『日常 SS』
今日はゆっこの家で、パジャマパーティー。
夕食の餃子をゆっこの部屋で食べ、その後、他愛もないことを散々駄弁った。
午前二時。
私達は、布団の中に潜り込む。
「それじゃ、電気消すよ」
「うん。おやすみ」
「……おやすみ」
――消灯。
すぐに二人の寝息が聞こえた。
しかし、私は眠くなかった。最近の徹夜で体が眠ろうとしてくれなかったからだ。
でも、まあ、一人だけ起きてるのもアレだし。焦らず眠ろう
「これ………………」
「ん、どうしたの、ゆっ――」
「セイヨウカボチャだ!」
なんだ寝言か。それにしても、大きな寝言だなぁ。
「まったく、ゆっこは、眠っててもゆっこなんだから」
まったく、もう少しで眠れそうだったのに。
それじゃあ、今度こそ、スリープインザナイト。
「……ゆうしゃ…………ほうかい」
まいちゃん? え、なに? 今の寝言? ってか、勇者崩壊したの?
まいちゃんの夢の中では、何が起こってるの?
「対」
続いてた――?
え、でも「対」ってことは「VS」ってこと? ってことは、勇者ホウカイって名前だったんだ。なんだ、よかった。危うく世界が一つおじゃんになるところだったよ。
「まおう…………しょうめつ……」
究極のカードだよ! 消滅しちゃったよ、魔王!
いや、魔王ショウメツ?
「対――」
あ、まだ続きが――。
「セイヨウカボチャだ!」
なんでだよ! なんでゆっこが横入りしてくるのさ! ってか、なんで二回繰り返したのさ!
もうっ、まいちゃんも納得したみたいな顔してるじゃん。カード決まっちゃったよ。
セイヨウカボチャ参入だよ!
「違う。これ…………豆板醤だ」
どんな間違いしてんだよ! カボチャと豆板醤って、似てるとこ一つもないよ! むしろ、辛みと甘みのハーモニーだよ! 新たな味の発見だよ!
「…………とうばんじゃん……ひめ」
姫だったよ! 豆板醤、姫だったよ! もういいよ。超展開いらないから。勇者が魔王倒して終わろう。
「は…………ラスボス」
ネタバレかよ! ま、そもそも、もう展開とか気にしてなかったけど、魔王と勇者がいっこうに現れないんだけど。どんな世界観なのさ。
「ん? 豆板醤じゃない? カッパ?」
どういう繋がりしてんだよ! もう、豆板醤が何だったか思い出せないよ! もはやゲシュタルトだよ!
「は…………兄さん」
誰のなんだよ! そのカッパ、誰の兄なんだよ!
「…………魔王……の」
魔王かよ! 予想外だよ! 色々と予想の斜め上空だよ!
「…………売ると高い」
もう売っちゃえよ! 魔王の兄、売っちゃえよ!
「買い取れません」
買い取ってやれよ、そこは!
あ、いや。でも、まぁ魔王の兄だもんね。しかたないかも。
「………………そこをなんとか」
粘った! 意外に粘ったよ、この子。
たぶん無理だよ、まいちゃん。だって、魔王の兄だもん。
「きゅうりがありません」
まさかの食糧事情だった!
「………………生えます」
カッパから? 自給自足にもほどがあるよ!
「じゃんけんで勝ったら、買います」
いきなり運勝負だな!
「………………嫌」
拒否かよ! 散々粘ってたあれはなんだったんだよ! ほら、なんかゆっこ悔しそうな顔してるよ? 譲歩したあげくに向こうから拒絶されたから、ゆっこ泣いちゃいそうだよ!
「お願い勝負して」
耐えかねて、あっちからお願いしてきたよ! まいちゃん、勝負してやんなよ。
「――――痛ッ」
物理的! まいちゃん、寝ながらデコピンって物理的だよ!
でも、寝ながらデコピンって……本当は起きてるんじゃ……。
「なかなかやるわ、ね。私の左肩の十字傷をピンポイントで抉るなんて」
………………ってか、こいつら、本当は起きてるんじゃ。
「………………姫の敵」
「それは、第六天魔王のちか、ら」
「…………売ると高い」
「買い取れません」
………………
…………
……
ぱちっ。
明るく照らされた部屋の中、壁に掛けられていた時計は、深夜三時を示していた。
「ああぅ、どうしたの。みおちゃん? 電気なんて付けて」
一人の少女が、電灯のスイッチを人差し指で押さえながら、顔をうつむかせている。
「あはは、まいちゃん。さすがだわ。ぜんぜん動じてないよ」
無邪気な笑い声と、安らかな寝息がこだました空気は、突如引き裂かれる。
「なんでや――――ねん!」
「うッ」
一人の少女が放ったそのツッコミは、言葉にしたら言い切れない思いの丈を、全て詰め込んだものだった。
もしかしたら、これが本当の意味でのツッコミであり、本来ツッコミのあるべき姿なのかもしれない。
エンド
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シュールギャグって、ゲシュタルトだね、もはや。
こんな小説作って、頭をヒヤシンスだよ、もはや。
ってなわけです。日常だったら、フェっチャンか、はかせだな。麻衣ちゃんがくせ者です。
今夏最大の思い出は、タンクトップ美幼女の肩甲骨チラでした。肩甲骨って魅惑的だよね。
では、皆さん、残暑でも頑張っていきましょう。
……シナリオ終わんねえぇ
今日はゆっこの家で、パジャマパーティー。
夕食の餃子をゆっこの部屋で食べ、その後、他愛もないことを散々駄弁った。
午前二時。
私達は、布団の中に潜り込む。
「それじゃ、電気消すよ」
「うん。おやすみ」
「……おやすみ」
――消灯。
すぐに二人の寝息が聞こえた。
しかし、私は眠くなかった。最近の徹夜で体が眠ろうとしてくれなかったからだ。
でも、まあ、一人だけ起きてるのもアレだし。焦らず眠ろう
「これ………………」
「ん、どうしたの、ゆっ――」
「セイヨウカボチャだ!」
なんだ寝言か。それにしても、大きな寝言だなぁ。
「まったく、ゆっこは、眠っててもゆっこなんだから」
まったく、もう少しで眠れそうだったのに。
それじゃあ、今度こそ、スリープインザナイト。
「……ゆうしゃ…………ほうかい」
まいちゃん? え、なに? 今の寝言? ってか、勇者崩壊したの?
