備忘録

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『スポケーンの左手』

2015-11-27 17:42:34 | 国内ストプレ
ネタバレなあらすじ。

ホテルのベッドに腰掛ける男、カーマイケル。
その左手は常に、ポケットの中。

そこに、室内クロークから叩きつける物音が響く。
その音に嫌気がさし、持っている銃で、クロークを開け、撃つ。
一瞬、男が見えたが、止む音。

その銃声をききつけ、フロント係のマーヴィンがやってくる。
しかし、何でもないと、追い払うカーマイケル。

そこに若い女、マリリンが
『腕をもってきた』と部屋に入ってくる。
そして、押入から黒人、トビーを出す。
実際には、頭を撃たれたのではなく、頭をかすって気絶しただけ。

カーマイケルは喜んで、持ってきた腕を検分するが、
その腕は黒く、カーマイケルの望んだ腕ではない。

そこで、トビーが間違った腕を持ってきたと話すと、
それに食いついたカーマイケルに、自宅に置いてあると話す。

そこで、二人に手錠を掛け、
トビーの自宅に向かうカーマイケル。
ただし、蝋燭に火をつけ時間がたつと、
ガソリンに引火するように仕掛ける。

一生懸命、火を消そうとする二人。

電話がかかってくる。
それは、カーマイケルの母親からだった。

暗転。

マーヴィンが、変わらない日常と
ヒーロー願望があることを独白。

そして、再開。

カーマイケルの母親からの電話を
なんとか片づけ、電話を切るトビー。

そこでカーマイケルのスーツケースに、
何か消すものは無いかと、開けると、大量の左手が。

そこに、現れるマーヴィン。

二人から火を消してくれと頼まれるが、
トビーが以前、自分をだました男だと信じ、耳を貸さない。

しかし、マリリンの説得もあり、
ようやく火を消して、警察に電話すると下に戻る。

そこに窓を壊し、カーマイケルが帰ってくる。

そのままガソリンをまき散らし、
火を付けようとするが、ライターがない。
マーヴィンがもっていった事を知ると、内線で呼びつける。

やってきたマーヴィンと会話し、二人を解放することにする。

そこで、マーヴィンが、
自らと手を切断する人間のことを話し出す。

カーマイケルは、自ら手を切った訳ではない、
とマーヴィンに主張し、銃を向ける。

そこに、パトカーのサイレンが鳴り、逃げる二人。
一方、カーマイケルと対峙するマーヴィン。

なぜ、自殺願望があるのか、と訪ねるが、
そんな願望はない、と答えると銃を降ろす。

そのまま、逃げるために部屋に
散乱した左手を片づけ、それを手伝うマーヴィン。

そして、警察への対応のため、
フロントに戻るマーヴィン。
一人残るカーマイケル。

収集した左手の一つを見つけ、
自分の腕と確信するカーマイケル。
そして、暗転。


蒼井@マリリン
キャスト順は最初だけど、え、主演?
トビーとは恋人というよりは腐れ縁。

耳に響かないキンキン声。
単にトーンが高いだけという不思議。

蜷川オセローの時は、
こんなに高いイメージは無かったのに、
新感線『ジバパン』では既にこのイメージ。

埋もれない、印象的な声という点では、
役者として当たりなのかも知れないけど、
それが役に合うかどうかは、別問題。


岡本@トビー
金儲けをしたい黒人。
衝動的な彼女と違い、意外と理性がある。
単に臆病なだけ。

そして、何回か彼女を見捨てようとするが、
それは、策略なのか、単に、置き去りにするだけなのか。

結構、特徴のある
鼻に掛かった声だけど、
気弱な役には、ピッタリ。

アイドルというフィルターが、
(ムダにイケメン)あるけど、
舞台でも気にならない発声。


成河@マーヴィン
日常から抜け出したいし、
夢想することもあるが、
それでいて、どこか現実的。

結局、何がしたいのか、不明。


ストーリーに絡まない役。
でも、狂言廻しとも違う。
その台詞廻しが若干、特徴的。

『ウィー・トーマス』が初見で、
その特徴的な発声が飛び道具。
それ以降、他の舞台で観ても、
その印象は強かったが、今回は演技派。

成河氏が演じると、
カーマイケルの想像上の人物のような。
(他の二人には見えているけど)


中嶋@カーマイケル
左手を探す男。
そのためには手段は選ばないのかと思いきや、
残酷ではない。

ただ、左手を探しているだけ。


途中から、実は、左手は有る、
というオチになるかと思ったら、
探しているものは実は近くにあるという教訓系(曲解)。


中央に舞台があり、それを挟む客席という形式。
前回の小川演出で、同脚本家の『ピローマン』でも、
小劇場ながら、同様な形式だったような。

そのため、どちらに座るかで大きく印象が変わる。
特に、途中、マーヴィンが独白するシーンは、
普通の客席に座った方が色々と楽しめる。

でも、逆方向からも観たくなったり。
特に、スーツケースを開けるまでのやりとりとか。

カーマイケルの再登場の
窓ガラスを割って登場はビックリ。
入ってくる前に影が見えたので、
普通に開けて入ってくると思いきや、
思いっきり、割って登場。

もちろん、ガラス製でも、
樹脂製(ゴム製)でも無い。
普通にプラスチックで、効果音。


こんだけ派手に騒いどいて、
実は大切なモノは身近にある
(探していたモノは近くにあった)と、
オチをつけてみたけど、実は左腕の先は
存在するというオチも想定したいが、それは無かった。

マクドナー作品では『ウィートーマス』
それなりにオチがあったが、どちらかというと
『ハーパーリーガン』の自分探し系な流れ。
→と思ったら、単にPARCOプロデュース、長塚演出なだけで、
『ハーパーリーガン』はマクドナー作品ではなかった。


マクドナー作品では『ピローマン』が好きなので、
ああいう脚本を期待したら、若干の肩すかし。
ただ、カーマイケル役者次第では確実にリピート出来る作品。
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