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映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます。別世界へ連れて行ってくれる作品が好み(本棚6)。

「高地戦」(2011年、韓国映画)

2021-11-17 23:01:57 | TV放映
前項「国際市場で逢いましょう」に引き続き、
韓国映画を観ました。

朝鮮戦争を扱った内容です。
「人を殺すことが正義」という常識とは真逆のルールが戦争です。
自分が生き延びるために敵を殺し、
自分が生き残るために味方をも殺す・・・“生き地獄”とはこのことを言うのでしょう。
そんな不条理に満ちた戦闘を描写し続ける映像が続きます。



<解説> 映画.com
「映画は映画だ」「義兄弟」のチャン・フン監督が、朝鮮戦争の高地戦を壮大なスケールで描き、2011年韓国で大ヒットを記録した戦争アクションドラマ。1953年、朝鮮戦争の停戦協議は難航し、南北の境界線を争う高地では、領地を奪っては奪い返す激しい攻防が続いていた。そんなある日、韓国諜報隊員のカン中尉は、激戦区のエロック高地に人民軍の内通者がいるという情報を詳しく調査するため、現地に赴く。カン中尉はそこで、かつての学友スヒョクと再会するが、心優しい青年だったスヒョクは過酷な戦場で変わり果て、冷徹な人間になっていた。地獄のような日々が続く高地で、兵士たちは一刻も早い停戦だけを願って生き続けていたが、ついに極限を超えた日が訪れる。脚本は、「JAS」の原作者として知られるパク・サンヨン。
2011年製作/133分/PG12/韓国
原題:The Front Line


「国際市場で逢いましょう」(2014年、韓国映画)

2021-11-16 23:01:47 | TV放映
韓国の映画を見たのは久しぶりです。
最後に見たのは「私の頭の中の消しゴム」だったかな・・・あまり面白くありませんでした。

この映画は、韓国の現代史を生き抜いた一人の男性の半生を描いたものです。
初めは「三丁目の夕日」的ストーリーなのかなと思いきや、
波瀾万丈の展開に驚かされました。

主人公のドクスは、朝鮮戦争で父・妹と生き別れ、父の代わりに家長として家族を支え続けました。
ドイツの鉱山への出稼ぎ、
ベトナム戦争への出稼ぎ、
命を張って、家族には背中しか見せない美学のようなものも垣間見えます。
これは儒教精神が浸透した韓国の一つの姿なのかもしれません。

韓国の人々は、歴史に翻弄されながら現代を生き抜いてきたのですね。
国民的大ヒットもうなづけます。



<解説> (映画.com
韓国で歴代2位となる観客動員数1410万人を記録した大ヒット作。前作「TSUNAMI ツナミ」でも1132万人動員という記録を打ち立てたユン・ジェギュン監督が、釜山の国際市場を主舞台に、激動の時代を家族のために生きたひとりの男の生涯をつむいだ大河ドラマ。朝鮮戦争で父と末の妹と離れ離れになり、母と残された2人の妹とともに避難民として釜山で育ったドクス。父親代わりとして一家を支えるため西ドイツへ出稼ぎにいき、ベトナム戦争への出兵では生死の瀬戸際に立たされるなど過酷な人生を歩むが、それでも家族への愛情と笑顔を絶やさず、時代の荒波を生き抜いていく。主演は「ユア・マイ・サンシャイン」「新しき世界」のファン・ジョンミン。米人気ドラマ「LOST」で知られるキム・ユンジンが、ドクスの妻ヨンジャを演じるほか、「東方神起」ユンホの出演も話題。
2014年製作/127分/韓国
原題:国際市場
配給:CJ Entertainment Japan

<スタッフ>
監督:ユン・ジェギュン
撮影:チェ・ヨンファン
美術:リュ・ソンヒ

<キャスト>
ドクス:ファン・ジョンミン
ヨンジャ:キム・ユンジン
ダルグ:オ・ダルス
ドクスの父:チョン・ジニョン
ドクスの母:チャン・ヨンナム
ドクスの叔母:ラ・ミラン
クッスン:キム・スルギ

