日本発企業、災害救援ロボットコンテストで圧勝
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131223-OYT1T00464.htm?from=blist
(2013年12月23日18時42分 読売新聞)
【ホームステッド(米フロリダ州)=中島達雄】原子力発電所の事故など、人間が近付けない場所で災害救援するヒト型ロボットのコンテストが21日に終了し、米グーグル社が買収した東大卒業生らのベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」が1位になった。
決勝大会は来年12月に開かれ、優勝チームには賞金200万ドル(約2億円)が贈られる。
コンテストは米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催。米国を中心に16チームが参加し、車の運転、はしご登り、ガレキ除去など8種目で得点を競った。
SCHAFTは全種目で高得点を記録し、32点満点で27点を獲得。2位の米フロリダ人間・機械認知研究所(IHMC)の20点を大きく引き離し圧勝した。
グーグル、ロボット開発のボストン・ダイナミクスを買収
http://news.goo.ne.jp/article/wirelesswire/business/wirelesswire_201312161943.html
gooニュース×WirelessWire News2013年12月16日(月)10:45
グーグル(Google)は米国時間13日、「BigDog」や「WildCat」などの四足歩行ロボットを開発したことで知られるボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)の買収を発表した。
ボストン・ダイナミクスは、1992年にマサチューセッツ工科大学の元教授、マーク・ライバート(Marc Ribert)氏が立ち上げたロボットベンチャー。同社は、さまざまな地形を移動するロボットや、高速で走行するロボットなどの開発を進めており、米国防省高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、Darpa)への技術協力やソニーの消費者向け犬型ロボット、アイボ(Aibo)へのコンサルティングなどでも知られる。
グーグル幹部によれば、同社は既存の軍事契約については買収後も継続するものの、同分野の請負業者になるつもりはないという。なお、買収額については明らかになっていない。
グーグルでは、Androidの生みの親として知られ、今年春まで同社のAndroid部門のトップを務めてきたアンディ・ルービン(Andy Rubin)氏が次世代のロボット開発を目指すプロジェクトを進めていることが今月はじめにNYTimesで報じられていた。また同社はこの半年間に、ロボット開発関連のベンチャー企業を7社買収したこと(東京大学の情報システム工学室からスピンアウトしたヒト型ロボット開発のシャフト(Schaft)というベンチャー企業も含む)や、ルービン氏が現在日本や米国でロボット分野のエンジニア採用を進めていること、パロアルト(カリフォルニア)と日本にオフィスを構える予定であることも明らかにされていた。
グーグルが買収したとされる企業のなかには、人型ロボットやロボットアームを手掛けてきた企業が含まれていることから、グーグルはこれまで人間が行ってきた単純作業を代行できるロボットの開発を目指しているとの推測も出ており、倉庫作業から宅急便、高齢者介護までさまざまな利用の可能性が浮かび上がっている。
なぜ日本は原発作業ロボを創れないの? 技術あっても「宝の持ち腐れ」
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20140113504.html
2014年1月13日(月)10:17
(産経新聞)
東京電力福島第1原子力発電所事故を機に、原発施設で作業するロボット開発が加速している。日本でも世界に先駆けた技術も登場しているが、市場は実績のある大手企業や有名大学が独占し、ベンチャー企業は画期的な技術を開発しても参入は困難なのが実情。福島の事故では原子炉建屋に初投入されたロボットが米国製という屈辱を味わい、米IT大手がロボット関連企業の買収を進めているのも脅威だ。日本のお家芸といえるロボット分野の発展には優れた技術ならベンチャーや中小企業にも門戸を閉ざさない度量が必要だ。(板東和正)
「世界に誇る技術を生み出しても、原発の作業用ロボットへの活用は難しい」。ロボットやセンサー技術を開発するベンチャー「旭光電機」(神戸市)の技術部社員は、冷めた表情を浮かべる。同社は平成24年12月、被災地など危険な場所で障害物撤去や、機材の搬送を手がける電動ドリル搭載の「人型ロボット」を開発したばかりだ。
操縦者が体を動かすことで遠隔操作できるロボットで、何百キロ離れた場所でも自在に動かせる驚異的な操作性を実現。とくに、ロボットの頭部や指先にはカメラや各種センサーなどが設置されており、ロボットの作業状況や周辺環境を視覚や聴覚だけでなく、触感までもが操縦者が装着するゴーグル内のディスプレーやヘッドホン、さらにグローブで再現できる。まさに世界的な技術者も目を丸くするSF映画顔負けの技術なのだ。
作業員が入ることのできない危険地域の情報を離れた場所から知ることができるうえ、触ることもできる技術は、原子炉建屋に投入するロボットにはのどから手がでるほどほしい技術のはずだが、同社は原発での作業用ロボットへの転用はほぼあきらめており、医療向けでの実用化を目指している。
原発で作業するには高い放射線量など過酷な環境での作業にも耐えられる設計にしなければならないが、それには度重なる実証試験のために多額の資金や国の支援が不可欠だ。しかしベンチャー企業は資金的余裕も国の支援を受けるチャンスも少なく、「宝の持ち腐れ」になっているのが現状だ。「国の支援を実際に受けられるのは大手企業や有名大学に限られている。災害用ロボットの市場は実に閉鎖的だ」。前述の社員は残念そうに打ち明ける。
昨年2月。原発施設内での作業を想定したロボットの開発で日本一の実績を誇る千葉工業大学のキャンパスで、新型ロボットの発表会が盛大に開かれた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、千葉工業大をはじめ、三菱重工業や日立製作所など大手企業が原発構内で作業できるロボット関連技術を紹介した。しかし、あるベンチャー企業関係者は「日の丸技術のお披露目会のようだったが、大手など限られた企業や大学だけの発表会で、オールジャパンではない」とこぼす。
世界の産業用ロボットで世界の5割超のシェアを持つ日本メーカーだが、福島第1原発事故では原子炉建屋に初めて投入されたロボットが米国製だったことにショックを受けた。その後、冷却設備の機能を確認するのに千葉工業大の和製ロボットが使われたことで面目を施したが、実績値が高い米国製ロボットに頼っているのが現状だ。
日本原子力発電が導入した原発施設内で放射線量の測定や撮影を担うロボット3台も米国製だ。今後、ロボットを10台程度に増強する方針で、日本製の採用も考えられるが、ベンチャー企業への門戸はほぼ開かれていない。この閉鎖的な状態に、米国のロボット技術者がこう指摘する。「日本は失敗を過度に恐れるあまり、実績のある米国製や一部の企業、大学に一本化している。このことが競争力を弱め技術の開発を遅らせている」
経済産業省は昨年12月の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示し、「原子力規制委員会が安全性を確認した原発は再稼働を進める」と明記している。今後、原発の再稼働が進めば、こうした原発施設で作業するロボットの活躍の場は広がっていくとみられる。ただ、こうしたロボットを開発・製造する日本の業界は、技術そのものの善し悪しではなく、開発した大学・企業の過去の実績が採用基準で優先される傾向が強いといわれる。
過酷な現場で作業する災害用ロボットの先進国でもある米国では、ベンチャー企業が開発した技術が多く採用されているのとは対照的だ。先月の米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救援ロボットの競技会にはグーグルが参加し、買収した日本企業などの技術を駆使して活躍した。
ロボット技術を研究する千葉大学大学院工学研究科の並木明夫准教授は「ベンチャー企業に対する長期的な支援がなくては最先端の技術は育たない」と訴えている。「ロボット大国」の立場を守り、さらに過酷な環境で作業するロボット技術で世界をリードするためにはまず閉鎖性の打破とチャレンジスピリットが求められるのだ。