
2019年2月1日より、小型船舶におけるライジャケ着用義務範囲が拡大されます。
私らが利用している釣り船(遊漁船)も小型船舶の範疇に入るので、この義務の対象になります。
詳しくは国土交通省のサイトで → http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr6_000018.html
簡単に言えば、遊漁船利用者はライフジャケットの着用が義務化されるということです。
私の場合、これまでもライジャケ着用しているからへっちゃらさ、とたかをくくっていたんですが、ところがどっこい
国交省承認のライジャケじゃなきゃダメ、という変な制約がくっついてます。
おかげさまで、今使っている3着のライジャケ(ベルト式2、肩掛け式1)はゴミになってしまいました。
そんなわけで、泣く泣く新品購入、12,900円なり。
これが桜マーク。
これをチェックするのはえらい大変ですよ、ライジャケを分解しないと見えない場所にあります。
すぐに消えてしまいそうな頼りない刻印。
余計な出費させられたこともありますが、今回の改正には激おこぷんぷん丸です。
言いたいことは3つ。
(1) 過度な法規制は利便性を損ない、多くのデメリットを呼ぶ
まず、安全確保のためにライジャケ着用するのはたいへん結構なことです。大いに推進&啓蒙したいことです。
しかし、それをルールで縛ることが果たして良い姿なのでしょうか?
私はそうは思わない。
ライジャケ着用義務は、シートベルト着用義務やバイクのヘルメット着用義務と同一だ、という意見も見ますが、それらとは事故率が違う。
遊漁船は安全なんです。
海上保安庁が発行した平成28年度の海難事故発生状況のレポートをみると、船舶種別の事故割合は以下のグラフです。
遊漁船はわずか3%、多いのはプレジャーと漁船です。
しかし、遊漁船はこれらの船とひとくくりにされ、小型船舶になっています。くくるのやめてほしい。
そりゃ海のマナーも守らずに傍若無人に走り回る輩もいるプレジャーや、70歳過ぎのおじいちゃんが生活のため小船で荒波の中に出ることもある漁船は落水事故が多いですよ。
しかし、船の設備もしっかりしていて(船べりは防護壁)、船長が海のルールをしっかり守り、遊びできている釣り客相手に無理な天候では出船中止する遊漁船では、落水事故はウルトラレアケース。
私の場合、30年以上遊漁船に乗ってますが、落水事故、衝突事故には遭遇したことありません。
潜水艦との衝突(30年前)や伊豆遠征船の転覆(20年前)の重大事故はありましたし、表に出ないところで軽微な接触事故は起きていますが、たとえば交通事故に比べて発生頻度は遥かに少ないのは明らか。
※5年間で、遊漁船(約16,000隻)の事故の死亡者数は10名(うち3名は磯渡し中)というデータもあります。
沖釣りオヤジは、ライジャケに一度もお世話にならずに一生を終える人がほとんどのはずです。
だから遊漁船ではライジャケを着なくてもいい、と言っているわけではありません。
むやみに法規制するのはやりすぎ、と言っているのです。
オーバースペックにならないようにすべきなんです。
JAL123便の事故があったからといって、客席に脱出装置やパラシュートをつけろ、という人がいるでしょうか?
オーバースペックによる弊害はあります。それは(2),(3)にも関連します。
また、不必要に乗船者の不安をあおる嫌いもあります。遊漁船って落ちることあるのか怖いなー、とか、ライジャケつけると動きづらいし暑苦しいので船乗るのやだ、という人が出てこないとも限らない。
大切なのは、法で縛ることではありません。
釣り人や船長ひとりひとりが安全意識を高め、事故が起こらないように勤める、これが本筋です。
事故が起こったときのためにライジャケ着用する、というのは安全意識の先に存在する「あるべき姿」のひとつです。
(2) 認証には多様性が必要
ライジャケの規格を決めるのは大いにけっこうなことです。
しかし、国交省が決めた規格だけを認める(ここのQ2)、というのはどういうことでしょう?
海外には、UL規格、ISO規格、CE認証といった規格があります。中には国交省よりも浮力が強い規格もあります。なんでそれらがダメなの?
こりゃ海外生産品のライジャケを売っている人たちは大変なことですよ。自分らの商品が売れなくなるのだもの。
まさか国内産業の保護じゃないでしょね?今回の改正で笑いが止まらない人がいそうです。モリカケみたいに裏で悪事を働いている人がいたりしない?
私の場合、3着のライジャケがゴミになりましたが、船宿の中にはサービスで膨張式のライジャケを人数分用意しているところも多いです。なぜなら、備品のオレンジライジャケは動きにくいから。
船宿が国交省承認でないライジャケを用意していた場合、全部買い替えになりますよ。けっこうな出費です。もしかしたら、経費を理由に貸出しサービスをやめて備品のオレンジライジャケを着てもらう、という船宿も出てくるかもしれません。
これらは過剰な法規制の弊害です。
(3) 船長の責任が重すぎ
ライジャケ着用義務に違反した場合、船長が罰則を受けるルールになっています。
もし、釣り客が桜マークのついてないジャケットを着用していた場合、船長には最大で半年の業務停止まである厳しい規則です(ただし違反減点の実施は2022年2月1日から)。
船長が着用を確認しようとしても、現実的に釣り客持参のライジャケに桜マークがついてるかまで確認するのは不可能ですよ。
そもそも、上の写真のようにわかりにくいところについていて、時間が経つと消えそうなマークなのに、取り締まる側(=海上保安庁)はどうやってチェックするのでしょう。ひとりひとりライジャケ脱がして中を開きますか?
