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TPP参加へ 経済的孤立と支持率低迷を危惧する台湾・馬政権

2014-01-13 15:18:33 | TPP

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140112518.html
2014年1月12日(日)12:36
(産経新聞)

 台湾の馬英九(ばえいきゅう)政権が地域経済で孤立する危惧に焦りをにじませている。馬総統(63)は年頭の演説で、2014年を「台湾経済の突破年とする」と宣言。中台双方の市場開放を促進するサービス貿易協定に反対する野党に対し、立法院(国会に相当)での早期承認に協力を呼びかけるとともに、海外との自由貿易協定(FTA)締結を一層推進する意向も強調。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた具体策の模索にも乗り出した。

 対外貿易、投資に活路

 「(総統就任以来)過去5年の元旦のあいさつは主に1年間の政策の成果を振り返ることだったが今年は違う」

 馬総統は元日、台北市内の総統府で江宜樺(こうぎか)行政院長(53)=首相=以下、各要職を前にこう切り出した上で次のように語った。

 「今年の重点はただ一つ。全民あげて経済において努力することだ」

 演説の中で馬総統は、天然資源に乏しく、内需も限られている台湾の経済成長は、海外との貿易や投資などを頼みとする以外にないと強調。日中韓のFTAに向けた動向などと照らし、台湾の貿易自由化の取り組みが停滞すれば「手遅れになってしまう」と地域経済で孤立する危惧に触れ、TPPや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加に向けて、より具体的な戦略を定める意向を示した。

 野党にも協力呼びかけ

 市場拡大については、馬政権が08年の発足以来、経済を軸に改善してきた対中関係の更なる強化の重要性にも踏み込み、昨年6月、中台の窓口機関トップが上海で調印したものの、台湾の立法院での承認が遅れているサービス貿易協定にも言及した。

 馬総統は「与野党協力して台湾の経済発展に有利な議題を迅速に通過させるべきだ」として、反対している野党にも立法院での早期承認を呼びかけた。サービス貿易協定は電子商取引や医療、旅行業など、開放項目数は中国80、台湾64と台湾側に有利な取り決めだが、野党は「中国による統一工作」「大企業優先で、台湾の弱い産業にとっては打撃が大きい」と反発しており、立法院での採決は今春以降になると見られている。

 そもそも馬政権は台湾の輸出伸長にかげりが見える中で誕生した経緯があり、経済的に無視できないレベルに成長した中国と関係を改善し、台湾の経済にテコ入れしてゆくことは当初からの課題だった。

 事実、政権発足翌年には中国との自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)の協議に入り、10年に締結。また12年には中台で投資保護・促進協定などを締結し、中国大陸市場を確保してきた。

 一方で「活路外交」を掲げ、11年には日本と投資取り決めを結び、13年にはニュージーランドと事実上の自由貿易協定にあたる経済協力協定(ANZTEC)を、同様にシンガポールとも経済連携協定(ASTEP)を締結。TPPに関しても20年までに参加の方針を打ち出していたが、一時的に回復した輸出の伸長も再度かげりの中にあり、経済成長率と実質賃金水準も低迷。着実な前進姿勢を示す段階を迎えたようだ。

 参加への具体策を

 この年頭演説から中1日おいた3日、馬総統は経済部長(経産相)などからなる対外経済・貿易戦略の専門チームを招集し、TPP、RCEPへの参加に向けた態勢や状況を総点検。特にTPPについては、「2月末までに準備に着手し、7月末までに参加に必要な具体策をまとめるように」と指示した。行政院では、それに応じるための特別専門チームを成立させ、毎月開催する方針を発表。また、蕭万長(しょうばんちょう)前副総統(75)も近く民間団体を立ちあげて後押しする意向を示すなどで呼応した。

 張家祝(ちょうかしゅく)経済部長(63)によると、現段階でTPPに参加の12カ国と台湾の貿易額は2001億ドルで、台湾の貿易額全体の35%を占めており、同様に中国を含むRCEP16カ国では3233億ドルで、台湾の貿易額全体の57%を占めるという。

 馬総統は演説で、「自信を持ち、競争を恐れず立ち向かうことで進歩できる」と語りかけたが、民放世論調査による支持率は11%に低迷。今年末には16年の総統選を占う統一地方選も控えており「全民あげての経済努力」の実現には大きな困難を伴いそうだ。(吉村剛史 台北支局)


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