
<写真>昔のメートル原器
◆メートル法について<寸法について その3>
212:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第12発 デザインワーク
「無料なんでも相談室」なので、ついでに無料でデザインのコツやツボをお教えしちゃいます。目指せ、連載100回!毎週更新です。
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
アクセスランキング
木全賢の自己紹介
人気blogランキングへ
昨年末、「iPod」のチーフデザイナーでアップルコンピュータのデザイン担当上席副社長、ジョナサン・アイブ氏(38)が、英国のエリザベス女王による、叙勲対象者リストに選ばれたそうです。いいことですねぇ。女王陛下はiPodをお使いとか。
日本でも、全世界に6000万台も売れた初代プレステのデザイナーを叙勲するくらいのことをすればいいのに。あ、天皇陛下はテレビゲームされないかな?
■センチ(cm)とインチ(inch)
昨年末から引き続き、寸法の話の三回目です。前回は、黄金比の話でした。今回は寸法の基本単位系である、メートル法についてです。
デザインで問題になるのは、比率・バランスだから、黄金比が有効なのですが、単位系がデザインに関係するのか?と思われるかもしれません。でも、すこし関わりがあるんです。
例えば、欧米の製品と、日本の製品を較べると、なんとなくバランス感覚が違うような感じがしませんか?
感覚の違いだと言ってしまえば、それまでかもしれません。しかし、そのバランス感覚の違いに、それぞれが使用してる単位体系である、メートル法とヤードポンド法の違いが影響していると、私は思ってます。
●ヤードポンド法
「基本単位として、長さにヤード、質量にポンド、時間に秒を採用する単位系。温度の基本単位には華氏温度を用いる。古くはイギリスで発生し、メートル法が国際的に採用される以前に使用された。」
と、広辞苑にはありますが、アメリカやヨーロッパの一部では、まだ使われています。日本の曲尺・鯨尺みたいなものですね。
■ヤードポンド法はデザイン向き?
メートル法は、10進法です。しかし、ヤードポンド法では、寸法は10進法ではありません。ヤードポンド法の長さの単位は一見、複雑です。
1インチ = 2.54センチ
1フィート= 12インチ = 30.48センチ
1ヤード = 3フィート = 36インチ =91.44センチ
・・・・
そして、もっと細かい寸法は、
1/2インチ、1/4インチ、3/4インチ、1/8インチ、3/8インチ・・・・
と、1/2ずつに刻んで使います。例えば、文字の大きさを表すポイント数は、1/72インチが基準です。
10進法とは、ずいぶん違いますね。
さて、デザインの寸法は、比率・バランスが大切だと言いました。前回の黄金比の使い方で、いくつかの黄金比長方形を組み合わせて、造形していく例を紹介しました。
10進法では、約数は2・5が基本です。そして、デザイン図面では、よほどでなければ、小数点以下1桁未満の端数は切り捨ててしまいます。しかし、ヤードポンド法では、約数に3が加わり、端数なんか気にせずに、1/2・1/4・1/8・・・と分数が融通無碍に使えます。
デザインでは、モチーフになる形を、大きさを変えて組み合わせ、造形のリズム感や統一感を出す手法をよく用います。そのような時、約数が多く、等比級数的な寸法体系を持っているヤードポンド法は、使いやすいのです。
■メートル法も捨てたもんじゃない
なんだか、メートル法がかわいそうな状況になってきましたが、私はメートル法が嫌いではありません。なんといっても、メートル法はわかりやすい。
確かに、ヤードポンド法に較べて、若干制約がありますが、デザインをする上で、少しくらいの制約があるほうが、造形に知らない間に、特徴が出てくるということもあります。
デザイナーとして、20年近くいろいろな商品を見てきて、メートル法でのデザインには、なんとなく、メートル法の単純さが現れているような気がします。これは、個人的な意見で、全く根拠はないのですが。。。
メートル法は、等比級数的な寸法体系は持っていませんが、それは「標準数」の考え方を導入すれば、代用が利くものですし、なんといっても、メートル法の単純さは製図をしていく上で大きなメリットです。
メートル法にそのような特徴があることを、知っていれば、それを造形に生かすことも、足りない点を補うこともできますよね。
次回は、「標準数」のお話をしましょう。
他にも、いろいろな寸法の話をしています。よろしければ、是非ご覧ください。
1) 寸法について(寸法/1)
2) 黄金比について(寸法/2)
3) メートル法について(寸法/3) 【←今回はこの説明です】
4) 標準数について(寸法/4)
5) モジュール寸法について(寸法/5)
6) フィボナッチ数・白銀比(寸法/6)
7) デザインと個性(寸法/番外)
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
アクセスランキング
木全賢の自己紹介
人気blogランキングへ
◆メートル法について<寸法について その3>
212:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第12発 デザインワーク
「無料なんでも相談室」なので、ついでに無料でデザインのコツやツボをお教えしちゃいます。目指せ、連載100回!毎週更新です。
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
アクセスランキング
木全賢の自己紹介
人気blogランキングへ
昨年末、「iPod」のチーフデザイナーでアップルコンピュータのデザイン担当上席副社長、ジョナサン・アイブ氏(38)が、英国のエリザベス女王による、叙勲対象者リストに選ばれたそうです。いいことですねぇ。女王陛下はiPodをお使いとか。
日本でも、全世界に6000万台も売れた初代プレステのデザイナーを叙勲するくらいのことをすればいいのに。あ、天皇陛下はテレビゲームされないかな?
