備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『テレーズとローレン』

2016-09-17 09:19:28 | 国内ストプレ
ネタバレなあらすじ。

ある金曜の午後。
マルタンが、ラカン夫人宅に帽子を忘れ、
その扉を開けようとする処から、物語は始まる。

扉は開き、中には若い男女の刺殺死体。
そして、その傍らには車椅子に座る老女。

何事?と思うと、突然、起きあがる死体。
マルタンを一方的に責め、そして黙る死体達。

『全てを観ていた』と語る老女、暗転。


時は数時間戻り、木曜の夜。

若い女性の名はテレーズ。
夫を亡くしたばかり。
麻痺により口が聞けない、歩けない
ラカン夫人の介護をするが、
何も言えないことを良いことに、
『カミーユを殺したのはローレンだ』と言い続ける。

そこに現れるローレンとヘベレケに酔ったマルタン。

ご機嫌のマルタンだが、
一緒に浮かれるろローレンを責めるテレーズ。
何事もなかったように、マルタンを送り出す二人。
居間には、帽子を残したまま。

マルタンが出て行った後、
落ち着かないローレンに、
水を飲ますテレーズ。

しかし、その水に毒が入っているのでは?と疑い、
テレーズに腹部にナイフを突き刺すローレン。
倒れたかに見えたテレーズだが、
そのナイフを奪い返し、ラカンを刺し返すテレーズ、暗転。


更に、時間は遡り、
ある雪の降る木曜日。

ローレンが絵を描いているとマルタンが
カミーユの遺体が発見されたと、やってくる。

そこに降りてくるラカン夫人。
脳溢血で医者に通い、
片腕は自由がきかないものの、
まだ、歩くことも出来る。

テレーズを呼びにいくローレン。
テレーズが現れるが、川に落ち、
行方が分からないカミーユを悼み、喪服。

そして、ローレンの描いたカミーユの絵に
異常に反応し、シルビアも情緒不安定に。

やっと一緒になれたローレンと
言いしれぬ罪悪感に悩まされるテレーズ。
そして、そんな二人の幸せを願うマルタンは
ランボーの詩を朗読する。そして、暗転。


また、時は遡り、ローレンが
カミーユの絵を書き上げた木曜日。

ラカン夫人はテレーズに病気がちな
夫であるカミーユの看病をするよう厳しく言う。

そこに、退職して初めて木曜日、
ラカン夫人宅にやってくるマルタン。

皆、何事もなく、幸せに見えるが、
テレーズとローレンは不倫の関係だった。

次に何時、会えるか約束し、
川辺でカミーユと三人で会うことに。
それが、三人で過ごす最後の時であることも知らずに。

そして、ローレンとテレーズは別れ、
マルタンはラカン夫人に言い寄りながら、暗転。


木場@マルタン
一場から順に、
来訪者、
酔っぱらい、
元刑事の一面と旧友の娘の幸せを願う一面、
退職したばかりの刑事。

この家を心配し、面倒を見るが、
実は、ラカン夫人に気もあった。
しかし、それは時間が遡るに連れ、現れる感情。
なので、不幸になるに連れ、無くなっていたのかも。

興業的にトップクレジット。
でも、主役というよりは狂言廻し。

終始、陰と陽。どちらかしかない。
そして、しゃべりっぱなし。
久々の台詞量のある役。

時折、〜〜なのです、と。
井上ひさし脚本な錯覚に。


銀@ラカン夫人
一場から順に、
語り出す老女。
モノ言わぬ老女。
悲しみに老ける母親。
ラカン家の女主人。

話し出すと、思い出す口調。
この気丈な女性がハマる。
それだけに、前半の感情を殺した表情演技が、
死角な席位置だっただけに、無念。


奥村@テレーズ
一場から順に、
死体、からの告発者。
義母への憎しみ。
殺害した事への罪悪感。
不倫を楽しむ拘束された妻。

最初が低い声で意外。
しかし、遡るにつれ、高い声。
(幸福と不幸の演じ分けが声の高さ)

前半が、かなりフッキレた役なので、
もう少し普通の役で観てみたい。
と、思ったら『タンゴ』で観てた。
そして、同じ感想(笑)
甲高い声でない方が良いらしい。

ちょっと、NHKの小野アナを彷彿。


浜田@ローレン
一場から順に、
死体、からの告発者。
アルコールに逃げる罪悪感。
完全犯罪が成功しつつある事の自信。
不倫を楽しむ高揚感。

普通の芝居が大変に自然。
なんか、こう、地に足の着いた市民感。
流石、老舗劇団出身。

その一方で、声をあらげた時の違和感のある演技。
ちょっと、大げさというか。テレーズも、
結構、大げさな演技になるので、余計に。



時間を遡るという設定。
別に、それ時点が目新しいという事も無い。

その中で、木曜日・カードゲーム・カミーユの
肖像画というのが繰り返し登場するキーポイント。
気づいたのが、途中なので、注目すべきだった。

また、何を描いてもカミーユに見えるローレンの絵。
場を越えて、それにツッコむマルタンとか。


そして、ランボーの詩。

最後に、その作者が明らかになるのだが、
つまりは、最初に出典が明らかになっていた。
にも関わらず、テレーズは前半、聞いたことがある、と。
この辺が普通の状態では無いことなんだけど、
それが夫を亡くした悲しみからか、
夫を殺したことの罪悪感からなのか。

そして、マルタンはこの二人の犯罪に
気づいて、見ないフりをしていたのか。
この辺を整理して、もう一回観たいと思わせる。

でも、もう一回観るのは、重い内容。
木場氏が出ずっぱりでも、躊躇する内容。

なお、開演前に呟いた役者は、木場氏のこと。
あまりに、フツウのオジサンな格好で来るのだな、と。
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