「も~いい~か~い……」
少女の声が、寂しく響きわたる。しかし、応える声はない。
「も~いい~か~い……」
また少女は声を出すが、返ってくるのは木々を揺らす風だけだった。
神社の境内には、しゃがみこんで両目を手で覆う、4~5才くらいの少女が一人いるだけだ。そう、彼女は一人でかくれんぼをしていたのだ。
「も~いい~……」
少女の声色が涙混じりに変わる。年端も行かぬ幼女に、孤独は耐えられるはずがない。ついに泣き出しそうになったその時、
―……マ~ダダヨ―
「えっ……?」
いきなり声が聞こえてきた。突然のことに、少女は辺りを見回す。だが周りには誰もいない。不思議に思いながらも、少女はもう一度目を覆い、また言葉を発する。
「も~いい~か~い?」
すると、
―……マ~ダダヨ―
また声が聞こえてきた。少女は嬉しくなってまた声を出す。
「も~いい~か~い?」
―……マ~ダダヨ―
「も~いい~か~い?」
―……マ~ダダヨ―
少女の問いに声は応え続ける。そして、
「も~いい~か~い?」
―……も~いい~よ―
応える声の言葉が変わる。少女は恐る恐る手を退け、また辺りを見回す。
「……あぁ!」
そして少女は、声の主を見つけた。しかしその主は、
「……ネコさん、み~つけた!」
―あ~あ、みつかっちゃった―
真っ白なネコであった。
「うわぁ、ホントにお返事してくれてたの、ネコさんだったの?」
少女は驚きつつ、猫に話しかける。
―そうだよ、ボクだよ―
猫は首を掻きながら応える。
「スゴイ! どうしてしゃべれるの?」
―さぁ? まぁ強いて言えば、キミが応える相手を待っていたから……かな?―
「…………?」
少女は小首を傾げる。
―じゃあ、今度はボクが質問―
猫は少女を真っ直ぐ見た。
―どうして今日は、一人でかくれんぼしてるの?―
「えっ……!」
少女はまたも驚く。
―いつも一緒にいるお友達は今日はいないの?―
「どうして……?」
―知ってるさ。だってここはボクの家だからね。いつもキミたちが遊んでるのを見てたよ―
「そっか……」
少女は納得したが、元気がない。
―ケンカでもしたの?―
「……うん」
少女は小さく頷いた。
―でも悲しんでるってことは、仲直りしたいんだ?―
「…………」
―ボクを見つけた見返りに、良いことを教えてあげようか?―
「………?」
少女が顔をあげる。
―……聞きたい?―
その猫の問いに、
「うん!」
少女は強く頷いた。
少女の声が、寂しく響きわたる。しかし、応える声はない。
「も~いい~か~い……」
また少女は声を出すが、返ってくるのは木々を揺らす風だけだった。
神社の境内には、しゃがみこんで両目を手で覆う、4~5才くらいの少女が一人いるだけだ。そう、彼女は一人でかくれんぼをしていたのだ。
「も~いい~……」
少女の声色が涙混じりに変わる。年端も行かぬ幼女に、孤独は耐えられるはずがない。ついに泣き出しそうになったその時、
―……マ~ダダヨ―
「えっ……?」
いきなり声が聞こえてきた。突然のことに、少女は辺りを見回す。だが周りには誰もいない。不思議に思いながらも、少女はもう一度目を覆い、また言葉を発する。
「も~いい~か~い?」
すると、
―……マ~ダダヨ―
また声が聞こえてきた。少女は嬉しくなってまた声を出す。
「も~いい~か~い?」
―……マ~ダダヨ―
「も~いい~か~い?」
―……マ~ダダヨ―
少女の問いに声は応え続ける。そして、
「も~いい~か~い?」
―……も~いい~よ―
応える声の言葉が変わる。少女は恐る恐る手を退け、また辺りを見回す。
「……あぁ!」
そして少女は、声の主を見つけた。しかしその主は、
「……ネコさん、み~つけた!」
―あ~あ、みつかっちゃった―
真っ白なネコであった。
「うわぁ、ホントにお返事してくれてたの、ネコさんだったの?」
少女は驚きつつ、猫に話しかける。
―そうだよ、ボクだよ―
猫は首を掻きながら応える。
「スゴイ! どうしてしゃべれるの?」
―さぁ? まぁ強いて言えば、キミが応える相手を待っていたから……かな?―
「…………?」
少女は小首を傾げる。
―じゃあ、今度はボクが質問―
猫は少女を真っ直ぐ見た。
―どうして今日は、一人でかくれんぼしてるの?―
「えっ……!」
少女はまたも驚く。
―いつも一緒にいるお友達は今日はいないの?―
「どうして……?」
―知ってるさ。だってここはボクの家だからね。いつもキミたちが遊んでるのを見てたよ―
「そっか……」
少女は納得したが、元気がない。
―ケンカでもしたの?―
「……うん」
少女は小さく頷いた。
―でも悲しんでるってことは、仲直りしたいんだ?―
「…………」
―ボクを見つけた見返りに、良いことを教えてあげようか?―
「………?」
少女が顔をあげる。
―……聞きたい?―
その猫の問いに、
「うん!」
少女は強く頷いた。
猫っていいよね。僕は黒猫が好きだよ。
後半楽しみにしてる。