーム機「Xbox One(エックスボックス・ワン)」でクラウド対応を打ち出すが、任天堂については「クラウドはまだ先の技術」として投資も少ない。クラウドで実際に何ができるのか今ひとつ見えてこないが、それでもゲームでクラウドが実用化されるようになると、技術力で劣る任天堂がさらに取り残される可能性は否定できない。

 コアゲーマーも楽しめるゲーム機を目指すのか。それとも、低年齢層を対象にした「子供のおもちゃ」路線を進むのか。ゲーム王国・任天堂が岐路に立たされている。(藤原直樹)


なぜ日本は原発作業ロボを創れないの? 技術あっても「宝の持ち腐れ」

2014-01-13 15:16:26 | 科学

日本発企業、災害救援ロボットコンテストで圧勝
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131223-OYT1T00464.htm?from=blist
(2013年12月23日18時42分 読売新聞)

 【ホームステッド(米フロリダ州)=中島達雄】原子力発電所の事故など、人間が近付けない場所で災害救援するヒト型ロボットのコンテストが21日に終了し、米グーグル社が買収した東大卒業生らのベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」が1位になった。

 決勝大会は来年12月に開かれ、優勝チームには賞金200万ドル(約2億円)が贈られる。

 コンテストは米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催。米国を中心に16チームが参加し、車の運転、はしご登り、ガレキ除去など8種目で得点を競った。

 SCHAFTは全種目で高得点を記録し、32点満点で27点を獲得。2位の米フロリダ人間・機械認知研究所(IHMC)の20点を大きく引き離し圧勝した。

グーグル、ロボット開発のボストン・ダイナミクスを買収
http://news.goo.ne.jp/article/wirelesswire/business/wirelesswire_201312161943.html
gooニュース×WirelessWire News2013年12月16日(月)10:45

グーグル(Google)は米国時間13日、「BigDog」や「WildCat」などの四足歩行ロボットを開発したことで知られるボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)の買収を発表した。

ボストン・ダイナミクスは、1992年にマサチューセッツ工科大学の元教授、マーク・ライバート(Marc Ribert)氏が立ち上げたロボットベンチャー。同社は、さまざまな地形を移動するロボットや、高速で走行するロボットなどの開発を進めており、米国防省高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、Darpa)への技術協力やソニーの消費者向け犬型ロボット、アイボ(Aibo)へのコンサルティングなどでも知られる。

グーグル幹部によれば、同社は既存の軍事契約については買収後も継続するものの、同分野の請負業者になるつもりはないという。なお、買収額については明らかになっていない。

グーグルでは、Androidの生みの親として知られ、今年春まで同社のAndroid部門のトップを務めてきたアンディ・ルービン(Andy Rubin)氏が次世代のロボット開発を目指すプロジェクトを進めていることが今月はじめにNYTimesで報じられていた。また同社はこの半年間に、ロボット開発関連のベンチャー企業を7社買収したこと(東京大学の情報システム工学室からスピンアウトしたヒト型ロボット開発のシャフト(Schaft)というベンチャー企業も含む)や、ルービン氏が現在日本や米国でロボット分野のエンジニア採用を進めていること、パロアルト(カリフォルニア)と日本にオフィスを構える予定であることも明らかにされていた。

グーグルが買収したとされる企業のなかには、人型ロボットやロボットアームを手掛けてきた企業が含まれていることから、グーグルはこれまで人間が行ってきた単純作業を代行できるロボットの開発を目指しているとの推測も出ており、倉庫作業から宅急便、高齢者介護までさまざまな利用の可能性が浮かび上がっている。

なぜ日本は原発作業ロボを創れないの? 技術あっても「宝の持ち腐れ」
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20140113504.html
2014年1月13日(月)10:17
(産経新聞)

