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<写真>ミースのレイクショアドライブアパートとバルセロナチェア
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
記事の目次
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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■アップルの凄さ
07:【デザイン相談室】お返事その1
以前、アップルコンピュータ社を題材に性能とデザインについて書いたとき、質問のコメントを頂きました。
【質問】「つうくん」さんからのご質問
みんなも認める「アップルデザイン」の凄さというのは、具体的にどういうものなんでしょうか。そのへんを詳しく教えていただけると嬉しいです。
期待に沿う回答になっているかどうか心配ですが、早速お返事しますね。
【回答1】凄いのはジョブスですよね
アップルデザインのどこが凄いのか、その歴史など思い出しながらいろいろ考えていたのですが、やっぱり、スティーブ=ジョブスがいるからですよね。
新製品を発表するときは、いつも必ずジョブスが誇らしげにプレゼンテーションします。きっと、彼が満足しない限り、どんな新商品も発表されないに違いない。常に商品について彼が最終的な判断をしている。そして、ジョブスの判断基準の中で「商品の外観デザイン」の位置付けが極めて高い。
だから、アップルデザインは常に『凄い』のでしょう。ジョブスがすべての鍵を握っているのです。それにしても、自分が満足した新商品をプレゼンテーションしているときのジョブスは本当に気持ちがいいのでしょうね。羨ましい限りです。
【回答2】起源はバウハウス
「アップルデザインが凄いのは、ジョブスがいたから」で終わりなのですが、もう少し、アップルデザインについて、具体的に書いてみましょう。
最近のアップルデザインのキーワードはこんな感じではないでしょうか?
【1】透明素材と鏡面仕上げのステンレス
【2】直線・平面・直角・円・球
【3】無彩色
【4】ネジなし
【5】かわいい
実は、【1】【2】【3】【4】はすべて、モダンデザインの始祖である建築家、ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887-1965)やミース・ファン・デルローエ(Mies Van der Rohe 1886-1969)の表現手法が起源です。彼ら、特にミースは、ガラスと鉄という普遍的な材料を使って、装飾のない、透明なカーテンウオールで、詩的とも言える限りない透明な美しさを演出し、インターナショナルスタイルを確立しました。最近のアップルデザインは、ほぼ完璧にその思想を踏襲しているのです。
シカゴのレイクショアドライブのアパートのエントランスにはバルセロナチェア(写真参照)が置いてありました。どちらもミースの代表作です。どうですか?バルセロナチェアとiPodのイメージはぴったりでしょ?
工業デザインの歴史でモダンデザインを確立したのは、バウハウスでした。ミース・ファン・デルローエはバウハウス最後の校長を務めています。最近のアップルデザインの起源はバウハウスなのです。
【回答3】宇宙にエクボを作ろう!
最後の【5】かわいいは、アップルデザインのオリジナルかも知れません。コンピュータ機器の世界で「かわいい」というキーワードは異端ですよね。そのあたりが、コンピュータ機器の世界でのアップルらしさを醸し出しているように見えます。ただ、私は、アップルの「かわいい」にインターナショナルスタイルの『詩的とも言える透明な美しさ』と通底するものを感じます。
バブルの頃、ポストモダンがもてはやされ、頻りにモダンデザインの再構築が試みられましたが、アップルデザインを見ていると「モダンデザイン」を超えるのは、「新しいモダンデザイン」のように思えてきます。
「新しいモダンデザイン」とは何か。ジョブスはこんなことを言っています。
『宇宙にエクボを作ろう!』
宇宙にエクボができるわけはありません。しかし、そういう心意気で商品を開発するとき、「新しいモダンデザイン」「新しいデザイン」ができるのかもしれません。
やはり、経営者にデザインマインドがあるとき、凄いデザインの商品ができるのは、間違いがないですね。
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■アップルの凄さ
07:【デザイン相談室】お返事その1
以前、アップルコンピュータ社を題材に性能とデザインについて書いたとき、質問のコメントを頂きました。
【質問】「つうくん」さんからのご質問
みんなも認める「アップルデザイン」の凄さというのは、具体的にどういうものなんでしょうか。そのへんを詳しく教えていただけると嬉しいです。
期待に沿う回答になっているかどうか心配ですが、早速お返事しますね。
【回答1】凄いのはジョブスですよね
アップルデザインのどこが凄いのか、その歴史など思い出しながらいろいろ考えていたのですが、やっぱり、スティーブ=ジョブスがいるからですよね。
新製品を発表するときは、いつも必ずジョブスが誇らしげにプレゼンテーションします。きっと、彼が満足しない限り、どんな新商品も発表されないに違いない。常に商品について彼が最終的な判断をしている。そして、ジョブスの判断基準の中で「商品の外観デザイン」の位置付けが極めて高い。
だから、アップルデザインは常に『凄い』のでしょう。ジョブスがすべての鍵を握っているのです。それにしても、自分が満足した新商品をプレゼンテーションしているときのジョブスは本当に気持ちがいいのでしょうね。羨ましい限りです。
【回答2】起源はバウハウス
「アップルデザインが凄いのは、ジョブスがいたから」で終わりなのですが、もう少し、アップルデザインについて、具体的に書いてみましょう。
最近のアップルデザインのキーワードはこんな感じではないでしょうか?
