砂漠のレインメーカー

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【甘口映画レビュー】 『ゴダール・ソシアリスム』

2011-05-14 16:58:05 | 映画

本日6月14日(土) 京都シネマで思想家・批評家の浅田彰氏のレクチャー付きで鑑賞。

浅田さんのレクチャー、フルスピード、フルパワーで、いやーゴダール以上にパンキッシュでしたわーい(嬉しい顔)

レクチャーの内容も、短時間のなかでゴダールがたどった歴史、そして各作品製作に流れる意図(メディア=媒体という問題)、などなど色々な話が聞け、ゴダール初心者としては、刺激的な時間でした。

で、レビューは以下になります。

ゴダール 「ソシアリスム」

★いくつ?:★★★★★

劇場での初ゴダール作品鑑賞。

浅田彰氏のレクチャー付きで見たせいもあるが、満足度は★5点!!!

普通の映画ではない。いやすでにこれは映画ではなく、映像作品というべきなのか?
音と映像とセリフ=テクストによる、これでもかという強烈・乱雑なコラージュ。
この隠喩を誘うコラージュを追うのに、僕は頭をフル回転させた。
ソシアリスム→社会主義
なのだから、マルクス→「ドイツ・イデオロギー」その一節「生産と交通は歴史のかまどである」→交通=コミュニケーション
交通=コミュニケーションと劇中の豪華客船がつながる。
その豪華客船を起点として、お金や民族や歴史や戦争、様々なイメージがつながる。思考が回転する、フルスピードで。

この自分の頭と思考をフル回転させることが、スリリングだった。

そして浅田彰氏の一言、「いやー、今回のゴダールはパンキッシュです」
そうか、これはパンク映画、いやパンク映像作品なのか!!!という発見。
だとすればストーリーなき、乱雑なコラージュ映像で良いのである。現代における、徹底的な前衛?不協和音のエネルギー?
とにかく映像・音楽・不協和音・セリフのエネルギーを感じる。考える。パンクはテクニックなどいらないから、そのエネルギーを感じて考えヘトヘトに疲れればいいのだと、そう感じた。
濃密でした。
劇映画とは言えないかもしれない。しかし映像作品の醍醐味を感じた作品。
これだから「映像作品」はやめられない!!!

好き嫌いはあるでしょう。
はい!僕は、大好きです。

しかし、「ソシアリスム」であるならばもっと「アメリカ」というものがテーマの前面に出てほしかったというのは欲張り過ぎか。
ヨーロッパが生み出した鬼子で、世界を支配・破壊し、「ソシアリスム」を破壊したアメリカ。日本がパラサイトする腐った巨木のアメリカ。
先進資本主義国(そして核超大国のロシア・中国)の人間は、共犯関係者=悪友アメリカをもっと描かなければならないのではないか。
911以後/以前にアメリカが犯した罪、アメリカが償わなければならない罪は、我々の罪ではないのか…

その点は、今後のゴダールを含めた先進資本主義国にいる映像作家、思想家、哲学者、社会科学者、そして我々が担わなければならないテーマだと思う。



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