 東京電力福島第1原子力発電所事故を機に、原発施設で作業するロボット開発が加速している。日本でも世界に先駆けた技術も登場しているが、市場は実績のある大手企業や有名大学が独占し、ベンチャー企業は画期的な技術を開発しても参入は困難なのが実情。福島の事故では原子炉建屋に初投入されたロボットが米国製という屈辱を味わい、米IT大手がロボット関連企業の買収を進めているのも脅威だ。日本のお家芸といえるロボット分野の発展には優れた技術ならベンチャーや中小企業にも門戸を閉ざさない度量が必要だ。(板東和正)

 「世界に誇る技術を生み出しても、原発の作業用ロボットへの活用は難しい」。ロボットやセンサー技術を開発するベンチャー「旭光電機」(神戸市)の技術部社員は、冷めた表情を浮かべる。同社は平成24年12月、被災地など危険な場所で障害物撤去や、機材の搬送を手がける電動ドリル搭載の「人型ロボット」を開発したばかりだ。

 操縦者が体を動かすことで遠隔操作できるロボットで、何百キロ離れた場所でも自在に動かせる驚異的な操作性を実現。とくに、ロボットの頭部や指先にはカメラや各種センサーなどが設置されており、ロボットの作業状況や周辺環境を視覚や聴覚だけでなく、触感までもが操縦者が装着するゴーグル内のディスプレーやヘッドホン、さらにグローブで再現できる。まさに世界的な技術者も目を丸くするSF映画顔負けの技術なのだ。

 作業員が入ることのできない危険地域の情報を離れた場所から知ることができるうえ、触ることもできる技術は、原子炉建屋に投入するロボットにはのどから手がでるほどほしい技術のはずだが、同社は原発での作業用ロボットへの転用はほぼあきらめており、医療向けでの実用化を目指している。

 原発で作業するには高い放射線量など過酷な環境での作業にも耐えられる設計にしなければならないが、それには度重なる実証試験のために多額の資金や国の支援が不可欠だ。しかしベンチャー企業は資金的余裕も国の支援を受けるチャンスも少なく、「宝の持ち腐れ」になっているのが現状だ。「国の支援を実際に受けられるのは大手企業や有名大学に限られている。災害用ロボットの市場は実に閉鎖的だ」。前述の社員は残念そうに打ち明ける。

 昨年2月。原発施設内での作業を想定したロボットの開発で日本一の実績を誇る千葉工業大学のキャンパスで、新型ロボットの発表会が盛大に開かれた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、千葉工業大をはじめ、三菱重工業や日立製作所など大手企業が原発構内で作業できるロボット関連技術を紹介した。しかし、あるベンチャー企業関係者は「日の丸技術のお披露目会のようだったが、大手など限られた企業や大学だけの発表会で、オールジャパンではない」とこぼす。

 世界の産業用ロボットで世界の5割超のシェアを持つ日本メーカーだが、福島第1原発事故では原子炉建屋に初めて投入されたロボットが米国製だったことにショックを受けた。その後、冷却設備の機能を確認するのに千葉工業大の和製ロボットが使われたことで面目を施したが、実績値が高い米国製ロボットに頼っているのが現状だ。

 日本原子力発電が導入した原発施設内で放射線量の測定や撮影を担うロボット3台も米国製だ。今後、ロボットを10台程度に増強する方針で、日本製の採用も考えられるが、ベンチャー企業への門戸はほぼ開かれていない。この閉鎖的な状態に、米国のロボット技術者がこう指摘する。「日本は失敗を過度に恐れるあまり、実績のある米国製や一部の企業、大学に一本化している。このことが競争力を弱め技術の開発を遅らせている」

 経済産業省は昨年12月の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示し、「原子力規制委員会が安全性を確認した原発は再稼働を進める」と明記している。今後、原発の再稼働が進めば、こうした原発施設で作業するロボットの活躍の場は広がっていくとみられる。ただ、こうしたロボットを開発・製造する日本の業界は、技術そのものの善し悪しではなく、開発した大学・企業の過去の実績が採用基準で優先される傾向が強いといわれる。

