以前、拙ホームぺージ(今では閉鎖してしまっていますが)で、「伊万里染付輪花形波鳥文小皿」というものを紹介したことがあります。
表面
表面上方部分の雨降り文の拡大画像
裏面(高台内に「古人(いにしえびと)」らしき銘があります)
サイズ : 口径:12.2cm 高台径:6.9cm 高さ:3.0cm
製作年代 : 江戸時代中期
この小皿を拙ホームページで紹介しましたのは平成30年の5月1日のことです。
私は、この小皿を買ってきて以来、ず~と、この小皿を「古人(いにしえびと)」銘のものとばかり思っていました。
ところが、この小皿を紹介するに当たって、よ~くこの小皿の「銘」を観察してみましたら、どうも、これは、「古人(いにしえびと)」ではないのではないかとの疑念を抱くようになったんです。
それは、「銘」を一つの漢字としてみた場合、漢字の右側の旁(つくり)に相当する部分の上方が「士」となっていることに気付いたからです。正式な「古人(いにしえびと)」銘の場合は、旁に相当する部分の上方が「古」になっていますから、、、。
これでは、「古人(いにしえびと)」銘ではなく、「士人(さむらいびと)」銘になってしまうではないかということに気付き、愕然としたものです。
でも、その時は、ず~と、「古人(いにしえびと)」銘と思っていたことでもありますので、そこは、大目にみてもらって、一応、「古人(いにしえびと)」銘として紹介させていただいたところです(-_-;) ただ、「必ずリベンジをする」と心に誓って!
しかし、チャンスは直ぐに訪れました(^-^;
この小皿をホームページにアップした2日後の平成30年5月3日のこと、東京にまで遠征して行った「東京・平和島「全国古民具骨董まつり」」の会場で本物の「いにしえびと」に巡り合ったんです(^-^;
これを、最初、遠くから見た時は、「あれっ! 盛期鍋島じゃないの!」と思いました。「こんな所に盛期の鍋島があるなんて珍しいな~」と思いました。
伊万里染付輪花形唐花文小鉢
しかし、近づいて良くみましたら、疵だらけです(><) 「やっぱりな~、こんな所に盛期鍋島なんか転がっていないものな~」と思ったものです。
上から見たところ(まるで陶片です)
ところが、裏面を見て、これは鍋島ではないことに気付きました。高台内に「銘」が入っているからです。
底面(どこから見ても、まるで陶片ですよね)
しかも、その「銘」は、ほんの数日前にリベンジを誓った、本物の「古人(いにしえびと)」銘ではないですか(^O^) しっかりと、旁に相当する部分の上方が「古」になっています!
私は、これでリベンジが果たせると嬉しくなりました(^-^;
それに、こんな破片みたいな疵物だから、高いことはないだろう、安く買えるんだろうとも思い、嬉しくなりました(^-^;
しっか~し、値段をみたら、法外に高いではないですか!
でも、こんな酷い疵物なんだから、交渉次第では安くなるんだろうとたかを括って交渉に臨みましたが、難交渉です(><)
私は、「こんな酷い疵物なのに、何故、こんなに高いんですか。もっと安くならないんですか」と問い詰めました。
それに対し、店主は、「それは、補修代が高かったからです」との返答です。
それを聞いて、私は、「なるほど~」と納得し、二の句が告げられませんでした(-_-;)
それでも、やはり、私としては、リベンジが果たせるわけですから、暫くの間、「高いな~。でも欲しいな~。う~~ん、う~~~ん」と唸るばかりです(笑)。
そうしていましたら、店主も気の毒に思ってきたのか、「これでも、自分の店では特等席に鎮座している物なんですよ。でも、やはり高いので、なかなか売れないで残っているんです。せっかく目に留めていただいたのですから、今日は、特別に、ハシッパの8,000円だけオマケします」と提案してきました。
よくあるセリフですが、私としても、リベンジを果たしたいという気持ちが先立ち、遂に購入を決断したわけです。
お陰で、所持金は、帰りの電車賃+アルファーぐらいしか残らなくなってしまいましたので、その後、間もなく会場を後にしました。
サイズ : 口径: 10.2cm 高台径4.6cm 高さ6.2cm
製作年代: 江戸時代中期
追記(令和2年8月12日)
今日、何気なく、或る古美術商さんのホームページの商品紹介コーナーを覗いていましたら、最初に紹介した「伊万里染付輪花形波鳥文小皿」とそっくりの商品が紹介され、その高台内に書かれた「銘」は、「柿銘の古人」銘というものであることを紹介していました。
業界では、この「伊万里染付輪花形波鳥文小皿」の銘を、「柿銘の古人」銘としているようですから、一応は、「古人(いにしえびと)」銘としているわけですね。
ということは、あえて、リベンジしなくともよかったのかもしれません(-_-;)