池上彰の教養のススメ
池上彰 著
先日図書館で偶然見かけ、さっそく借りてきたものです。
池上彰さんの肩書が、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 特命教授となっていますね。
この池上彰さんですが、つい最近もテレビで拝見しました。
3年ほど前には静岡市で講演会があって、私はそれにも参加しました。
実にお話がうまく、分かりやすいのはさすがですね。
さて、本書は彼が「教養」の大切さを説明しています。
池上さんは突然東工大から声をかけられて2012年に特任教授として着任されました。
しかしなぜバリバリの理系大学にこれもバリバリの文系である氏が呼ばれたのか。
それはこれからの大学生には実学的な科目よりも「教養」が必要だからです。
しかしこの教養というものがまたわかりにくい。
そしてすぐに役に立つのかといわれると、はっきりそうだとも言えません。
しかし教養とは一生使える、知の道具なんです。
本書には、哲学の桑子敏雄さん、文化人類学の上田紀行さん、そして生物学の本川達雄さんとの対談が収められています。
読み進んでいきますとこれはまさに目からうろこの興味ある事象がどんどんと出てきました。
ということは私の教養も大したことはないということが証明された気分です。
まあ今からでも遅くはないですから、これから一生懸命教養が身に着くように勉強しようと思いました。
さて、本文の中でも特に面白かったのが第3章の社会的合意形成でした。
これは現在も日本の各地で起こっている問題です。
ダムの建設に対する対立、お役所と住民の対立、原発の問題など、さまざまな問題が山積しています。
それを解決するのが、教養だというのは改めて感心しました。
私を含めて技術者というものは専門分野だけに目が行って、まったく狭い範囲しか思考ができません。
お役所などもそういうたぐいなんでしょう。
それが様々な意見を持つ住民とどう対応していくのか、そして全体をまとめるにはどうするのか。
その根本にあるのが教養でした。
私もこれからは苦手な社会科分野の書物も少しですが読んでみようかと思います。
弁解になりますが、池上さんも書いています。
歴史や地理などの社会科科目は暗記科目なので面白くないんだと。
暗記するのではなく物語を読むように勉強すればいいんですね。
皆さんも興味があればぜひご一読ください。
気軽に読めて奥が深い本です。
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