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NPO法人「ドネーションシップわかちあい」事務局ブログです

タクシー運転手から~新型コロナで収入激減<現場の声>

2020-04-12 10:25:53 | 会員さんの声
※交流掲示板から、了解を得て転載させてもらいます
タクシーの現場の声です

◆収入激減のなかで~ 現場の声
新型コロナウイルスの影響で自粛要請が広がるなか、多くの業種、多くの庶民が厳しい状況に追い込まれています。
私が働いているタクシー業界も大きな影響を受けています。
この間私が見てきた現場の状況を、少し書かせてもらいます。

◆観光都市、京都のタクシー現場では
私は京都でタクシードライバーの仕事をしています。
京都は観光都市でもあり、多くの観光客とりわけ近年は海外からのお客さんで大変賑わっていました。
昨年(2019年)秋に消費税が10%に上がり、京都でも観光のお客さんが減りました。
京都の秋はタクシーも毎年繁忙期なのですが、昨年の秋はずいぶんと様子が違っていたようです。

新型コロナウイルスの影響が出始めたのは今年(2020年)の1月中旬ごろからです。
海外からの観光客が激減し、京都の街は嘘のように静かになりました。
2月に入ると国内旅行のお客さんもほとんど来られなくなり、
私たちタクシーの売り上げも例年と比べるとおおむね半減してしまいました。
3月はさらに厳しく売り上げは6割~7割減少。

タクシーは歩合給なので、売り上げに連動して給料も減ります。
多くの社員が一日に11時間働いていたところを14時間まで伸ばすなどして
売り上げを確保しようとしていましたが、それでも追い付かず皆が疲弊していきました。
朝7時に家を出て、一日中走り続けて、クタクタになって夜10時に帰宅する毎日。
日々食べていくために無理な残業を重ね、逆に過労とストレスで病気になるんじゃないかとさえ思いました。

そんななか、3月下旬にコメディアンの志村けんさんがコロナの肺炎で死去されたと報道さてれからは、
更に目に見えてお客さんが減りました。
桜満開の京都ですが、どこの観光地もまったく人がいなくなっていて…。
嵐山・金閣寺・伏見稲荷・清水寺…、どこもまるで早朝の風景みたいにガラガラで衝撃的でした。
春の桜の時期は例年なら一日に4万円売り上げていたベテランドライバーが、
今年は5千円に届くかどうかという状態ですから、おおむね9割減少です。

どんなに走り続けても売り上げが上がらない徒労感は、本当につらいものです。
「今日もあの厳しさが続くのかと思うと、朝起きるのが辛い」
「仕事に行きたくない。心が壊れそうだ」
職場から笑顔が消えていきました。


◆もうタクシーじゃ食っていけない
京都駅にタクシー乗り場があり、その待ち時間がドライバー間でよく話題になります。
お客さんに乗って頂くまでの待ち時間です。
お正月は待ち時間ゼロでした。
1月後半はだいたい30分間待ち。
2月になると1時間待ち。
3月は2時間待ち。
4月に入ると実に3時間待ちになりました。

例年なら桜の時期は長く待っても10分間ほど。 
春の土日は逆にお客さんがタクシー待ちで並ばれるくらいです。
先日私の同僚は3時間待ってやっとご乗車いただいたものの、お客様の行き先が近くて、
料金は千円にも満たなかったとこぼしていました。
今や街を流していても3~4時間のボウズ(売上ゼロ)はよくある状態なので、3時間待ってでも駅に並ぶのです。
ベテランドライバーさんも「40年間タクシーに乗っているが、こんなに酷いのは初めてだ」と言います。

毎日がそんな具合ですから同業他社のドライバーたちも気持ちが荒むのでしょう。
マナー違反や掟破りで、他社のタクシーを出し抜いてでもお客さんを奪っていく者。
他社のタクシーに先んじようと、赤信号を無視してでもお客さんを奪っていく者まで現れました。
それほどにみんなが苦しいのです。

私の会社でも学齢期のお子さんをもつドライバーさんなどは「もう家族を養えない」と、転職を決めました。
若い人たちは「面接を受に行く」と言いますが、50才を越えたドライバーは転職先を探すのも大変です。

そうして迎えた2020年4月7日、政府から緊急事態宣言が出され、7都府県が指定されました。
京都府に隣接する大阪府と兵庫県も指定されました。
この日から、京都の街から人の姿が消えていくのを、職場の誰もが感じていました。
「もう上手い下手は関係ない。街に人自体がいないのだから」
ドライバー達の焦りや危機感は、あきらめと悲壮感に変わっていきました。
その日事務所へ帰ってきて嘆いている中堅ドライバーがいました。
聞くと、今日は10時間働いても2組しかご乗車いただけずに、売上は1,700円だったそうです。
歩合給のため(賃率50%として)、その日の加算は850円にしかなりません。
時間で割れば、たったの85円です。
もう壊滅的な状況です。

