Kさんの椅子

※ドネーションシップわかちあい会員ページより、日記を紹介します


◆Ｋさんの椅子

このたびの大震災の前日３月１０日に、
私がヘルパーになってからずっとお世話になっていた
利用者のＫさんが亡くなりました。

猫と植木が大好きで、オセロと将棋が得意なやさしくてかしこい方でした。
下手なわたしのオカリナをいつも褒めてくれていました。
つくみさん（注：娘さん）が生まれてからは
つくちゃん、つくちゃんとよくかわいがってくれました。

わたしは身近な人をなくしたことがなく、
今でもその方がいらっしゃらなくなったなんて信じられません。

つくみさんが保育園に行くことになり
これから働こうという時に、その方の仕事が無くなり、
自分の生活の一部がなくなったように感じます。

私が独り暮らしをしていて
親ともあまり仲がよくなかったときには
「いつも来てくれてありがとう」と笑顔で言ってくれる
Ｋさんに必要とされていることがまさに生き甲斐でした。


そんな方が急にいなくなってしまい、その後にこんな大震災。
なんだか感情に頭と体がついていっていない気がします。

ただ漠然と、自分も、社会も、
大きく変わっていかないといけない時期なのかもしれないと思います。

まだつくみが首も座っていなかったころ、
Ｋさんのお宅にあったちいさな籐の椅子を
「つくちゃんにあげるねん」と言っていたらしく、
その椅子をいただくことができました。

つくみさんはその椅子がお気に入りで
テレビを見るときよく座るので、
椅子を通じてＫさんが
つくみさんの成長を見守ってくれているような気がします。


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