【1】透明素材と鏡面仕上げのステンレス
【2】直線・平面・直角・円・球
【3】無彩色
【4】ネジなし
【5】かわいい
実は、【1】【2】【3】【4】はすべて、モダンデザインの始祖である建築家、ル・コルビュジエ(Le Corbusier 1887-1965)やミース・ファン・デルローエ(Mies Van der Rohe 1886-1969)の表現手法が起源です。彼ら、特にミースは、ガラスと鉄という普遍的な材料を使って、装飾のない、透明なカーテンウオールで、詩的とも言える限りない透明な美しさを演出し、インターナショナルスタイルを確立しました。最近のアップルデザインは、ほぼ完璧にその思想を踏襲しているのです。
シカゴのレイクショアドライブのアパートのエントランスにはバルセロナチェア(写真参照)が置いてありました。どちらもミースの代表作です。どうですか?バルセロナチェアとiPodのイメージはぴったりでしょ?
工業デザインの歴史でモダンデザインを確立したのは、バウハウスでした。ミース・ファン・デルローエはバウハウス最後の校長を務めています。最近のアップルデザインの起源はバウハウスなのです。
【回答3】宇宙にエクボを作ろう!
最後の【5】かわいいは、アップルデザインのオリジナルかも知れません。コンピュータ機器の世界で「かわいい」というキーワードは異端ですよね。そのあたりが、コンピュータ機器の世界でのアップルらしさを醸し出しているように見えます。ただ、私は、アップルの「かわいい」にインターナショナルスタイルの『詩的とも言える透明な美しさ』と通底するものを感じます。
バブルの頃、ポストモダンがもてはやされ、頻りにモダンデザインの再構築が試みられましたが、アップルデザインを見ていると「モダンデザイン」を超えるのは、「新しいモダンデザイン」のように思えてきます。
「新しいモダンデザイン」とは何か。ジョブスはこんなことを言っています。
『宇宙にエクボを作ろう!』
宇宙にエクボができるわけはありません。しかし、そういう心意気で商品を開発するとき、「新しいモダンデザイン」「新しいデザイン」ができるのかもしれません。
やはり、経営者にデザインマインドがあるとき、凄いデザインの商品ができるのは、間違いがないですね。
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
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バウハウスという哲学がデザインの大枠を決めてはいるものの、最終的には宇宙にエクボをという感性が大事って事でしょうか。その感性とは何かということは、言語化できないのかなあ。
今回のお話は、外見のデザインということが中心でしたが、ぼくはヒューマン・インターフェースのデザインにも興味があります。ボタンなどの配置や、機能をどう割り振るかなど、いかに心地よく使えるかという部分も工業製品では大事かと思います。
ソニーはリモコンとか携帯とか、それについてもよく考えていた(今はどうか知らないけど)ような印象を持っているのですが。
そういえば、ユニバーサルデザインとか、利き手やドルトニズムとデザインというのも面白そうですね。
あと、もう一つうかがいたいのは、デザインとパクリの事についてです。木全さんは、どいう見解をおもちでしょうか。
パクリについては、そのうちぼくのブログでも書こうかなと思ってます。
早速私の回答を見ていただき、ありがとうございます。また、いっぱい宿題をもらってしまいました。ちょっと整理しますね。
1)「宇宙にエクボを」という感性を言語化できないか?
2)ヒューマン・インターフェースデザイン
3)ユニバーサルデザイン
4)デザインとパクリ
どれもこれも、奥の深い話で、特に2)3)は、これからこのブログで少しずつ書いていきたいと思っています。この話題は避けて通れないと思っていますので、必ず書きます。いつになるかわかりませんが、期待せずにお待ちください。
1)については、私は言語化は難しいと思っています。これは、デザイナーの考え方かも知れません。というのは、デザイナーは「言葉」を「形」にする職人だからです。それに較べ、「形」を「言葉」で表現するのは極めて苦手です。
この辺りは自分でも不思議だと思うのですが、どうも、「言葉」の中の『何か』を「形」にすることも、「形」からその『何か』を読み取る(評価する)ことも、できるのですが、その『何か』を「言葉」にすることができない。そんな感じです。
4)も、難しいですよね。映画なんか見ていると昔の名画の焼き直しのシーンが手を変え品を変えて出てきます。それはパクリかインスパイアか?私は本歌取りはありだと思ってます。
デザイナーの立場からすると、パクリとインスパイアの判断は、本歌(オリジナル)のデザイナーが、本歌取りの商品を見て、嫌な気分になるか、いい気分になるかが基準になるのかなぁと思います。もちろん、いい気分がインスパイアですよ。
つうくんサンのパクリについての意見も是非教えてくださいね。
では!