備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『レミゼラブル』(吉原バル/石川ジャベ)

2011-04-10 10:14:05 | 国内ミュージカル
"囚人の歌"
最初は鶴橋を振り上げ、振り下ろす演技だったが、途中から砂払いにも執着するバル。いきなりの囚人成り切り度にジャベ登場を見逃す。第一声は今井@バルに似ていると感じた。ジャベは相変わらずで、歌というよりは台詞。

"仮釈放"
炭鉱節(藁掬い)や『汗水たらしてこれか!』は流れる演技で淡白。特に反抗もせず民衆に埋もれていく。

"司教"
一番の注目は『盗んで、逃げた~』を高音域キープで、叫びながら走り回る。日本人でそれをやる人が居るとは。残念ながらJOJのほどの安定はないが、それでも貴重なような。
捕まる前、警官の尋問前で寝っ転がるバル。それがあまりにもドテッと寝っ転がり、子どもが欲しいモノを強請り、その前で手足をバタバタする仕草のよう。その前に警官により引っ立てられるが。
司教に手を差し伸べられるが、子犬のように結構ビクッとなる。
司教は普通に歌い上げる。

"ヴァルジャンの告白"
この辺の聞かせ処はバッチリ。最後の『生まれ変わるのだ~』の高音ロングトーンも綺麗に決めていく。仮出獄証を破るのも四回ほどで普通。

"1日の終わりに"
工場長の"ファンテの手紙を受け取り、読み、畳んで、返す"という仕草がかなり演技派。そのため『俺もドジだぜ』を歌い出すまでの心情の変化が分かりやすい。
市長バル登場。シルクハットにスーツが妙にハマるが、なにか入れてがっしり体系にしているのか?『解決したまえ』の仕草を手でやるが、それも自然。(観ていて気になったので、決して自然ではないのだが)

"夢やぶれて"
クセの無い日本語で、なおかつ聞かせるファンテを久々に観た。若干、ヅカチックな発声もあるが、聞かせる。

"ラブリーレイディ"
かつら屋役の人の声がかなり好みだったのだが、役に因る処もあるか?
曲ラストで一瞬静まり返り、スローテンポで入る処で、一拍早い人が。

"馬車の暴走"
ここの馬車の持ち上げ演技が結構真剣なバル。そして、ジャベの疑心暗鬼モードの表情が観ていて面白いことになっている。

"裁き"
ポイントは、番号上げをするバル。つい、裁判官ズを見逃した。

"対決"
歌はバルの方が聞き取り易い。でも、声は低音域なジャベが好み。ジャベの低音域はここだけなので、余計に。
誓っては一拍、バルが早かった。

"この家の主"
テナソロ部の音が抑えられており、声量がなくとも、かなり聞き取り易い。盛り上がり部分も上手く調整しているような。とりあえず、歌はおいといて、小芝居がワザとらしくないのが良かった。若干、時代劇に出てくる小役人なイメージがあったが。明治座系の和物を観ている錯覚に。

"取引"
椅子を倒すがそれほど、大きな音はせず。ここのバル高音域は出なかったのが残念。勢いで回すクルクルコゼットでなく、ワルツで高い高い(高低)をするバル。一瞬、WEのワルツ仕様?と思ったが、単に高い高いに慣れていないだけか?

"乞食たち"
マリウスだけが妙に貫禄。アンジョも高音で際立つが、それでもマリウスの一人勝ち。
また、テナがバルに気づき手押しオルガンを投げ出すが、その効果音がずれたような。
『どうして消えた』で突然消えるバルにかなり驚くジャベ。もう、『えっ?』という吹き出しが出るのではという勢い。

"星よ"
ここは流石に歌モードなジャベ。

"ABCカフェ"
グランが結構正統派演技。『こいつはオペラ』後のフェンシング相手が何時も違ったような気がしたのは気のせい?