 過酷な現場で作業する災害用ロボットの先進国でもある米国では、ベンチャー企業が開発した技術が多く採用されているのとは対照的だ。先月の米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救援ロボットの競技会にはグーグルが参加し、買収した日本企業などの技術を駆使して活躍した。

 ロボット技術を研究する千葉大学大学院工学研究科の並木明夫准教授は「ベンチャー企業に対する長期的な支援がなくては最先端の技術は育たない」と訴えている。「ロボット大国」の立場を守り、さらに過酷な環境で作業するロボット技術で世界をリードするためにはまず閉鎖性の打破とチャレンジスピリットが求められるのだ。

 


世界初、肘関節なしの腕型ロボット 複雑な動きもOK

2014-01-13 15:15:57 | 科学

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/industry/snk20140113077.html
2014年1月13日(月)07:57
(産経新聞)

 ロボットメーカーのライフロボティクス(茨城県つくば市)は、世界初となる肘関節のない腕型ロボットを開発した。コップをつかんで自分の口元にこぼさずに持ってくるという、従来の腕型ロボットが苦手としていた複雑な動きを、スムーズに行えるのが特徴。工場の検査ラインなど単純な作業を行う工程に適しているという。今夏をめどに販売を開始し、初年度は売り上げ5000万円、2年目以降は売上高を倍増ペースで伸ばしていく計画だ。

 肘関節をなくす技術は、産業技術総合研究所が開発し特許を取得したもので、同社に技術移転された。腕の部分は普段、ロボット本体に収納され、必要なときに亀の首のように伸びてくる。開発当初に比べて約70%軽量化し、低コスト化も実現した。

 産業用としては安全柵が不要になり、作業員と隣り合ったラインで仕事をすることが可能になる。検査ラインで部品や基板を動かしてチェックするといった、単純な作業や繰り返し動作を担当させることで、製造コストを削減することができるという。

 1台当たりの価格は500万~700万円。年間100台程度の生産規模になれば、300万~400万円に引き下げる予定だ。

 ロボットの開発のきっかけは、同社の尹祐根(ユンウグン)最高技術責任者(CTO)が、難病の知人のために開発しようと思い立ったこと。尹氏の知人は腕が不自由で、ヘルパーの介助なしでは食事もできなかったことから、平成18年から開発に着手し、今回の完成に至った。


バイドゥIME使用、29府県市…PC1千台超 : 無断送信ソフト、「入れた覚えない」と職員当惑

2014-01-13 15:15:04 | 社会
無断送信ソフト、「入れた覚えない」と職員当惑
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/trend/20140113-567-OYT1T00384.html
2014年1月13日(月)17:30
(読売新聞)
 情報を外部に無断送信してしまうソフトが、1000台以上の自治体のパソコンで使われていた。中国検索大手「百度バイドゥ」製の日本語入力ソフト「バイドゥIME」。

 その多くは、バンドル商法と呼ばれる無料ソフトとの「抱き合わせ」で配布され、職員らは気づかないままインストールしていたという。専門家からは「大切な住民情報を扱う以上、情報漏えいを防ぐ仕組みが必要ではないか」との声が出ている。

 バンドル

 調査対象の67自治体中、最多の272台からバイドゥIMEが見つかった横浜市。市の全672課のうち167課、市立学校512校のうち48校にのぼる。「職員の誰もが『入れた覚えはない』と言うのだが……」とIT活用推進課の担当者は首をひねる。

 ネット上の無料ソフト配布では、最初のダウンロード画面では一つのソフト名しか書かれていないのに、実際には複数のソフトがセットになっていることが多い。このため、「目的とは違うソフトが知らないうちに入ってしまったのでは」と担当者はみる。

 「『バンドル商法』とも呼ばれる、こうした抱き合わせ配布は無料ソフト業界では一種の慣行」とソフト開発業者は説明。「ダウンロード数が増えれば広告収益も増やせる。多くの業者は手数料を払ってセット配布してもらっている」と明かす。1インストール当たり10~50円が相場という。

