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備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『ミスサイゴン』笹本@キム

2012-09-08 03:05:25 | 国内ミュージカル
新演出版。
ただ旧演出をそれほど覚えていないので、気になった箇所だけ。

オーバーチェアが流れるなか、紗幕の後ろで佇むキム。そこでエンジニアに連れていかれ、ドリームランドに。既にこんなオープニングだっけ?と記憶が曖昧。
そのままエンジニアのドリームランド!という掛け声にポールダンサーが居るセットが登場。前回よりも豪華になったドリームランド。で、ジョンがセクハラオヤジ化。
ジジの衣装も露出度が高く、ミスサイゴンに選ばれたのは、その為?
その後、キムとクリスが上手に二階にベッドが置かれるベランダの様な一室に移動。ベッドが二階にあり、その階段を利用して"神よ何故?"を熱唱。
結婚式はドリームランドの店内で。勿論、クリスは何が何だかという間に進む。そこにトゥイとお付きの者登場。
ここで、『今は大人よ』というが、あんさん17やんけというツッコミ歌詞は変わらず。

"サイゴン陥落"
オープニングの爆竹が凄まじい。無断にクオリティの高いダンス・パフォーマンス。ホーオジサンが胸像なのが残念。そして、ボロボロエンジニア登場。

"今も信じてるわ"
キムがかなり小汚いメイク。他の浮浪者を追い出すので、貧民街で暮らしていたのか。
その頭上にクリスとエレン。悪夢にうなされている感は薄いがいきなりガバッと起き上がるクリス。
"クークープリンシパル"
トゥイのキムへの制裁が派手に。爪を剥がす拷問が特に。そのシーンの後、舞台上に何か落ちるのだが。また、キムの顔に血糊が付くなど、かなり細かい。
『タム!』の呼び声と共に、幕から飛び出るタム。

"トゥイの死"
トゥイを撃った後の動揺っぷりがゆがみないキム。そして、それに気づいたトゥイ手下の動揺っぷりと、手を組んで上げる細やかさが、ツボ。

"生き延びたけりゃ"
エンジニアの『夢のニョーヨーク』という歌詞が、かなり聞き取り辛く。初見の人が、そこを聞こえなくて、ストーリーを把握出来るのか。

"命をあげよう"
キム、良いカンジに歌い上げ。流石、屈指のキム・ソロナンバー。
歌った後、ゾロゾロと難民が登場し、下手から上手に舞台を横切り、バックに夕焼け画像。

"ブイドイ"
ジョンの本領発揮ソング。最初から中央の壇上に立つのではなく、歌い始めてから、上手の人の群から登場。スライドを手振り付きで説明しながら、歌う。

"バンコク"
客引きのジャケットの色がゴレンジャー。エンジニアのジャケットが赤いのに理由付け。
ポールダンサーの中に、キムが居るが、自ら降りる。ジョンによるキム降ろしはなくなった模様。

"キムの悪夢"
トゥイはスライドで横移動してから降りる。仏壇降りではなくなったが、棚からは降りる。
キム、回想シーンになった途端、金切り声になり、若い頃演出。

ヘリは完全にCG。で、乗り込み口から、何人か兵士が乗るのだが、その振りが、ちょっと荒い。

"キムとエレン"
エレンに切れるキムが素敵。

"プリーズ"
ここで"今、彼女にあった"の代わりの新曲追加。
以前の曲がマイナー調に比べ、今回の曲は、明るい。クリスの気持ちが知りたいという歌詞から、キムの為に、何が出来るか?という歌詞に。

"エレンとクリス"
キムとタムをバンコクに残し、勝手に地元支援発言はやはり…。キムは二階建ての二階に現れ、ハモる。クリスの部屋として上手に登場したベッドだが、今度はキムがそこから登場し、一緒に歌う。

"アメリカンドリーム"
バックには映像。ニョーヨークの風景や星条旗など、典型的なアメリカン雰囲気。
でも、間奏の後に、リムジンとミス・チャイナタンは出てくる。そのリムジンのボンネットで、くるくる回るエンジニアは変わらず。
最後、星条旗の星の部分が一個ずつ割れていき、『一個になっちゃった』というアドリブ。

"ラスト"←曲名不明
キム、カーテン裏で自殺後、後ろに倒れ、舞台に。そこにクリスが入り、抱きかかえる流れは一緒。で、タムとエレンが抱きあった後に、エンジニアがジョンに掛け合うが拒否され、がっかりという小芝居があり。


市村@エンジニア
一幕のボサボサ頭がかなり印象的に。ドリームランドに居る時から、あんな髪型だったっけ?それ以外は、まぁ相変わらずな市村節。
ただ、『夢のニョーヨーク』のニョーヨークが聞き取れないというのはやはり、ストーリー的に…。
また、アドリブも抑え気味だし、シングルキャストは大変なのかも。

笹本@キム
一幕の17歳演技かなり幼い。それに伴い、歌唱も若干キンキン声に。そのため、期待していた歌唱方と違い、ちょっと残念。でも、"今も信じているわ"なんかは、地声で引っ張るし、"命をあげよう"なんかは、もう、バズーカ。ただ、クリスとのデュエットは高音域なため、普通にデュエット。
"悪夢"で、急に過去に振り返ると、キンキン声に。

山崎@クリス
第一声がかなり低い。想像より低かったため、ドリームランドでは見失う。それでも、プリンシパル声というか、目立つ声なので、分かるのだが。
特に"神よ何故"は低音域路線。そのため、意外だった。
なお、エレンに対し、『何だよ』と怒るシーンがなんかツボ。

