備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

ロンドン版『ショーシャンクの空に』

2014-12-18 01:35:45 | 国内ストプレ
映画にもなってるけど、一応ネタバレ込みのあらすじ。



この刑務所に、ある事件の犯人が収監される、
というレッドの独白から物語は始まる。

そして収監されてくる元銀行員のアンディ。

最初は誰とも口を聞かず、一人でいたが、
ある日、レッドにロックハンマーを頼む。
しかし、自分が不利になるモノは調達できないと拒むレッド。

そこにボグスからチェスの勝負を挑まれるアンディ。
その勝負には勝つものの、ボグスが殴りかかってきたために
二人とも独房へ。これは二人きりになるためのボグスの手だった。

そこで、ボグスに『アイスピックを調達して、
俺を殺そうとしていたな』と難癖をつけられ、暴行を受ける。

その話を聞き、自分がその情報を漏らした訳ではない、と
レッドはアンディにロックハンマーを用意。
そして、それをきっかけに仲良くなる二人。

同じ頃、所長に金融顧問になることを強要されるアンディ。
その代償に、古びた倉庫を図書館に改装することに。

数年後、その図書館にボグスが訪れる。
そこで暴行を受けるが、数日後、看守達から
致命傷寸前の暴行を受けるボグス。
それは、過ごしやすいように
刑務所環境を変えていたアンディの仕業だった。

そこに新しい囚人・トミーが入ってくる。
彼は車泥棒だが、刑務所内にいる内に、
高卒資格を得ようと考えていた。
アンディが教育をし、高卒の資格まで手に入れるトミー。

そして、トミーはある告白をする。
それはアンディが捕まった事件に関わる重要な証拠、
真犯人の存在を知っているということだった。

トミーはその事で、所長と揉め、
世間に真実を伝えようとすると、
所長に自殺に見せかけ、殺されるトミー。
その事を知り、また、寡黙になるアンディ。


ある日、レッドに多額の資産を所持していることを告げ、
その隠し場所の在処を教え、翌日、脱走するアンディ。

レッドの仮釈放の日、教えられた隠し場所に
行くと、そこにはアンディからの手紙が。

それに従い、希望をもって生き、
再会して握手を交わしたいという台詞で締めると
光の漏れる壁が少しだけ開き、暗転。

最後、アンディとレッド
が対面し、無言の握手をして幕。



佐々木@アンディ

冒頭で生着替え(笑)

ちょっと鼻にかかる発声。
関西訛りというか、若干の棒読みで、感情がない。
これは、冒頭だけかと思ったら、最後までなので、
意外と役作りでなく、こういう発声なのかも。

最初から最後まで、何を考えているのか分からない。
(所長に協力することへの見返りが分かりづらい。
単に、ボグスからの庇護以上に
決して変わることの現状を
居心地の良い環境に変える事のみ?)

犯行に関して、無実を訴えているが、
レッドに話す内容が若干、抽象的な内容なため、
オチがとんでもない方向にいくのでは?という不安も。
(映画未見なので、オチを知らず)

そして、同時にずっと、
穴を掘っていたというオチに。

最後、鉄格子が上に上がると、呆然と立ち尽くすが、
その無表情っぷりが、ここにきて、怖い。


國村@レッド
調達屋。
基本、中立で貸しを作らないし、作らせない。
そのため、積極的に賭けにも参加するけど深入りはしない。
なのに、アンディとはウマが合う。
この関係が成立する過程は結構、省かれていたけど。
要はラストの握手が感動的になるか、どうか。


センターとはいえ、後方席だが通る声。
正確には響く声で、マイクは使ってないと思われる。
そして、最後にはこれでもかって張る発声。
渋い声イメージだけど、ああいう声も出すらしい。

ここ最近の舞台(『ふたたびの恋』『エレンディラ』
『混じりあうこと、消えること』)は観ているが、
(要は『朱雀家の滅亡』以外)ここまで、出ずっぱりは久しぶりかも。


三浦@トミー

二幕しか登場しないけど、なかなかオイシいポジション。
流石、三番手のクレジット。
ただ、この役を若手イケメンがやる意味って。
別に棒読みという訳ではないが、
なんか空回り。これは演出なのか?


谷田@ボグス

刑務所のボス的存在。
かなり、激しい役だけど、あっさり退場。
その引き際にアンディが関わっているのかが、微妙な線引き。


劇団AUNと蜷川シェイクスピアでは観ていたけど、
こういうメジャーな劇場でも観るとは。
普通に演技派なので、こういう悪役だとかなり強面。


小林@ブルックシー
刑務所の司書。
仮釈放で一騒動を起こすが、そこで自殺をする訳ではない。
普通に退場し、台詞で死んだことが語られる。

棒読み路線、健在。
この前の『君となら』もその路線だったけど、
更にその路線が強くなったような。
そういう口調なのだと言うことは分かっているが。


福田@ヘイウッド

賭けの元締め。
完全にネタ要因だけど、このシリアスな芝居には、
必要な息抜き要因というか、にぎやかし、というか。

テレビ放送した大王作品、G2作品で結構、
観ていたが、実際に舞台で観るのは初めてかも。
まぁ、その路線な人なので、外さない役廻り。


角川@バディ

常にBGMでハーモニカを吹く囚人。
一回、台詞をいうがモノスゴい美声。
流石、ミュージカル畑な人。


板尾@所長

腹黒い所長。
最初から最後まで冷徹とブレない。
典型的な映画の悪役。
バラエティとのギャップがスゴい。



映画原作のこの作品。
スティーブン・キング原作という事もあり、
なにかしらのとんでもエンディングとかあるのかと
思ったら、オチは脱獄と、大変にシンプル。

また、アンディが捕まった事件も、
普通に真犯人が居るが、そこもシンプル。

微妙に意味ありげな台詞があるので、
なにか捻りがあるのかと思いきや、肩すかし。

ま、それ故に映画が名作と言われる所以か。


今年○度目の白井演出。
一幕後半で抽象的な話になりそうな雰囲気があったため、
これは白井氏の独特な世界観になるのかと思いきや、
二幕は普通に感動作品に。

映画原作な上、海外翻訳上演と
揺るがない基盤があるので、
それほど白井氏の色が出ないのかも。

それでも、最後に、
壁が全て上がるのかと思ったら、少しだけ上がり、
そこから溢れ出す光が一部だけ見えるという演出。

それが、レッドのこれからの将来を揚々と照らすのでなく、
”希望”が今、目の前に近づいている、まだ手にすることは
適わないといった、アンディと出会う事で輝かしい未来を
手に出来る、といった演出。(なのかなぁ、と深読み)


檻を使った不協和音が実は、無造作でなく、
ミュージシャンが奏でた音楽と分かり、細かいこだわり。


今回、やたらとロンドン版という冠が付くが、
数年前に日本人の脚本よる舞台版があったらしい。
ちょっと見比べたかったかも。

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