 だが、ある無料ソフトの配布サイト運営者は最近の過度なバンドルを懸念する。「一つのソフトを入れようとすると、5、6種類のソフトがついてくる例も目立つ」。さらに、「告知せずに取り込ませる『ブラインドインストール』という手口もある」と打ち明ける。

 有名ソフトも

 有名ソフトもバイドゥIMEをバンドルしていた。

 岩手県の場合、動画再生の無償ソフト「リアルプレーヤー」をインストールした際にバイドゥIMEを入れてしまったという。配布元のリアルネットワークス(東京)は今月8日からバイドゥIMEとのバンドルを中止。ワープロソフトなどを手がけるキングソフト(東京)も2011年6月から約1年半、バイドゥIMEを抱き合わせで配布し、岡山県のパソコンで一緒にインストールされた。

 インストールの際にはバイドゥIMEが入ることは画面で説明されるが、職員は漫然とクリックを続けてしまったとみられる。

 ルール未整備

 無料ソフトのインストールについて、地方自治体向けの総務省の指針では「業務上必要な場合は、管理者の許可を得て導入できる」とされている。だが許可するのは各部署の所属長で、セキュリティーの知識が乏しいことも想定される。

 また指針は、パソコンに最初から入っているソフトについては触れていない。新潟県が購入した中国のレノボ社製のパソコンには、最初からバイドゥIMEが組み込まれていたが、チェックする仕組みはなかった。

 レノボ・ジャパン(東京)によると、一部のパソコンにバイドゥIMEを標準装備したのは11年秋の出荷分以降。法人向けのパソコンには入れていないが、安価なユーザー向け製品を購入する企業や公的機関は増えているとみられる。

 NPO法人・情報セキュリティ研究所の臼井義美代表理事の話「何がパソコンに取り込まれるのか分かりにくいまま配布するのは消費者を欺く行為ともいえ、表示に一定のルールが必要ではないか。難しいかもしれないが、安全に無料ソフトをダウンロードできるサイトに公的機関がお墨付きを与えるなどの仕組みも、検討する必要がある」

 バンドル商法=ある製品に別の製品を付属させて販売・配布する方法。人気商品に不人気商品を付けて有償で提供する行為などは独占禁止法で禁じる「抱き合わせ販売」にあたり、マイクロソフトが表計算ソフトにワープロソフトを付けて販売したとして、1998年に公正取引委員会が排除勧告した。バンドルは英語で「包む」「束ねる」の意味。

バイドゥIME使用、29府県市…PC1千台超
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/trend/20140113-567-OYT1T00164.html

2014年1月13日(月)11:37
(読売新聞)

 中国検索最大手「百度バイドゥ」製の日本語入力ソフト「バイドゥIME」による文字情報の無断送信問題で、全国の都道府県と政令市のうち29府県市で1000台以上の公用パソコンに同ソフトが使われていたことが、読売新聞の調査で分かった。

 中には住民情報を扱うパソコンなどから新聞2年分にあたる情報が漏えいしていた自治体もあり、自治体の個人情報保護条例に抵触する恐れも出ている。

 47都道府県と20政令市に、問題発覚前日の先月25日まで約1か月間のバイドゥIMEの使用状況を聞いた。その結果、横浜市の272台、熊本県の197台、秋田県の113台など、23府県と6市の計1124台でインストールが確認された。

 通信記録を保存していた自治体のうち、12府県市ではバイドゥ側へのデータ送信を確認。熊本県の場合、昨年12月1日からの25日間で280メガ・バイトに及んだ。1文字2バイトで単純計算すると1億4000万文字分で、新聞2年分の文字情報にあたる。ソフトは内部情報が集中する知事公室や、個人情報を扱う健康福祉部を含む全ての部局で見つかったが、県は「個人情報流出の恐れはあるが、調べ方が分からないので現時点で調査の予定はない」と説明している。


インドネシア、ニッケル禁輸…日本の最大輸入先

2014-01-13 15:14:28 | 経済

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20140112-567-OYT1T00924.html
2014年1月13日(月)11:31
(読売新聞)