"プリュメ街"
ここのバルの高音域はあまり、高音にしていない。また、コゼは普通。特に声楽系ではないため、マリウスより強いことはない。

"ワンデイモア"
バルが目立つ。コーラスでも目立つ。また、三角行進に入るジャベだが、ステップにズレがないのは元学生だからか。

"バリケードを築こう"
ジャベ潜入。語尾を伸ばし、歌にするため、海外版のような台詞と曲の変な間はなし。

二幕に入り、若干、キーを上げる歌い方になるバル。手紙読み上げパートはちょっと山口@バル調な上擦った歌い方に。

"オンマイオウン"
典型的なエポ声で熱唱。時折、『そこを台詞?』な処があり、メロディーに乗せず、感情重視で言うため新鮮さが。

"ちびっ子仲間"
ガブに指摘され、スパイと発覚した直後は逃げようとする演技をするものの、後はドジっと構え、動じないジャベ。貫禄というか、江戸っ子のようにいさぎよい演技。
その後、バルとバリケード内で再会するが、その時の『なにーっ』という表情も面白い。
アンジョの『マリウス』で一拍あけて反応するバル。

"共に飲もう"
一緒に飲む演技プランかと予想したが、以外にも酒は断るバル。

"彼を返して"
ひっくり返ることもなく、安心して聞いていられるが、歌唱力としてはやはり、海外バル役者に比べると弱い。また、感情重視かと言えば、そうでもないし。若干、消化不良だった"彼返"。この辺は回を重ねると変わるか?

"第二の攻撃"
ガブの鞄は届く。
アンジョ→グランの順でバリケードを登っていくのは、やはり観ていて感動ポイントの一つか。
バルもスロー演技で倒れるが、ここはあっさり。傷ついたマリウスを下水道に運び込むが、その時、手を怪我した演技で、排水口をなかなか上げることが出来ない。
同じ排水口を持ち上げようとするジャベだが、その時の一生懸命さは観ていてツボ。

"下水道"
テナソロはエコーが効いているため、小芝居にウェイトが。勿論、ソツなくこなすので、安定した演技。
マリウス担ぎはかなりスムーズに進む。暗転箇所でその様子が見えるが軽々。
そして、ジャベと対峙しても、余裕でマリウスをお姫様抱っこしたまま(肩に担いでいたか?)歌う。

"ジャベールの自殺"
一応、ジャベの聞かせナンバーの筈だが、もう演技8、歌2なジャベに。転調前と後の動と静の差が激しくここが石川@ジャベの真骨頂といったカンジ。
なお、自殺後、はける寸前に足が伸びる(臨終表現?)など、微妙な演技プランも。(水中という設定なので、もがき表現かも)ただ、はける時のコロコロは控えめ。

"エピローグ"
ヨボヨボ演技だが、歌は高音にしているだけなので、臨終感はなし。ま、ここで自分の感動ポイントのツボを抑えるバル役者は少ないが。


バルジャン@吉原
若い。
今井@ヴァルジャンよりキーは高く、四季の芝氏に近い。元々、『JCS』のユダでしか観たことがなく、芝氏と被るのだが、今回観て尚更。
一幕は結構、ツッコミ処が多くこれは、SIMON@バルの様になるか?と思ったが、二幕は抑え目。ただ、回を重ねたら、濃いヴァルジャンになるかも。

ジャベール@石川
歌より演技派。そのため、歌というより台詞。基本的にジャベは歌唱力よりも演技派の方が好きだが、この濃いジャベは石川氏ならでは。

エポニーヌ@平田
声が島田さん系統のため、エポイメージな声。

ファンティーヌ@和音
こちらは普通に歌えるファンテ。最近、歌えるファンテだと思って観てきたのが、井料・マルシア・シルビアの三人でどれもクセがあったため、こういう正統派な歌い方が新鮮。

マリウス@原田
若者4人では、一番飛び抜けているような。前回、アンジョで観た時は、それほど、目立たなかったので、役によるのか。

コゼット@稲田
可愛い路線でも声楽系路線でもないコゼット。普通?

テナルディエ@三波
骨格の造りが光枝氏に似ている。外しはしないが声量がないため、歌はイマイチだが、演技派路線。それもお笑い系に走らず、小役人(提灯持ち)なテナ。

マダム・テナルディエ@阿知波
それほど、オーバーな演技ではないので、森@テナ妻より好み。こういう女将さん系のキャラが似合う。

アンジェルラス@阿部
ハイトーンなアンジョ。昔からあのハイトーンは目立っていたが、今回も健在。アンサンブルに混ざっていても、声の判別は出来るのだが、カリスマ性があるかというと、別問題。