これを書いているちょうど今、会社の同僚のMさん(50代男性)から電話がありました。
「今日はいよいよ恐れていたことが起こった。 
タクシーを8時間走らせても、売り上げはゼロだった」と。
聞くと彼だけでなく勤務4年目のYさんもゼロだったとか。
そう、今日は京都市と京都府にも緊急事態宣言を出すように、政府に要請したのでした。
「今日の京都市内はまるでゴーストタウンだった。
もうタクシーじゃ食っていけない」と…。

厳しいのはタクシーだけではありません。
飲食業・宿泊業・小売店…、特に中小・零細はもうまさに死活問題だそうです。。
飲食店でもお客さんゼロの日があると聞きましたが、
そんなときでも食材はそろえておかなければならないのですから、
更に状況は深刻だと思います。
飲食店を開けていても赤字だし、かといって休業してもテナント料はかかるのですから…。
それにしても政府の対応はあまりにも酷過ぎると思います。
自粛を要請するなら、まっとうに補償しろ!です。

「本当はその時困っている人を支え合うのが社会のシステムなのだから、
政府は緊急にこの国に住むすべての人に10~20万円をすぐに支給するべきだ!
こっちは納税の義務を果たしてるんだから、政府も国民のいのちぐらいは守れ!」
同僚Mさんの叫びです。


◆社会福祉協議会が無利子の貸付

今日電話をくれた同僚のMさんとは同期の入社で、仲良く仕事をさせてもらっています。
独身のMさんですが訳あって関東から引っ越してきたばかりでタクシーを始めることになり苦労も多く、
この間の収入激減で暮らしも厳しい状況になっていました。
社員の厳しい暮らしぶりに無関心な会社の態度に対して「一時金が出せないなら、せめて無利子の貸付くらい
すればいいのに。会社はそんな気持ちすらないようだ」とMさん。
いよいよ転職を考えて先日面接を受けたが、条件が折り合わなかったそうだ。

そんななか、私は先日ドネーションシップの事務局ブログで紹介されていた「もやい」の大西さんの記事を見ました。
→ https://note.com/hirokim/n/n791044bdaa11
その中に「社会福祉協議会が無利子の貸付をしている」という情報がありました。
さっそくそのPDFファイル( https://www.mhlw.go.jp/content/000613522.pdf )をプリントして、
同僚のMさんにお渡ししました。

面接も不調でこの先の暮らしの目途も立たずに沈んだ表情のMさんでしたが、
無利子の貸付の情報にふれて表情が明るくなり、喜びと安堵に元気が出てきた様子でした。
プリントを手にして、先ずは住所地の社会福祉協議会に電話したそうです。
電話が殺到しているようで、なかなかつながらずに時間がかかったそうです。
やっとつながると、「来庁予約をしてください」ということで、最短でも2週間後の来庁予約となったとか。
そこで給与明細・住民票などを出して審査になり、通れば1週間ほどでお金が振り込まれるそうです。
最短でも3週間後の振り込みになります。
それでもMさんは「スクーターを売り払って食費を捻出しようかと思っていたけど、これで助かりました。
借り入れの目途がついたので、安心して次の仕事を探せそうです」と笑顔でした。

Mさんの弟さんも同じタクシードライバーです。
弟さんもここ2カ月間の収入減で生活が苦しいそうで、Mさん(兄さん)から「無利子の貸付」話を聞いて、
自分も利用したいと社会福祉協議会に電話したそうです。
弟さんの住所地の社会福祉協議会は更に状況が厳しく、2週間後にならないと来庁日さえ分からないそうです。
電話で担当者は「タクシードライバーからの貸付の問い合わせも多い」と話していたそうです。
弟さんは「来週退職してすぐに別の仕事に就くけれど、次の職場の給料が入るまでのタイムラグがあり生活が厳しかった。
この貸付で安心して家族4人を養うことができるので助かりました」と。
みんな収入激減の中で、綱渡り状態です。

社会福祉協議会へ電話が殺到していることに、庶民の暮らしの厳しさをひしひしと感じ、胸が痛む思いです。
預貯金ゼロ世帯が多いなか、収入の激減は即、今日明日の食べるものにも直結するのです。
アベノマスク2枚の「ドケチ政権」には、この厳しさは理解できないのでしょうか。
消費税でさんざん搾取しておきながら、貧乏人は死ねばいいとでも思っているのでしょうかね。


