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同人戦記φ(・_・ 桜美林大学漫画ゲーム研究会

パソコンノベルゲーム、マンガを創作する同人サークル

日常 SS 【律氏】

2011年09月06日 | 短編小説
『日常 SS』


 今日はゆっこの家で、パジャマパーティー。
 夕食の餃子をゆっこの部屋で食べ、その後、他愛もないことを散々駄弁った。
 午前二時。
 私達は、布団の中に潜り込む。
「それじゃ、電気消すよ」
「うん。おやすみ」
「……おやすみ」
 ――消灯。
 すぐに二人の寝息が聞こえた。
 しかし、私は眠くなかった。最近の徹夜で体が眠ろうとしてくれなかったからだ。
 でも、まあ、一人だけ起きてるのもアレだし。焦らず眠ろう
「これ………………」
「ん、どうしたの、ゆっ――」
「セイヨウカボチャだ!」
 なんだ寝言か。それにしても、大きな寝言だなぁ。
「まったく、ゆっこは、眠っててもゆっこなんだから」
 まったく、もう少しで眠れそうだったのに。
 それじゃあ、今度こそ、スリープインザナイト。
「……ゆうしゃ…………ほうかい」
 まいちゃん? え、なに? 今の寝言? ってか、勇者崩壊したの?
 まいちゃんの夢の中では、何が起こってるの?
「対」
 続いてた――?
 え、でも「対」ってことは「VS」ってこと? ってことは、勇者ホウカイって名前だったんだ。なんだ、よかった。危うく世界が一つおじゃんになるところだったよ。
「まおう…………しょうめつ……」
 究極のカードだよ! 消滅しちゃったよ、魔王!
 いや、魔王ショウメツ?
「対――」
 あ、まだ続きが――。
「セイヨウカボチャだ!」
 なんでだよ! なんでゆっこが横入りしてくるのさ! ってか、なんで二回繰り返したのさ!
 もうっ、まいちゃんも納得したみたいな顔してるじゃん。カード決まっちゃったよ。
 セイヨウカボチャ参入だよ!
「違う。これ…………豆板醤だ」
 どんな間違いしてんだよ! カボチャと豆板醤って、似てるとこ一つもないよ! むしろ、辛みと甘みのハーモニーだよ! 新たな味の発見だよ!
「…………とうばんじゃん……ひめ」
 姫だったよ! 豆板醤、姫だったよ! もういいよ。超展開いらないから。勇者が魔王倒して終わろう。
「は…………ラスボス」
 ネタバレかよ! ま、そもそも、もう展開とか気にしてなかったけど、魔王と勇者がいっこうに現れないんだけど。どんな世界観なのさ。
「ん? 豆板醤じゃない? カッパ?」
 どういう繋がりしてんだよ! もう、豆板醤が何だったか思い出せないよ! もはやゲシュタルトだよ!
「は…………兄さん」
 誰のなんだよ! そのカッパ、誰の兄なんだよ!
「…………魔王……の」
 魔王かよ! 予想外だよ! 色々と予想の斜め上空だよ!
「…………売ると高い」
 もう売っちゃえよ! 魔王の兄、売っちゃえよ!
「買い取れません」
 買い取ってやれよ、そこは!
 あ、いや。でも、まぁ魔王の兄だもんね。しかたないかも。
「………………そこをなんとか」
 粘った! 意外に粘ったよ、この子。
 たぶん無理だよ、まいちゃん。だって、魔王の兄だもん。
「きゅうりがありません」
 まさかの食糧事情だった!
「………………生えます」
 カッパから? 自給自足にもほどがあるよ!
「じゃんけんで勝ったら、買います」
 いきなり運勝負だな!
「………………嫌」
 拒否かよ! 散々粘ってたあれはなんだったんだよ! ほら、なんかゆっこ悔しそうな顔してるよ? 譲歩したあげくに向こうから拒絶されたから、ゆっこ泣いちゃいそうだよ!
「お願い勝負して」
 耐えかねて、あっちからお願いしてきたよ! まいちゃん、勝負してやんなよ。

「――――痛ッ」

 物理的! まいちゃん、寝ながらデコピンって物理的だよ!
 でも、寝ながらデコピンって……本当は起きてるんじゃ……。
「なかなかやるわ、ね。私の左肩の十字傷をピンポイントで抉るなんて」
 ………………ってか、こいつら、本当は起きてるんじゃ。
「………………姫の敵」
「それは、第六天魔王のちか、ら」
「…………売ると高い」
「買い取れません」
 ………………
 …………
 ……


 ぱちっ。
 明るく照らされた部屋の中、壁に掛けられていた時計は、深夜三時を示していた。
「ああぅ、どうしたの。みおちゃん? 電気なんて付けて」
 一人の少女が、電灯のスイッチを人差し指で押さえながら、顔をうつむかせている。
「あはは、まいちゃん。さすがだわ。ぜんぜん動じてないよ」
 無邪気な笑い声と、安らかな寝息がこだました空気は、突如引き裂かれる。

「なんでや――――ねん!」

「うッ」
 一人の少女が放ったそのツッコミは、言葉にしたら言い切れない思いの丈を、全て詰め込んだものだった。
 もしかしたら、これが本当の意味でのツッコミであり、本来ツッコミのあるべき姿なのかもしれない。
 エンド



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 シュールギャグって、ゲシュタルトだね、もはや。
 こんな小説作って、頭をヒヤシンスだよ、もはや。

 ってなわけです。日常だったら、フェっチャンか、はかせだな。麻衣ちゃんがくせ者です。
 今夏最大の思い出は、タンクトップ美幼女の肩甲骨チラでした。肩甲骨って魅惑的だよね。
 では、皆さん、残暑でも頑張っていきましょう。

 ……シナリオ終わんねえぇ