カテコは妙に石川氏がハイテンション、一方、吉原氏が落ち着きすぎ。最後には石川氏に押し出され、センターにくるが、その後の手持ち無沙汰加減がなんとも。


久しぶりに日本語でレミゼ。CD未収録シーンもあるため、日本語だとこんな台詞だっけ?という処もシバシバ。


今回は初キャストが多いメンツのため、結構、新鮮。それでも、和音@ファンテは良かった(出番も少ないが)
また、三波@テナが既存のテナ(海外も含む)のどれにも属さないタイプだった。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『国民の映画』初演 | トップ | 『spring with kanji ishimaru』 »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さすがに (タートルキング)
2011-04-11 00:26:47
気合の入ったレポですね
こちらはチケット1枚無駄にしました…

大抜擢の吉原氏、早く観に行かなくては
「夢醒め」の暴走族が懐かしいです

和音さんお気に入りとは意外でした
たしかに彼女、ここ数年でヅカ退団した娘役では一番かも
返信する
フォーマットが (dacho)
2011-04-11 12:50:39
『レミゼ』に関しては、曲名や役名が
入ったレポ用のフォーマットがあります(笑)

吉原氏はユダ以来でしたが、
ちょっとイメージが変わりました。
(去年、響人でも観てますが)

そして、和音さん。
昨年の『WIW』では特に印象が
残りませんでしたが、今回はなぜか強烈に。

前回も儚い女性役だったハズなんですが。
返信する
専門用語(?)ビッシリ! (ピーチティー)
2011-04-17 21:42:04
お土産、美味でした!
ありがとうございました!

レミゼはほぼ初心者な私ですが、だんだん専門用語(?)が分かるようになって来ましたよ!
個人的に「はける前のコロコロ」にウケました。

石川さんの「スタァァッ…」の一声に、思わず森進一を思い出した私。
良かった、dachoさんも似たようなこと思ってたんですね

返信する
造語です(笑) (dacho)
2011-04-17 22:28:45
先日はお世話様でした。

専門用語どころか、全て自分のレポート用の表現です(笑)

本作品を観ていないと、伝わらないニュアンスですいません。(観ていても分からない表現かもしれませんが(^_^;))

しかし、自殺後のジャベールが捌けるコロコロは今期の演出で見納めのため(新演出だと全く違う捌け方のため)、その目に焼き付けておこうと思います。
返信する
こんにちは (青沼静馬)
2011-04-19 11:09:42
詳細なレポでまた当日の舞台を思い出しました。結構長くミュージカルから遠ざかっていた吉原さんですが、この日のプレビューを見た限りでは全然心配なしって感じでうれしいです。今後のバルジャンも楽しみ。
JCSも始まりましたが吉原ユダまたみたいものです。
そして和音ファンテ想像以上によかったです。
今年のレミゼお気に入りのカンパニーになりそうです。
返信する
青沼静馬さま (dacho)
2011-04-19 12:32:35
『吉原氏ファンに読ませられるのか?』というレポですが、コメントありがとうございます。
ここ一年以内に、都合4人ほどヴァルジャンを観ていますが、ここまでのパワフル・ヴァルジャンはいなかったような…。

きっと、新演出での"対決"も吉原氏がやったら、迫力があるんだろうなと思って観てました。

それと同時に執拗に追いかけそうなイメージもあるので、ジャベールも観てみたいと思ってしまいました。勿論、アンサンブルにいても悪目立ちしそうなアンジョでも良いのですが(笑)
返信する
吉原バル (SH)
2011-04-27 17:18:50
詳しいリポートありがとうございます!私は今年は弾丸遠征で5月~6月に今井バルを3回だけの予定なので、こうしてdachoさまの報告を読めて助かります。イマイバルの日の昼間に吉原さんがバルだったら丁度見ることができたのになあ、、。

JOJ調の高音伸ばしが数箇所にあるのですね。頑張ってますね。でもそれ程高音にしない箇所もあるのか。エピローグの感動が薄いのは残念ですが、これからを期待しましょう。

新タイプの三波テナも興味津々です。でも歌も上手い方がベターでした。出来れば。

ロンドンでは6月23日の新キャスト初日を見に行きます。果たしてその後そのキャストに通い詰めることになるのかどうか?
返信する
SH様 (dacho)
2011-04-28 13:00:41
コメント、ありがとうございます。

自分は5月~6月に3週連続レミゼ(今井ヴァル×3、別所ヴァル1回)というのがあるので、前半は1回のみと控えめです。

そのため、吉原ヴァルはこれきりなのですが、他の人のレポ次第では突発で増やすかも?

また、残念ながら月末は多忙のため、SH様の観劇とはかぶらず。色々、お話しを聞きたい処ですが、レポを期待しております。


返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国内ミュージカル」カテゴリの最新記事