守るのが無理なルールに、意味などありません。
まったく、現場をなおざりにしたお役所仕事は気象庁だけで勘弁して欲しいのに、国交省まで加わったらどうすりゃいいんでしょうか。
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そんなことを考えながら、暗澹たる気分でフィッシングショーのプレスルームで某誌の某根岸さんに愚痴をこぼしていたら、「うちの雑誌で特集してるから読みな」とのこと。
さっそく、つり情報ブースに行って立ち読み^^;
確かにこれには詳しく書いてありました。
御上にたてつくようなことも書いてないし^^;、提言も盛り込まれている健全な記事です。
ということで、自分でも買って保存版にしました、550円なり。
子ども用のライジャケも紹介されています、参考にしよう。
日本釣具新報(1/25号)でも一面でライジャケ着用義務化記事を掲載。
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そんなわけで、今回の改正には個人的には不満たらたらなところもありますが、大局的に見ると釣り人がライジャケを必ず着用するようになり、それにより安全意識が高まるのは良いことだと思ってます。
今後釣りを楽しむ人がすべきことは、ルールを理解した上で、ひとりひとりが安全について考えること、さらに、各自が安全についての責任意識を持つこと、であると思います。船上の安全は、ライジャケだけでは解決できないこと、ルールを守るだけでは不足なこと、もありますから。
** 1/31追記
今回の改正で使用できなくなり、廃棄処分にしたライジャケ3着。
一度も使命(=落水時膨張)を果たすことなく廃棄される工業製品の哀れを感じます。
とはいっても、自動車のエアバッグも使命果たさずに廃棄されるの多いから、それと変わらんか。
ちなみに誤動作(=雨に濡れて膨張)は2回ほどやってくれました。
全く知りませんでした。
ということは私のライフジャケット(というかベルト)もゴミ箱行きですね...。
激おこ伝染しました。
文中でがあえてゴミと書きましたが、厳密にいえば手漕ぎボートなどの免許不要の船では桜マーク無しライジャケでも違反になりません。
なので、これまで持ってたライジャケは江戸川のボートハゼなどに使えます^^;
次にやってくるのは、「小型船舶乗船者は安全のため桜マークのヘルメット着用を義務化だ。どうだ、まいったか」でしょうか?というのが冗談にならないと思う今日この頃です。
あひるの浮き輪なら黄色なので、浮力、装着部品などの条件をクリアした製品ならば使えるはずです。
歳とってきて余り怒らないようにしてますが、久々に怒っています。
これでは釣り宿への『いじめ』じゃないですか。
私もかなり長い事釣りしていますが、遊漁船の客が釣りの最中に海中へ転落して命を落とした話は聞いたことがありません。
何の事故を元にして考えたのか。まさか、今だに「なだしお」?
屋形船の客もライフジャケット着て宴会するのでしょうか。ワカサギのドーム船も着用?
「ボートはぜ」や「ボートきす」などと同じ場所で乗合船を流すことだってあります。
乗合船の方がボートより果てしなく安全ですよ。
規制するなら、状況によってするべき。
特に問題なのが、お国認可のものでないと「罰則」。
客が暑いの、うっとうしいのと言って、ライジャケを外したした場合も船長の責任になるのでしょうか。
役人さんはこんなルールづくりに頭使わないで、ほかにやること山ほどあるでしょうが。
そんな輩に私の安全を管理されたくないなあ。
お役所は過剰な禁止や制約を作るのは得意ですよね、なんかあっても責任とるわけでもないのに。
遊漁船の死亡事故例は、私の覚えている範囲では2件ありますが、いずれも10年ほど前で、本文にも書いたように非常に稀な事例だと思います。事故件数の多いプレジャー、漁船といっしょくたにされて、とばっちりを受けた感は否めません。
屋形船やドーム船は、船室内と判断されるので適用除外になると思います。
暑いから動きにくいからと、客が釣り中に勝手にライジャケ脱いでたのを検挙されたら、罰則受けるのは船長になります、かわいそすぎる。私なら暴れる^^;
ただ、実際に罰則(減点)が発生するのは4年後からなので猶予があります。遊漁船でどう対応するかは組合などで話し合っていると思います。
さすがに海上保安庁も釣り客のライジャケ脱がせて中身までひっぺがして桜マークをチェックするようなことはしないと思いますし、あからさまにライジャケ不着用の客を放置しない限りは、遊漁船の船長が処罰を受ける可能性は限りなく低いんじゃないかとは思います。
calmさんのブログ見て、慌てて自分のライフジャケットが適用してるか、中を確認しました。
ただ、桜マークが付いてても、胴衣の分類によっては使えなくなることがわかりづらいですよ。
ちっちゃいライフジャケットはタイプGで、湾内とか、湖水とかの平水区域しか使えないみたいな感じですよね。
確かにわかりづらいですね、、、
私はタイプAを前提に書いたのですが、タイプA以外の分類やそれに伴う使用可能区分については、私も理解しきれていないです。
船宿のサイトをみると、タイプAを持ってきて欲しい、と書いてあるところが多いように思います。