まいちゃんの夢の中では、何が起こってるの?
「対」
続いてた――?
え、でも「対」ってことは「VS」ってこと? ってことは、勇者ホウカイって名前だったんだ。なんだ、よかった。危うく世界が一つおじゃんになるところだったよ。
「まおう…………しょうめつ……」
究極のカードだよ! 消滅しちゃったよ、魔王!
いや、魔王ショウメツ?
「対――」
あ、まだ続きが――。
「セイヨウカボチャだ!」
なんでだよ! なんでゆっこが横入りしてくるのさ! ってか、なんで二回繰り返したのさ!
もうっ、まいちゃんも納得したみたいな顔してるじゃん。カード決まっちゃったよ。
セイヨウカボチャ参入だよ!
「違う。これ…………豆板醤だ」
どんな間違いしてんだよ! カボチャと豆板醤って、似てるとこ一つもないよ! むしろ、辛みと甘みのハーモニーだよ! 新たな味の発見だよ!
「…………とうばんじゃん……ひめ」
姫だったよ! 豆板醤、姫だったよ! もういいよ。超展開いらないから。勇者が魔王倒して終わろう。
「は…………ラスボス」
ネタバレかよ! ま、そもそも、もう展開とか気にしてなかったけど、魔王と勇者がいっこうに現れないんだけど。どんな世界観なのさ。
「ん? 豆板醤じゃない? カッパ?」
どういう繋がりしてんだよ! もう、豆板醤が何だったか思い出せないよ! もはやゲシュタルトだよ!
「は…………兄さん」
誰のなんだよ! そのカッパ、誰の兄なんだよ!
「…………魔王……の」
魔王かよ! 予想外だよ! 色々と予想の斜め上空だよ!
「…………売ると高い」
もう売っちゃえよ! 魔王の兄、売っちゃえよ!
「買い取れません」
買い取ってやれよ、そこは!
あ、いや。でも、まぁ魔王の兄だもんね。しかたないかも。
「………………そこをなんとか」
粘った! 意外に粘ったよ、この子。
たぶん無理だよ、まいちゃん。だって、魔王の兄だもん。
「きゅうりがありません」
まさかの食糧事情だった!
「………………生えます」
カッパから? 自給自足にもほどがあるよ!
「じゃんけんで勝ったら、買います」
いきなり運勝負だな!
「………………嫌」
拒否かよ! 散々粘ってたあれはなんだったんだよ! ほら、なんかゆっこ悔しそうな顔してるよ? 譲歩したあげくに向こうから拒絶されたから、ゆっこ泣いちゃいそうだよ!
「お願い勝負して」
耐えかねて、あっちからお願いしてきたよ! まいちゃん、勝負してやんなよ。
「――――痛ッ」
物理的! まいちゃん、寝ながらデコピンって物理的だよ!
でも、寝ながらデコピンって……本当は起きてるんじゃ……。
「なかなかやるわ、ね。私の左肩の十字傷をピンポイントで抉るなんて」
………………ってか、こいつら、本当は起きてるんじゃ。
「………………姫の敵」
「それは、第六天魔王のちか、ら」
「…………売ると高い」
「買い取れません」
………………
…………
……
ぱちっ。
明るく照らされた部屋の中、壁に掛けられていた時計は、深夜三時を示していた。
「ああぅ、どうしたの。みおちゃん? 電気なんて付けて」
一人の少女が、電灯のスイッチを人差し指で押さえながら、顔をうつむかせている。
「あはは、まいちゃん。さすがだわ。ぜんぜん動じてないよ」
無邪気な笑い声と、安らかな寝息がこだました空気は、突如引き裂かれる。
「なんでや――――ねん!」
「うッ」
一人の少女が放ったそのツッコミは、言葉にしたら言い切れない思いの丈を、全て詰め込んだものだった。
もしかしたら、これが本当の意味でのツッコミであり、本来ツッコミのあるべき姿なのかもしれない。
エンド
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シュールギャグって、ゲシュタルトだね、もはや。
こんな小説作って、頭をヒヤシンスだよ、もはや。
ってなわけです。日常だったら、フェっチャンか、はかせだな。麻衣ちゃんがくせ者です。
今夏最大の思い出は、タンクトップ美幼女の肩甲骨チラでした。肩甲骨って魅惑的だよね。
では、皆さん、残暑でも頑張っていきましょう。
……シナリオ終わんねえぇ