 【ジャカルタ=梁田真樹子】インドネシア政府は12日、国内の加工産業育成などを目的に、ニッケルなど未加工の鉱石の輸出を禁止した。

 同国は日本のニッケル鉱石輸入量の44%(2012年)を占める最大の輸入先。日本の非鉄大手などは当面、在庫消化や他国からの調達拡大で対応する方針だが、中長期的には調達が厳しくなり、自動車部品の製造などに影響が出る可能性がある。

 外資も含む資源企業に対し、インドネシアで採掘された鉱石を国内で加工・精錬することを義務付ける「新鉱物・石炭鉱業法」(09年制定)が12日、施行された。未加工の鉱石輸出を事実上禁止するもので、ボーキサイト、コバルトやスズなども対象となる。

 日本政府は、制度の見直しを強く働きかけてきたが、インドネシア国内では資源採掘による収入が「地元経済に十分還元されていない」との不満が強い。4月の総選挙や7月の大統領選挙を考慮して、禁輸に踏み切ったとみられる。

 日本の非鉄金属大手や商社は、規制を見越して今春ごろまでのニッケル鉱石の在庫を確保。今後はフィリピンなどからの輸入拡大で乗り切る方針で、「ただちに影響が出る可能性は低い」(関係者)という。


世界初…カーネーションの全遺伝情報を解読

2014-01-13 15:12:40 | 科学

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140112-OYT1T00265.htm
2014年1月12日17時01分
読売新聞

 公益財団法人「かずさDNA研究所」(千葉県木更津市かずさ鎌足)は、東京農工大などとの共同研究で、カーネーションのゲノム(全遺伝情報)を解読したと発表した。

 観賞、流通用の花のゲノムの解読は世界初。

 母の日の贈り物として定着しているカーネーションはナデシコ科に属し、主に地中海など乾燥地域で栽培されている。国内では一昨年3億1000万本出荷されるなど、キク、バラと共に「世界三大花き」とされている。

 今回解読に成功したのは、赤色の代表的な品種「フランセスコ」で、約4万3000個の遺伝子を持つことがわかった。遺伝子の中には、色や香りなどに関するものも多数発見された。

 同研究所によると、遺伝子情報の解読で、より花持ちの良い品種や、新しい色の品種の開発が期待されるという。


福島第1 ALPS、4月にも本格稼働 海洋放出 汚染水処理に道筋 : 東芝製  

2014-01-13 15:04:16 | 原発

福島原発の汚染水問題 浄化装置 フル稼働へ
月内、計画より1年遅れ
http://www.nikkei.com/article/DGXDASGG0102V_U3A101C1TJM000/
2013/11/5付
日経新聞
 東京電力福島第1原子力発電所の新型浄化装置「ALPS(アルプス)」で、今月中旬から下旬にかけ2系統が試運転を再開する。3系統すべてが同時に動くのは初めて。汚染水から放射性物質を取り除く作業が当初の計画よりほぼ1年遅れで本格化する。今年の夏以降、トラブルが続出し出口の見えなかった汚染水問題を、抜本的に解決する切り札になるのか。世界が注目している。

 汚染水には63種類の放射性物質が含まれる。このうち水と分子構造が似ており、通常の方法では除去が難しいトリチウムを除く62種類について、検出限界未満まで濃度を下げるのが東芝製アルプス。専門用語では多核種除去装置と呼ぶ。

 汚染水に含まれる放射性物質のうち、例えば、体内に取り込まれると骨に蓄積するストロンチウム90の濃度は1リットルあたり1億ベクレルだが、処理後の水は同0.1ベクレル以下に下がった。この濃度なら仮に漏れ出ても、海などが汚染されるリスクは大幅に下がる。

 アルプスにはA、B、Cの3系統あるが、基本構造はどれも同じ。吸着塔が16個あり、活性炭や樹脂、酸化チタンなど7種類の吸着材を入れて放射性物質をこし取る。家庭の浄水器や工場の廃液処理装置と似た仕組みだ。

