備忘録

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『大地』(配信版)

2020-08-02 01:16:24 | ライブビューイング(舞台関係)
三谷作品まとめはコチラ

テキトーなあらすじ。


ある国の話。

その国ではエンタメが禁じられ、
特に、映画や舞台に関わっていた人たちは、
人里離れた収容施設に集められていた。


その中で、著名、高名な人が集められたバラックが有る。

その収容には例外もなく、
映画スターのブロツキーも
収監されてくる事から物語は始まる。

そこには、舞台人として、座長として有名なバチェクや
大道芸人プルーハを始め、様々な芸術家が居た。

そして、それを監視する役人ホデクも演劇好きで、
シェークスピアのウィンザーを脚色し、
主人公のウィンザーをやりたがる。
それに話を合わせ、上手くやり過ごす囚人たち。

そのなかでも、一番、上手く達振る舞うのがチャペック。
演劇の才能はなかったが、役人と囚人達、
その間を上手く取り持ち、生活していた。

役人の一人ドランスキーが
囚人で女形のツベルチェクに目を付ける。

行きたくないツベルチェクに行かなくて良い
というバチェク達だが、チャペックだけは、
役人に刃向かうなと、釘をさす。

そして、当日。
覚悟を決め、ドランスキーに
会い、戻ってくるツベルチェク。

その夜、ドランスキーから、
恩赦としてゆで卵が振る舞われる。

しかし、皆はそれを断る。
すると、ホデクは食事抜きという罰を与える。
そこで、想像の食事を取る面々。

『食事を取られても、我々から
想像する事を取りあげる事は出来ない』
とホデクに告げるバチェク。

(一幕ラスト、配信が切れて観れなかった)

二幕。
ウィンザーは改変を加え、順調に進む。

そんなある日、ミミンコに黙って、
囚人達は、ある作戦を始動する。

それは、隣のバラックにいた、
恋人のズデンガをミミコフに会わせる作戦。

二人をこのバラックで過ごさせるが、
更に思い出を、とドランスキーのベッドを使わせる。

では、肝心のドランスキーをどうするか、
というと、ツベルチェクがギリギリまで誘惑したり、
バチェクが頑固オヤジになって、本当の父親を演じたり、
パントマイムでプルーハが時間を稼いだり、
秘密裏に視察にきた将軍をブロツキーが演じたり
最高指導者に扮したをピンカスが演じたり、
そんなことをして、ミミコフのために時間を作る面々。


翌日。
ドランスキーの枕元に忘れ物をしたことで、
ドランスキーに計画がバレてしまう。

ホデクは条件として、一人だけ、
ここより、更に過酷な条件である、
谷の向こうの収容所への移動を提案。

問題は誰が行くか?

最初は湿布薬のために作戦の全てを話したプルーハが。

その後、皆が行くと言い出すが、
ホデクが決めろというドランスキー。

そこで、芸術家として、
代わりがきかないチャペックを指名。

誰も自分が代わると言い出せず、
チャペックは不平を、芝居が下手だから、
生き残れなかったと言って、皆の元を去る。

チャペック不在で、ウィンザーの稽古は続くが、
バチェクは突然、演技を止めてしまう。その理由は、

『観客(チャペック)が居ないから』


ここから、ミミンコの独白。
結局、この生活は5年続いた。

解放後はそれぞれ、元の生活に戻り、
ミミンコは、ズデンガと別れ、
一人、演劇の道を歩んでいた。

そして、この収監された日々を懐かしむが、
一度も、チャペックと会う事はなかったと締めくくる。


そして、皆で全国巡業をする、
有り得ない未来を妄想し、幕。


大泉@チャペック
満を持して、三谷作品の主人公。

でも、主人公なのに、看板役者とか、
皆を引っ張っていく役ではなく、裏方。

その段取りの良さ、
立ち回り方が『ドレッサー』を思い出す。

そこまで、姑息なのに、
最後、ホデクから指名され、スケープゴートに。

その後、どうなったのか分からない系。


口が達者という
映像のイメージ通りの役で、
本人は幕間インタビューで、
華が無い役と不平を言っていたが、
これは宛て書きでは無いのか?
単に脚本家のイヤがらせか。