◆国からの30万円の現金給付
現金給付の条件のなかに「住民税非課税水準」というのがあります。
その金額が具体的にいくらなのかを聞きたくて、私も区役所に電話してみました。
担当者は、「まだ何も決まっていなくて、何もお答えできない。 
区役所が窓口になるのか市役所が窓口になるのかすら、まだ分からない。
国(総務省)から何も言ってこないので、それらがいつ分かるのかも未定」とのことでした。

京都の市税事務所にも電話しましたが、こちらでも分からいないそうです。
「住民税非課税水準」と言っても扶養控除を含むのか含まないのかなど様々な条件があり、
その枠組みについて国からはまだ何も降りてきていないので、概算の計算すらできない状況だそうです。
発表から3日経っても、何も動いていないことがよくわかりました。
国でもまだ詳細を詰めていないのかも知れないです。
または「いかに条件を厳しくして、給付対象を少なくするか」に知恵を絞っているのでしょうか…。
厳しい現実の中にある庶民は今までの2カ月も続く収入激減のなかで、
もうすでに明日の食費もままならない状況なのにね。

Mさんの弟さんの言葉です。
「毎年なら桜咲く繁忙期のタクシーだが、今年は売り上げが10分の1だ。 
とてもじゃないが食っていけない。
これが2カ月も続けば自殺者や無理心中がでるよ。
コロナで肺炎にならなくても、経済に殺される」


※報道から

◆30万円給付、どうすれば? 見えない詳細、高まる不安◆
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて生活が困難になった世帯を支援する30万円の現金給付策。
政府は10日、これまでの「住民税非課税水準」に代わり、減収後の「月収」を基準にすることを公表した。
だが、具体的な申請方法や支給時期など制度の詳細はまだみえず、収入が減った人たちの不安は高まるばかりだ。
記事の全文はこちら ↓
https://www.asahi.com/articles/ASN4B7RQ1N4BULFA01B.html

◆1世帯30万円の現金給付 基準を簡素化し全国一律に 総務省◆
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入が減少した世帯への30万円の現金給付について、総務省は基準を簡素化し、世帯人数ごとにいくらまで減少すれば給付するかを定めました。世帯主と扶養する家族2人の3人世帯では、世帯主の月収が20万円以下に減少した場合などが対象となります。
記事の全文はこちら ↓
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379971000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_136

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-04-13 06:08:04
44歳。バブル崩壊以降のいろんな不況の形を見てきたけど、今回ほど「事業主となる怖さ」を味わったことはないな。特に飲食経営やイベント業。自分が当事者だったら、トラウマになるレベルと思う。個人が取れる責任の範囲を遥かに超えてる。
https://twitter.com/kappamark/status/1249332500452663296

どうか、死なないで欲しい。相談して欲しい。真面目な人ほど、家賃やローンや税金を当たり前に支払って、キャッシュが枯渇し、絶望し、思考できなくなる。
よりそいホットライン 0120-279-338
いのちの電話 0120-783-556
返信する
Unknown (Unknown)
2020-04-13 06:09:43
西村大臣「休業補償している国は世界に見当たらない」と補償を拒否。
フランスでは「一時帰休」の労働者に給与を84%補償。
ドイツは小規模事業所に3カ月で最大180万円を給付。
イギリスは業種を問わず、勤務先の休業などで休業状態の労働者に月給の8割補償。
世界のどこを見ているのでしょう。
https://twitter.com/shiikazuo/status/1249225484308643843
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Unknown (Unknown)
2020-04-13 06:13:12
新型ウイルス被害は「平等ではない」とBBCキャスター 低所得者ほど感染と
https://www.bbc.com/japanese/video-52253007

BBCの報道番組「ニューズナイト」の司会者エミリー・メイトリスは8日夜、新型コロナウイルスは「金持ちも貧乏人も誰でも平等に扱う」などという言い分や、不屈の胆力があれば克服できるという政府関係者の発言に、「そんなことはない」と反論した。

実際には、低所得者ほど感染する危険が高く、これは公衆衛生の問題であると同時に、社会福祉の問題なのだとメイトリス記者は主張した。
返信する
Unknown (Unknown)
2020-04-13 06:23:51
「要請するならカネをくれ」失業者たちが安倍・麻生邸にデモ
https://tanakaryusaku.jp/2020/04/00022755
2020年4月12日 19:41 田中龍作ジャーナル
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