 吸着材などは廃炉で実績がある米エナジーソリューションズ(ユタ州)と共同で開発した。吸着性能を上げるため、吸着を妨げる物質などを薬剤で沈殿させる前処理設備も加えた。

 処理を重ねていけば吸着材には除去した放射性物質が高濃度でたまる。4カ月以内に交換しなければならない。使用済みの吸着材は米国で低レベル放射性廃棄物の最終処分に使われているポリエチレン容器に入れて保管する。年間800個ほど発生する見通しだ。

 アルプスの処理性能は1系統あたり1日250トン。吸着材の交換などで1系統は止まっていることを前提に、平均1日500トンの処理を見込む。

 現在、福島第1原発内のタンクにたまる汚染水は計35万トン。さらに地下水が流れ込んで1日400トンずつ増えている。

 3系統のアルプスだけでは処理が追いつかず、たまった汚染水はなかなか減らない。東電はさらに装置を増設する。経済産業省も150億円を投じて新型アルプスを開発する。これらを合わせた処理性能は最大で1日2千トン。2014年度末までにすべての汚染水を処理し終える計画だが、ハードルは高そうだ。

 東電は当初、アルプスの稼働を見込んでギリギリの汚染水タンクしか用意していなかった。試運転開始は当初、昨年末の予定だったが、原子力規制委員会が使用済み吸着材を入れる容器の強度が足りないと指摘、再検査で試運転が今年3月までずれ込んだ。

 さらに試運転でも装置の一部が腐食して水が漏れたほか、取り切れない放射性物質が5種類あった。アルプスが稼働せず綱渡りの汚染水管理を強いられ、今も相次ぐ汚染水トラブルの引き金になった。

 東電は今後、3系統の試運転を続けながら、処理方法を改善していく。本格稼働については規制委の認可が得られ次第、速やかに移行する考え。

福島第1 ALPS、4月にも本格稼働 海洋放出 汚染水処理に道筋
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140112057.html
2014年1月12日(日)08:05
(産経新聞)

 東京電力福島第1原発の汚染水処理の中核として試験運転が進められている多核種除去装置(ALPS(アルプス))の本格稼働が、早ければ4月中に行われることが11日、分かった。汚染水対策の切り札とされたが、トラブルが続き稼働が延期されていた。ALPSの本格稼働で汚染水を処理した水が海洋放出できれば汚染水問題は大きく前進する。(原子力取材班)

 ALPSはA~Cの3系統があり、昨年11月に3系統を同時に動かす試験運転に入った。現在は、コバルトなどを除去する3系統共用の前処理設備が長期運転に耐えるかの確認などを進めている。

 1系統で最大1日250トンの汚染水を処理でき、3系統同時にフル稼働すれば1日750トンの処理が可能となる。だが、本格稼働後は1系統が吸着材の交換など整備による停止を余儀なくされるため、常時2系統で処理を進める方針だ。

 政府と東電は、本格稼働により平成27年4月までに原発構内の計1千基の地上タンクに保管している水の処理を終える計画だ。主な放射性物質を除去した水を保管できるようになれば、漏洩(ろうえい)があった場合にも汚染を大幅に抑えられる。

 さらに、汚染水の海洋放出への道も開ける。原子力規制委員会は「(基準値以下に薄めて)海に放水することは避けられない」(田中俊一委員長)としており前提条件が整う。

 福島第1原発では、1~4号機の原子炉建屋に地下水が流れ込み1日約400トンの汚染水を生んでいる。建屋の周辺土壌を凍らせ、地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」は年内に完成する予定。9月には、政府と東電がそれぞれ整備を進める高性能多核種除去装置(新ALPS)が完成、建屋周辺の地下水をくみ上げる「サブドレン」と呼ばれる大型井戸の運用も始まる。

 しかし、ALPSの試験運転では停止が昨年以降相次ぎ、今月7日にもクレーンの不具合で運転が中断するなど、本格稼働に向けた安定化が課題となる。