■センチ(cm)とインチ(inch)
昨年末から引き続き、寸法の話の三回目です。前回は、黄金比の話でした。今回は寸法の基本単位系である、メートル法についてです。
デザインで問題になるのは、比率・バランスだから、黄金比が有効なのですが、単位系がデザインに関係するのか?と思われるかもしれません。でも、すこし関わりがあるんです。
例えば、欧米の製品と、日本の製品を較べると、なんとなくバランス感覚が違うような感じがしませんか?
感覚の違いだと言ってしまえば、それまでかもしれません。しかし、そのバランス感覚の違いに、それぞれが使用してる単位体系である、メートル法とヤードポンド法の違いが影響していると、私は思ってます。
●ヤードポンド法
「基本単位として、長さにヤード、質量にポンド、時間に秒を採用する単位系。温度の基本単位には華氏温度を用いる。古くはイギリスで発生し、メートル法が国際的に採用される以前に使用された。」
と、広辞苑にはありますが、アメリカやヨーロッパの一部では、まだ使われています。日本の曲尺・鯨尺みたいなものですね。
■ヤードポンド法はデザイン向き?
メートル法は、10進法です。しかし、ヤードポンド法では、寸法は10進法ではありません。ヤードポンド法の長さの単位は一見、複雑です。
1インチ = 2.54センチ
1フィート= 12インチ = 30.48センチ
1ヤード = 3フィート = 36インチ =91.44センチ
・・・・
そして、もっと細かい寸法は、
1/2インチ、1/4インチ、3/4インチ、1/8インチ、3/8インチ・・・・
と、1/2ずつに刻んで使います。例えば、文字の大きさを表すポイント数は、1/72インチが基準です。
10進法とは、ずいぶん違いますね。
さて、デザインの寸法は、比率・バランスが大切だと言いました。前回の黄金比の使い方で、いくつかの黄金比長方形を組み合わせて、造形していく例を紹介しました。
10進法では、約数は2・5が基本です。そして、デザイン図面では、よほどでなければ、小数点以下1桁未満の端数は切り捨ててしまいます。しかし、ヤードポンド法では、約数に3が加わり、端数なんか気にせずに、1/2・1/4・1/8・・・と分数が融通無碍に使えます。
デザインでは、モチーフになる形を、大きさを変えて組み合わせ、造形のリズム感や統一感を出す手法をよく用います。そのような時、約数が多く、等比級数的な寸法体系を持っているヤードポンド法は、使いやすいのです。
■メートル法も捨てたもんじゃない
なんだか、メートル法がかわいそうな状況になってきましたが、私はメートル法が嫌いではありません。なんといっても、メートル法はわかりやすい。
確かに、ヤードポンド法に較べて、若干制約がありますが、デザインをする上で、少しくらいの制約があるほうが、造形に知らない間に、特徴が出てくるということもあります。
デザイナーとして、20年近くいろいろな商品を見てきて、メートル法でのデザインには、なんとなく、メートル法の単純さが現れているような気がします。これは、個人的な意見で、全く根拠はないのですが。。。
メートル法は、等比級数的な寸法体系は持っていませんが、それは「標準数」の考え方を導入すれば、代用が利くものですし、なんといっても、メートル法の単純さは製図をしていく上で大きなメリットです。
メートル法にそのような特徴があることを、知っていれば、それを造形に生かすことも、足りない点を補うこともできますよね。
次回は、「標準数」のお話をしましょう。
他にも、いろいろな寸法の話をしています。よろしければ、是非ご覧ください。
1) 寸法について(寸法/1)
2) 黄金比について(寸法/2)
3) メートル法について(寸法/3) 【←今回はこの説明です】
4) 標準数について(寸法/4)
5) モジュール寸法について(寸法/5)
6) フィボナッチ数・白銀比(寸法/6)
7) デザインと個性(寸法/番外)
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
アクセスランキング
木全賢の自己紹介
人気blogランキングへ