山本@ブロツキー
人気のある映画スター。
口では周りに合わせると言いつつ、
プライドを持ち、役人達とも、
チャペックとは別な切り口で上手く取り付く。

収監前はヒーローの役をやっていたが、
復帰後はそういう役だけはやらなかったという後日談。


『オケピ!』こそ、内気な青年
(『屋根の下』のイメージ)だったが、
『組!』以降、頼れるアニキ的、
でも『ナポレオン』のような、
助演ポジションの立ち位置。

実は、大泉氏とは違った意味の副長ポジ。
そのため、やはり姑息な事をしているのに、
それが姑息にならず、何故かカッコいい役得。


竜星@ツベルチェク
すぐキレる女形。
最初こそは自分の身体を売ることに、
抵抗が有ったモノの、段々とそれを
上手く使いこなし、のし上がっていく。

一幕と二幕で、ガラッっと印象が変わる。

『同期のサクラ』イメージが強く、
あのイケメン枠かと思ったら、
更に、女形枠と、或る種、浅野氏の系統を引き継ぐ。

こんだけ濃い面々なのに、
その設定で、全く負けてない、
かなり印象の残る役に。


栗原@ホデク
芸術を愛する役人。

自分の権威を振りかざすのかと思いきや、
『笑いの大学』の検察官系。
取り締まる側が、一緒に
改変する事が楽しくなっちゃう系。

こういう役なのに、
全く、イヤミが無い、
悪さや腹グロさが無い。

純粋に芸術が好き、
だから、タチがワルい。

そんな役。


藤井@ピンカス
皆に、上手く使われる役。
そこに不平を言いつつ、
ちゃんと面倒をみていく。

ふと、『櫻の園』の使用人を思い出す。


ボケのように見えて、ノリつっこみ。
三谷脚本に於ける八嶋氏系のポジ。

結構、前面に押し出されるキャラだけど、
それが鬱陶しくならないのは、演技力なのか、
脚本の妙か、はたまた、宛て書きなのか。

コントに見えない、それがスゴい。


濱田@ミミンコ
特に、才能は無い、語り役。

このバラックには不在の脚本家に
なるのかな、と思ったが、そうでは無いらしい。
(単に見落としてるシーンが有るかも)

それこそ、語り部で、一人、部外者感。
それでいて、この理想を壊す要因。
(それが、自分の意図した事では無いにしても)

ホデクが、谷向こうに連れていく人間を
選ぶ時、何故、彼を外したのか、
聞けなかったのが残念。


小澤@ドランスキー
役人。
栗原氏のキャラに無いイヤミ。
それが、全部、コッチに来てるヒール役。

振り回される役なのだが、
その辺の振り回され度が今一つ。
そのため、ちょっと、この面々だと薄いキャラに。
もっと、激しいツッコミを期待してしまう。


まりえ@ズデンガ
紅一点。
でも、オッサン臭く、
まず、一体、年齢設定、幾つ、と。

そもそも、ヒロインポジで
採用されたのか、宮地さんポジで採用されたのか。
どちらかというと、瀬戸さんポジかも。

そこが大変に気になる。


相島@ツルハ
権威に屈しない、
でも、実際に居たらウザいキャラ。
そして、相島氏が演じるとウザくならない。

これは宛て書きというか、
やはり、正しい相島氏の扱い方、感。

ポジションがもう、相島氏というオリジナル立ち位置。


浅野@プルーハ
パントマイム芸人。

爺キャラが二人居るのに、
辻氏と決して、被らない。

三谷氏曰く、
『ベッジバードン』の引き出しが全て、
だったと、言っているが、
観てるコッチは、その引き出しが、
まだまだ新鮮で、これは演技力なのか、
それとも、脚本によるモノか。


辻@バチェク
こまつ座の頑固オヤジイメージ。

それを皮肉る台詞(頑固オヤジの役のみ)
も有りつつ、卑怯な面も結構出して来る。

そして、結構、見せ場も有り、
幾つか観れなかった(物理的に)

カメラに写らず、見えないシーンも有り、
(配信的に)生で、その様子を観たかった。

折角の初、三谷組だったので余計に。
むしろ、これが木場氏だったら、
無理をしてでも、観に行ってたかも。



三谷脚本。
群像モノとしては
『国民の映画』以来か。
あれも、3.11後の上演で、
ちょっと、背景が似ているかも。

今回のver用に書き直してあるため、
ちょくちょく、言論の自由が無い事と、
現在の状況を重ねあわせつつ、観てしまう。

戦時中の言論統制をイメージする事はない。


登場人物の名前から、
ロシア系の共産国を彷彿。
北朝鮮にすると、生々しいから、
ロシア系の設定にしたのかも。


距離を保つため、
ビニール壁越しに話すのではなく、
舞台上を区分けして、役者間の距離を取る。
触れようとするものなら、逃げる、無視する、
など、色々な方法で、ソーシャルディスタンスを取る。

こういう状況を逆手にとった演出に。


最後、チャペックの居所を知る人は居なかった。
そのため、今後の展開を話しながら終わる、
という、イツモのパターンでなく、もしも、
という想定を観客に提示して終わる、新しいパターン。


概ね面白かったが、
配信の環境が悪く、
かなりストレスのある視聴に。

バチェクの見せ場の幾つかが観れなかった。
それがかなり残念。幕間のトークも収録されるなら、
円盤を購入してもよいかな、案件。
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