木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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正方形と整数分割

2008年05月07日 | 黄金比など(コツツボ)
<パナソニックD-snapシリーズ 左上:初代 左下:2代目 右:4代目>


◆日本人の好きな正方形と整数分割
266:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第66発 デザインワーク


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日本人の好きな正方形と整数分割

 黄金分割は西洋のプロポーションですが、日本では正方形を基本とした整数分割が好んで使われます。

 日本の在来工法である木造建築の間取りや畳や家具の基本寸法は1:1、1:2、1:3、1:4というような整数分割でできています。例えば障子の桟は縦横が整数で分割されています。

 障子の桟などの分割の場合、奇数が多用されます。偶数分割だと中心に桟が走りシンメトリー(左右対称)が強調され陳腐になるからだとも、七五三や一月一日、三月三日、五月五日、七月七日など奇数を縁起のよい数字として喜ぶ風習が大陸からもたらされた影響だと言われています。

 整数が縦横比に使われる場合は1:1の正方形と1:2の長方形が多いようです。折り紙や青海苔や柱の断面は正方形に、お札や畳やふすまは1:2の長方形になっています。

 西洋の美の基準はシンメトリー(左右対称)と黄金分割です。それに対して日本の美の基準はアシンメトリー(左右非対称)と整数分割だといわれています。ただし、日本のアシンメトリー(左右非対称)はシンメトリーを否定しているわけではなく、シンメトリーの持つ権威性や陳腐さを少しだけずらして、動きや軽やかさを演出しているのです。

 同じように整数分割も黄金比のような一つの数字に縛られず、かたちに適したバランスのよい比率を与えてくれます。日本のアシンメトリーと整数分割は、シンメトリーと黄金分割よりも融通無碍に形態を扱えるようです。


日本のアイポッドをデザインすると

 パナソニックは見事にアイポッドの日本仕様をデザインしています。

 上の写真に見るように、パナソニックのMP3プレイヤー/D-snapシリーズの初代は正方形でした。

 二代目は、縦横比がほぼ1:2になっており、液晶と操作部を正方形にし、横型でアシンメトリカルなレイアウトになっています。

 三代目では、縦横比が2:5となっており、1:2よりもすこし縦長の整数比にして、正方形の操作部を中央に配置しています。

 初代の正方形はあまりにも直球勝負過ぎますが、どれも日本風のアレンジが見られます。操作部のグラフィック処理が若干うるさいですが、デザイン的には二代目がもっとも日本仕様のデザインといえます。みなさんはどのように感じられるでしょう?


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