木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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可視性とアフォーダンス

2009年12月15日 | 人間工学と認知科学(コツツボ)
<写真 ワンボックスカーのドア取手>


◆可視性とアフォーダンス
297:【人間工学と認知科学】第97発


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 デザインコンサルタントの木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。

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可視性

 「可視性」とは、「製品の現在の状態と、その製品でどんな効果を得られ、どのように操作すればいいかが、目で見ただけで、直感的にユーザーが理解することができること」です。

 ドアの例で言えば、次のようになります。

「製品の現在の状態が直感的にわかる」とは、
  開いているか否か、鍵はかかっているか否か、見るだけでわかること

「その製品でどんな効果を得られるか直感的にわかる」とは、
  ドアの向こうが外なのかトイレなのか、見るだけでわかること

「どのように操作すればいいか直感的にわかる」とは、
  手動か自動か、自動ならスイッチはどこか、開くのは扉の右側か左側か、開けるには押すのか手前に引くのか横に引くのか上に上げるのか、見るだけでわかること

 以上の三項目が、ドアを見ただけ直感的にわかるようなドアが可視性のよいドアだということになります。

 上の写真のワンボックスカーのドア取手の場合、後ドアがスライド式だと簡単にわかります。形と素材のアフォーダンスをうまく使って、商品の可視性をよくすることで、使いやすく親しみやすい商品にすることができます。


アフォーダンス

 可視性を手助けしてくれるのが、アフォーダンスです。

 アフォーダンスは、「モノをどのように使うことできるかを決定する、形や素材などの最も基礎的な特徴」のことです。

 例えば、ドアの場合は、ドアにノブがあれば、押すか引くかまでは不明ですが、ノブのある側が開くことをアフォードしてくれます。ノブの代わりに手より一回り大きな板がついていれば、押せば開くことをアフォードしてくれます。

 物を見ただけで、それをどうすればいいか分かることがアフォーダンスを利用した可視性の改善です。

 アフォーダンスは素材にもあります。英国国有鉄道の旅客待合所の強化ガラス製のパネルがよく割られるため、ベニヤ合板に変えたら破壊されることがなくなったそうです。

 ガラスは叩けば割れるというアフォーダンスを持っているのに対して、木材は落書きするというアフォーダンスのほうが強いため、ベニヤ合板は強化ガラスより硬いわけではないのに、いたずら者の破壊衝動をそらすことができたという事例です。ただし、ベニヤ合板への落書きは増えたそうです。

 形のアフォーダンスでは、少し古い例ですが、創成期のテレビ視聴者から「監視されているような気がする」という苦情が多かったため、調べてみると当時のテレビ画面が丸かったため、覗かれているような錯覚を感じたようです。

 確かに丸い穴は、向こうから覗かれているというアフォーダンスを持っています。目玉も丸いし、カメラレンズも円形です。

 現在のようにテレビ画面が四角くなった背景には、そのような事情もありました。

 現在のテレビのような四角い穴は、窓のようにこちらから向こうを見ることをアフォードしており、テレビの機能と違和感がないというわけです。

 このように、形と素材のアフォーダンスをうまく使って、製品の可視性をよくすることで、使いやすく親しみやすい製品にすることができます。



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