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自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

ツール2024の傾向と対策(3)

2024-07-13 13:43:38 | ツール・ド・フランス
 今年久々にロードレースをTV観戦して感じたことは速度が速くなったということでした。過去のツール・ド・フランスの平坦ステージでは平均速度が40km/h前半でしたが、今は多少のアップダウンがあっても40km/h後半で、最後の20kmは50km/hを超えるなんてことも珍しくなくなっているのです。

 昨日の第13ステージは165.3kmの距離を3時間半という驚異的なスピードでゴールを迎えました。明日からピレネーに入る前ということもあり、普通に考えたら脚を休めたいと考えても不思議の無いステージでもこのハイペース。確かに機材の進化やバイクのエアロ化でスピードUPは当然のことなのですが、自動車と違いエンジンは選手そのものなので、そのスピードに対応できる身体能力や、スピードを維持できるスタミナも、以前とは比べ物にならないくらいにUPしているのです。
 科学的データに基づいたトレーニングの進化は勿論ですが、補給食やドリンクの進化も大きいと思っています。私が観ていた頃のツールでは普通にアルミ箔に包まれた固形食を口にしていたものですが、今はほとんどがエナジージェルやエナジードリンクで、より手軽に時間をかけずに口に出来るため、補給ポイントでは若干ペースダウンはするものの、その後は再びハイペースの展開に戻ることが大半です。
 補給ポイント以外でもドリンクのボトルにエナジージェルを付けたものを渡すことも多くなっています。また、昨日、ゲスト出演していたEFエデュケーション・イージーポストの留目夕陽選手も言っていましたが、補給に関してはチームから厳しく指示されているのだそうです。体重によって消費カロリーを計算し、レース中は決められたエネルギー補給を欠かさないことが、より速く走る上で大切なのだと思わせてくれます。

 また、留目選手は第11ステージでのポガチャルの失速は補給を取り損ねたエネルギー切れかもしれないと言っていました。以前に比べ大人になった感じのあるポガチャルですが、一度スイッチが入ってしまうと冷静さを欠くこともまだあるようです。常に冷静沈着で大人の走りを見せるヴィンゲゴーとは対照的なところで、そこがまた魅力に感じられます。

 スピードアップに伴い落車も多くなっているのも、近年のロードレースの傾向でしょう。今年のツールでも前日の落車でビッグ4のひとりログリッジがリタイヤになっています。あの町に入る前の分離帯は明らかに危険でした。さほど高さの無い中央分離帯で、何のガードもなく、いきなり集団の中に現れたら落車も止む無しでしょう。主催者としてはさほどのリスクと感じていなかったのかもしれませんが、結果としてビッグ4のひとりを失ってしまう結果になってしまったのです。
 リスクが大きな場所は今年のパリ~ルーベのように、選手側からリスクを指摘され、シケインをあえて作ってペースダウンをさせるような取り組みも進んでいるようですが、今のスピードアップには追い付いていないと感じてしまいます。ゴール前などは事前に危険な場所を記載されたマップも渡されているようですが、200kmにも渡るコース全てでこれをする訳にもいきません。今は全選手のサイコンにコースデータがインプットされているようですが、今の高速レース中にいちいちサイコンを確認することはかなり難しいのではと思ってしまいます。
 実際にTV画面で目にする落車は衝撃的です。時速50kmを超える速度での落車ですから、頭を守るヘルメット装着は当然のことだと実感できます。ただ、ロードレースでは選手を落車から守る装具はヘルメットとグラブ以外に無いということも事実なのです。打ち所が悪ければ簡単に骨折してしまうのです。落車のダメージを最小にするコツはバイクから早く手を離す事です。バイク初心者に有りがちなのがバイクを守ろうとしてしまうことなおです。せっかくのニューバイクを傷つけたくないという思いは捨てましょう。私も最初に立ちゴケをした時にバイクを守ることに必死だったことを良く覚えています。
  スピードが出ていない立ちゴケなら打撲か擦過傷で済むかもしれませんが、運が悪ければ骨折もありえるのです。特にハンドルから素早く手を離さないとあっさり手首を骨折してしまいます。また、ハンドルが身体の近くにあるとハンドルが胸に当たり肋骨骨折の大怪我になることもあるのです。素早くビンディングを外す練習も必要です。プロの選手は危険と感じた瞬間にビンディングを外し足を地面に付けようとします。素人はこれができないので落車してしまうのです。ビンディングは転べば勝手に外れてくれますから、落車の怪我は手や上半身に集中する傾向があります。

 ツール・ド・フランスはいよいよピレネー山岳に突入します。今日と明日のピレネー2連戦でマイヨジョーヌの行方がある程度見えて来るはずです。ポガチャルにとっての痛手はアユソがコロナで離脱を余儀なくしてしまったことでしょう。これで、ツール直前でクスを欠いたヴィスマと同じ状況になってしまいました。まだ、アルメイダとアダムがいますが、これからの厳しい山岳を迎えるポガチャルのアシストが欠けてしまったのは大きな痛手になるかもしれません。
 開幕2週目で調子を上げて来たヴィンゲゴーに対し、1分以上のタイム差があるポガチャルがどのように立ち向かうのかが楽しみです。ここ2年はポガチャルがマイヨジョーヌのヴィンゲゴーを追いかける格好でしたが、今年は逆です。ただ、ポガチャルは性格上守りに入ることはしないと思うので、ヴィンゲゴーとのマッチレースになる公算が高いはず。フランス南部に入り気温も高くなるこれからがポガチャルにとっての試練になるかもしれません。それを乗り越えてWツールを果たすのか、ヴィンゲゴーの3連覇を許してしまうのか、熱戦の火ぶたが今夜切られます。
 

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