いのちは繋がっている

※ドネ会員ページ（ＳＮＳ）より
　会員さんが紹介して下さいました。

東八幡キリスト教会の「牧師の言葉」より転載

◆いのちは繋がっている

いのちは繋がっている。だから「いのちを大切にする」と言うことは、「私のいのち」も「あなたのいのち」も、そして「彼のいのち」も大切にすることを意味する。いのちは一人称では語れない。だが戦争は、これを可能にする。「私たち国民のいのち」に限定してものを言う。それが戦争である。

ホームレス支援が始まって二十数年。この間街は美しく整備された。しかし、僕には醜く変わったと思える部分もある。例えば公園のベンチ。最近のベンチにはつい立のような仕切りが付く。ホームレスが横になることを防ぐためだ。駅から待合室は消え、公園の東屋の屋根もなくなった。どれもホームレス対策。行き場の無い人がベンチで横になるのは当然だ。だが、許されない。
問題はそれだけでは済まない。ひとつのいのちを排除すると「いのち」そのものを排除することになるからだ。そもそもベンチが必要なのはホームレスだけではない。体の具合の悪い人、お年寄り、寝た子を抱えるお母さん。ベンチ撤去は、これらのいのちの排除に繋がる。いのちは繋がっている。それを「彼らのいのち」で済ますと、いずれ「私のいのち」の問題となる。

安保法制が衆議院で強行採決され、来週から参議院での議論も始まる。昨年五月安倍総理は「内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても、国民の命を守る責任がある」と訴えた。全くその通りだと思う。言葉通りやればよろしい。しかし解らないのは、それが「だから国民の命を守るために戦争ができるようにします。アメリカの戦争に参戦します」という法案になること。
国民のいのちが大事だからいのちを捨ててくれと国民に言う。戦争になれば相手方のいのちも奪うことになる。なんだか混乱してきたぞお。「一部の人のいのちを守るために、一部の人には犠牲になってもらいます。あなたかも知れません。日本の繁栄のためには『彼らのいのち』は奪います」といっそ正直に言ってくれたらわかりやすいのに。一層反対するけどね。

アベノミクスも同じでどうも一部の人が喜んでいる。沖縄基地問題も福島の原発も結局は、いのちの普遍性というか、繋がりを無視した犠牲の政策だ。権力者は卑怯だから「国民を守る」などときれい事を言うが、信じてついていくと「すまん、みんなの為に死んでくれ」と言われてしまう。「ええ、僕国民じゃなかったの！？」。一方「みんなの為には当然犠牲が必要だ」というお方もおられる。でも、その場合「みんな」とは誰のことなのかを明確にしてほしいし、その人が「私が行く」とまず言わないとね。

パウロという人は、教会に集う人々を体を構成する「部分」だと言った。ひとつひとつのいのち（部分）が繋がって一つの体を構成する。「もし足が、わたしは手ではないから、からだに属していないと言っても、それでからだに属さないわけではない。
もし一つの肢体が悩めば、ほかの肢体もみな共に悩み、一つの肢体が尊ばれると、ほかの肢体もみな共に喜ぶ。あなたがたはキリストのからだであり、ひとりびとりはその肢体である。」（第一コリント一二章）。
いのちは繋がっている。たった一つのいのちでも「仕方ない」とあきらめると、結果ものすごく多くのいのちを失うことになる。だから、あの法案も総理も本当に止めねば！