木村@エレン
大変に歌えるエレン。三重奏で埋もれない、キムとのデュエットでも負けない、というのが貴重。姉さん女房なエレン。

上原@ジョン
ドリームランドから颯爽と遊び人。で、キムをクリスに紹介するという悲劇の原因キャラを好演。
二幕の水色ポロシャツ、それもシャツインでも、オシャレさんなのは、上原氏の為せる業かと(若者からオッサンキャラまでこなせる役者)。


泉見@トゥイ
初登場時の現地住民に違和感の無いトゥイ。でも、甘いアイドル声のため、悪役に見えない悪人キャラ。
そのキャラと歌のギャップを楽しむ役。


今回、2004年の久々上演以来の観劇。どうもサイゴンは楽曲にも惹かれないし、もう一回観たいという内容ではないので、観たい役者が出なかった再再演は見逃し。
楽曲も単体で聞く分には良いのだが、作品として聞きたいということもなく、手元に音源は無し。
それでも、一時期、東宝版を聞き込んでいたので、歌詞は意外と入っていた。

で、今回の新演出版を観たのだが、見事にキムとクリスの物語に。
勿論、楽曲は変わらないのだろうけど、この2人以外の他のキャラの存在感が薄い。
ストーリー的には、他のキャラのソロは必要なのだが、流れ的に要らないのでは?と感じた。それはエンジニアのソロも例外ではなく、"アメドリ"に関しても不要と感じた。


また、新演出の特徴として、細かい所で妙にリアル。
例えば、キムのメイクが、妙に小汚なかったり。
他にも、ストーリーに矛盾を無くすために、キャラの行動に正当性を持たせたり。

特にジョンのキャラがかなり改変。遊び人だった過去を悔いて、ブイドイの様な活動に生きる人生に。
そのストイックさから、タムの件で、クリス夫婦が責任を負う(引き取る)的発言で、悲劇に繋がるのだけれど。

ま、そもそもの結果は変わらないので、ストーリーの矛盾というか、観劇後のモヤモヤ感は薄まりはするものの、無くなりはしない。

そのため、新演出の方が良いのかと聞かれると、何とも。


結果的に作品の持つ存在感が薄まった(規模縮小)ような気がした。それはセットのチープさもあるかも。


近年、レミゼとPOTOのロングラン二作品の新演出を観てきたが、新演出の持つ短所よりも長所の方が目立っていたのだが、この作品に関しては逆のような気がして否めない。

なので、何故にここまで、チケットが完売するのかが謎。
サイゴンなので、B席でイケるかと思ったら、まさかのチケット難で、久々のS席観劇に。


で、一番の懸念材料なのだが、もしかして、来年の東宝レミゼもUKツアー版と同演出でも、東宝版ではチープに感じてしまうのだろうか。杞憂なら良いけど。

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4 コメント

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Unknown (Jun)
2012-09-11 10:12:56
久々にコメントさせて頂きます。
dacho様の率直な感想のおかげで、この新「ミス・サイゴン」に対する印象をやっと文章化する事ができました。ありがとうございます。
先にManon様のブログの方へ大部分を書いてしまったので、こちらではそこに書き漏らした事などを少々…

自分は新演出について「存在感が薄くなった」とか「チープになった」という印象は(映像を除いて)あまり受けなかったので、新鮮な視点でした。
オリジナル演出があまりにもバブル期を反映した壮大なものだったので、最初からその点は別物だと割り切れていたというか。
市村さんをはじめキャストの皆さんがあちこちで「オリジナル演出はオペラ的で、新演出はストプレ的な生々しさがある」と言っていますが、自分もそれに同意します。

完売続出という状況は前回の惨状を知る者として本当に感慨深いですが、オリジナル演出が莫大な投資とそれに必然的なロングラン(賛否の激しく分かれる内容にも関わらず)を伴う事を考えれば、
公演規模や期間自体がそもそも異なるので単純な比較にはならないのかなと。それでもここまでの当たり具合は予想外だったと思われますが。

長々とすみません。キャストまで言及できませんでしたが一旦ここで切りますね。
返信する
jun様 (dacho)
2012-09-12 00:30:08
お立ち寄り、ありがとうございます。
って、あまり意識してないのですが、
結構、否定的な感想になっていたかも。

そもそも、旧演出は二回しか観たことが無く、完全に印象に過ぎないのですが、新演出によるチープさ

勿論、ツアー版のため簡易にはなっているのは分かるのですが、
他二作の演出が、簡易ながらも壮大な演出だったので、その傾向をこちらでも期待したら…。

例えば、映像の使用という点でも、同じベトナム戦争を題材にしたワイルドホーン作曲の『天国の涙』
という作品があるのですが、かなり効果的に使われていたので、ついそちらと比較しているのもあるかも。

ただ、“ストプレの生々しさ“というのは初めて聞いたので、その感覚にちょっと納得です。

キャストに関しては、概ね想定内だったのですが、
そちらもツッコミ処のあるレポになってます?(笑)

返信する
きっと (通りすがり)
2013-03-13 21:16:54
本田美奈子さんが あまりにも良すぎたんですよ。
返信する
通りすがり様 (dacho)
2013-03-16 00:52:24
結局、本田さんを観ることは一度も無かったのですけど、
『本田さんだと』と思う役が幾つかあります。
勿論、このキムもですけど。
返信する

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