フライトデッキ(飛行甲板)でぶっ倒れそうになった鋼材部品の周りで、我々は立ち尽くしていた。
「オイっ!ちょっと!」
私は須藤と堂本を大声で呼びつけた。
二人は私の剣幕に驚いた顔をして、小走りでやって来た。
「何をやってんの」
「・・・」
「・・・」
二人は意味が分からないのか、ポカンとしている。
「どう見たってあんな物、人間の手で支えられないでしょ」
「…はい」
須藤が返事をする。
「二人とも両手を出して走り込んで、支えようとしてたよね、あの鋼材を」
二人は困惑した顔をしている。
「うひゃひゃひゃひゃ、正子もヨシ子も、あんな物を手で支えられるんだ!ハルちゃんもビックリだおぉ」
ハルが私の後ろで大笑いをしている。
「ヨッシー、どう見ても2トンはありそうなあんな鉄の塊を、素手で支える自信があるの?」
「いえ…」
「正男ちゃん、倒れてくるあの鋼材を支えることが出来るの?」
「…出来ません」
「だったら逃げなきゃダメでしょ」
「…ハイ」
二人はようやく私が怒っている意味を理解したらしく、シュンとしている。
「あのね、最終的に一番損をするのは、怪我をした本人なんだからね。どんなにお金を貰っても、障害が残れば一生その身体で生きていくのは正男ちゃんとヨッシーなんだよ。お金を貰えれば重度の障害が体に残ってもイイと思う?」
「いえ…」
「思いません…」
二人は否定する。
「まして死んじゃったら終わりだよ?俺とハルさんが、『そう言えば、2トンもある鋼材に自ら突っ込んでいった馬鹿がいたなぁ…』って思い出す程度だよ?それでイイの?良くないでしょ?」
「はい…」
須藤は返事をし、堂本は頷く。
「つまりああいう時は、迷わず逃げろ!ってこと。他人のことなんか一切無視して、走って逃げるの!それが正解」
「分かりました」
「すみませんでした…」
二人は私の言葉を聞き、やっと安心したような表情を浮かべた。
「うひゃひゃひゃ、ヨシ子ぉ、今から俺があの鉄の塊をブッ倒してやっから、向こう側で支えてみろよ」
私の説教が終わったので、今度はハルが嬉しそうに前に出る。
「いや、出来ません」
苦笑いをする堂本に、さらにハルが絡む。
「っちゃあ、自信があるから支えに行ったんだべぇ」
「今思うと無理でした。でも、ハルさんだって倒せませんよね、あれ」
堂本はニヤニヤと笑っている。
「っちゃあ!倒せるべぇ、あの程度は。軽自動車くらいなら一人でひっくり返した事があんだからさぁ」
「け、軽自動車ですか?」
堂本の目が点になった。
「オイっ!ちょっと!」
私は須藤と堂本を大声で呼びつけた。
二人は私の剣幕に驚いた顔をして、小走りでやって来た。
「何をやってんの」
「・・・」
「・・・」
二人は意味が分からないのか、ポカンとしている。
「どう見たってあんな物、人間の手で支えられないでしょ」
「…はい」
須藤が返事をする。
「二人とも両手を出して走り込んで、支えようとしてたよね、あの鋼材を」
二人は困惑した顔をしている。
「うひゃひゃひゃひゃ、正子もヨシ子も、あんな物を手で支えられるんだ!ハルちゃんもビックリだおぉ」
ハルが私の後ろで大笑いをしている。
「ヨッシー、どう見ても2トンはありそうなあんな鉄の塊を、素手で支える自信があるの?」
「いえ…」
「正男ちゃん、倒れてくるあの鋼材を支えることが出来るの?」
「…出来ません」
「だったら逃げなきゃダメでしょ」
「…ハイ」
二人はようやく私が怒っている意味を理解したらしく、シュンとしている。
「あのね、最終的に一番損をするのは、怪我をした本人なんだからね。どんなにお金を貰っても、障害が残れば一生その身体で生きていくのは正男ちゃんとヨッシーなんだよ。お金を貰えれば重度の障害が体に残ってもイイと思う?」
「いえ…」
「思いません…」
二人は否定する。
「まして死んじゃったら終わりだよ?俺とハルさんが、『そう言えば、2トンもある鋼材に自ら突っ込んでいった馬鹿がいたなぁ…』って思い出す程度だよ?それでイイの?良くないでしょ?」
「はい…」
須藤は返事をし、堂本は頷く。
「つまりああいう時は、迷わず逃げろ!ってこと。他人のことなんか一切無視して、走って逃げるの!それが正解」
「分かりました」
「すみませんでした…」
二人は私の言葉を聞き、やっと安心したような表情を浮かべた。
「うひゃひゃひゃ、ヨシ子ぉ、今から俺があの鉄の塊をブッ倒してやっから、向こう側で支えてみろよ」
私の説教が終わったので、今度はハルが嬉しそうに前に出る。
「いや、出来ません」
苦笑いをする堂本に、さらにハルが絡む。
「っちゃあ、自信があるから支えに行ったんだべぇ」
「今思うと無理でした。でも、ハルさんだって倒せませんよね、あれ」
堂本はニヤニヤと笑っている。
「っちゃあ!倒せるべぇ、あの程度は。軽自動車くらいなら一人でひっくり返した事があんだからさぁ」
「け、軽自動車ですか?」
堂本の目が点になった。