さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

スザンナの最初のフレーズ

2020-08-24 | オペラ研究
前奏が始まりました。

スザンナとフィガロは板付きです。

幕が開くと、フィガロは部屋の寸法を測り、スザンナはベールを試しています。
ベールをつけて、外して、少し直して、またつけて、
鏡をのぞき込んで、また外して…。

そんなことをしているうちに、フィガロが歌い出します。

……伴奏で、同じリズムが繰り返され、演技もあるせいか、
それともワクワクしすぎなのか、
なぜか器用に1拍ずれて歌い出すフィガロを何度も見かけたことがあります。


でも、焦らない。スザンナにはプチ前奏があります。
スザンナの音楽は、フィガロの音楽と少し違うので、合わせる必要がありません。
前奏が始まる前……フィガロが「trenta sei」と歌っているはずの小節を
スザンナがベールをつけた状態で迎えていれば、
鏡を覗いて、プチ前奏
よいブレスとともに迎えられます。

指揮者からはタイミングのみをもらって…。


スザンナの第一声は、
パッサッジョの上であろうレです。
しかも、母音から始まり、3拍目から始まります。

『r』を利用して、パッサッジョを綺麗に越えます。

アポジャトゥーラを多用したメロディを利用して、
狭い母音の『i』から広い母音の『о』や『a』へ、
喉を緩やかに開いていきます。

口の前の方を使う摩擦音『s』で息を流して、
口の奥の方を使う破裂音『k』でさらに軽くして、
舌先を使う『n』と『t』で、さらに鼻腔共鳴を完成させて、

ほーら、これでスザンナは満足(^^♪



…と、スザンナの歌い出しの最初のフレーズを考えてみると、
「このフレーズって、歌い出しに最適なのではないか?」と思えてきます。

ウォーミングアップとしても、完璧ですし、
オペラの展開を考えた上でも、完璧です。

そして、
このフレーズがいつでも問題なく歌えれば、
どんな曲さえも問題なく歌えるような気さえしてくるのです。


私にとって、このフレーズはウォーミングアップとして、
また、自分の声をキープするために、最適なので、
なぜ最適なのかを考察した結果、何日もかかってしまいました。

ご清聴、ありがとうございました♪

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