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安倍首相もオバマも「テロには屈しない」というが、肝心なのは「なぜテロ事件が頻発するか?」である

2015-01-28 20:02:41 | 情報・イベント紹介
※フリージャーナリスト
西谷文和さんのツイッターから紹介させていただきます。
https://twitter.com/saveiraq

安倍首相もオバマも「テロには屈しない」というが、
肝心なのは「なぜテロ事件が頻発するか?」である


◆西谷文和 @saveiraq ・ 1月25日
人質の交換とされている女性サジダ死刑囚は05年アンマンで大規模テロを起こした。私はすぐにヨルダンに入り、事件を取材した。あの時ヨルダンという国全体が悲嘆にくれ、怒りに包まれていた。犯人はイラク人で「イラクのアルカイダ」を名乗っていた。イスラム国の前身。

それまでヨルダンはイラク難民を受け入れていた。しかしこの死刑囚らが起こした大規模同時多発テロで、世論が逆転。イラク難民を受け入れるな!となり、命からがらイラクから逃げてきた難民たちは、さらなる異国へと旅立った。アンマンの広場は難民でいっぱいだったが、ガラガラになった。

イラク難民たちはどこへ行ったのか?大部分はシリアのダマスカスに行った。シリアはイラク難民を受け入れ続けた。その時、私はアサドをある程度評価していた。独裁警察国家で、どこで写真を撮っても尋問されるという窮屈な国で、街角にはアサド父子の写真ばかり。だが少なくとも当時は「人道的」だった

つまり、当時の「イラクのアルカイダ」、今のイスラム国は、イラク難民にとっても大変厄介な存在だった。彼らはその後内戦を煽っていく。シーア派のモスクに爆弾を仕掛け、シーア派を殺していった。シーアの過激派も報復で、スンニのモスクに爆弾を仕掛けていった。

「イラクのアルカイダ」(今のイスラム国)がテロを起こすまでは、各地のモスクから「スンニ、シーアは団結せよ。団結してアメリカを倒せ」というアナウンスが流れていた。私にはスンニ、シーア、クルドの通訳がいる。彼らが共通して主張したことは…


それは「治安を維持している米軍は何をしている?」だった。なぜ次々とモスクが爆破されるのを止められない?彼らの結論。「米軍がイラクのアルカイダ(今のイスラム国)を泳がせて、やらせている」だった。つまり、スンニ+シーアが団結して米軍の占領に反発されるより、内戦になった方がいいのだ。

05年、この死刑囚らが起こしたテロ事件以後、どうなったか?イラクでは米軍対抵抗する人民、という構図が崩れ、シーア対スンニの泥沼の内戦になり、無辜の市民の命が奪われ、イラクは破綻国家となってしまった。「テロとの戦い」は延々と続くことになり、結果として軍産複合体が肥え太った

イスラム国が残忍で狂気的な集団だ、とイメージづけることで、米軍の空爆に対する反対世論が起こらない。「テロとの戦い」は延々と続く。じつはこの「延々と続ける」ことが真の狙いだと思う。こうなるに至った歴史的背景を押さえておかないと、何が原因だったか、が見えなくなっていく。

私は死刑には反対で、あの女性への死刑は執行すべきではないと考えるが、ヨルダンの人々にとって彼女の解放はあり得ない。後藤さんとの人質交換は、かなり高いハードルである。人質2人。イスラム国からすれば切り札が2枚ある。湯川さんを殺害すること、高いハードルを示すこと、で身代金UPなのか

安倍首相もオバマも「テロには屈しない」というが、肝心なのは「なぜテロ事件が頻発するか?」である。原因が分からなければ治療もできない。原因は「あんたら自身にある!」のだ。イスラム国を空爆し、市民を巻き添えにすれば、新たな怒りを生む。日本はそこに金を出す。「十字軍に加わった」のだ。

アフガンで米軍はタリバン壊滅作戦を行ってきた。結果は?タリバン幹部を殺害しても、巻き添えで殺された人々の中から「ニュータリバン」が生まれ、今やアフガン政府軍よりタリバンの方が優勢だ。空爆すればするほど、テロリズムが大きな勢力になっていく。この10年間の教訓を理解していない

「テロとの戦い」を演出している人々=軍産複合体にとっては、アフガン・イラク戦争で大儲けをしてきた。オバマも安倍首相も「飾り」なので、テレビで「テロには屈しない」と叫ばせて、イスラム国には残忍な行為を続けさせて、「空爆を続行すること」が大事なのだろう。武器が売れて儲かるから。




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