⭐️ 5点満点で4点。

「瞽女 GOZE」(2020年、日本映画)

2021-11-02 23:13:32 | TV放映
最後の瞽女、小林ハルさんの伝記映画です。



「瞽女」さんには昔から興味がありました。
目の不自由な女子が、親方に弟子入りして三味線と歌を修行し、
声のかかった地方へ巡業して廻ることを生業としました。

昔は目の病気で視力を失うことが現在より多かったと想像されます。
その人たちの職業としていくつかの道が用意されていました。

青森県のイタコさんもそのひとつです。
皆さん、イタコ=シャーマンというイメージをお持ちかもしれませんが、
そうではありません。
目の見えない女子が弟子入りして経文を覚え、
一人前になると独立する職業です。

実は、青森県(津軽)には“ゴミソ”と呼ばれるシャーマンが別にいます。
巷では「カミサマ」と呼ばれていました。

なぜこんなことを知っているかというと、
私は30年以上昔、青森県の弘前大学の学生で、
民俗研究部というサークルに所属していたのでした。
イタコさんの口寄せも間近で見たことがあります。

話を戻します。

瞽女さんは男性と性的関係を持ったり妊娠したりすると、
村八分にされて“離れ瞽女”と呼ばれるそうです。

作家、水上勉の小説に「はなれ瞽女おりん」という作品があり、
昔、映画化された物を見たことがあり、
その中でも、この映画でも触れられています。

本作品の中でクローズアップされるのは、目の見えない娘を“鬼”と化して厳しくしつける母。
一人で何でもできなければ、自分が死んだ後にこの子は生きていけない、
という思いからの厳しさ。

それを子どものハルは理解できずじまいのまま、
母は肺病(おそらく結核)で亡くなりました。

そして臥薪嘗胆・波瀾万丈の人生を送り、
自らが親方になった際に、
弟子に同じことをしている自分に気づき、
母の愛を初めて知ったのでした。

小林ハルさんはなんと105歳まで生きて寿命を全うしました。

★ 5点満点で3.5点

旅をする際に歩く田舎道に見覚えがあります。
越後(新潟)のたんぼ道って、両側に木が植えてあるのですね。
私の母親の出身地が新潟なので、
幼い頃連れて行ってもらった風景を思い出しました。

瞽女さん達が列を組んで田舎道を歩く風景、
瞽女さん達も自然に溶け込んで一体化し、
古来からの日本の情景に見えてきます。

私は瞽女さんを知っていたので、
このストーリーは想定内で新鮮味はありませんでした。
実は小林ハルさんの本も、CDも持っています。

演出として、
来る日も来る日も、
夏の暑い中も、吹雪の冬も、
桜舞い散る春も、落ち葉舞い散る秋も、
ひたすら歩き続けて巡業する瞽女さん達の姿の描写があれば、
もっと日本人DNAに訴える映像ができたのではないかと思いました。

<解説>(映画.com
三味線を奏で、語り物などを歌いながら、各地を門付けして歩く、盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)。国の無形文化財保持者でもある最後の瞽女、故・小林ハルさんの半生を描いた人間ドラマ。生後3カ月で失明したハルは2歳の時に父と死別し、盲目のために7歳で瞽女になる。ハルが瞽女になると、それまではやさしかった母のトメは、心を鬼にしてハルを厳しくしつける。それは、母親が子を思う愛情の深さだった。そんな母親のやさしさに気づかぬまま、ハルは8歳でフジ親方とともに初めての巡業の旅に出る。瞽女として過酷な人生を歩んだハルは、意地悪なフジ親方からは瞽女として生き抜く力を、サワ親方からは瞽女の心を授かり、一人前の瞽女として成長していく。国民的美少女コンテスト出身の吉本実憂が成年期のハル役で主演を務めた。監督は劇場版「名探偵コナン」シリーズのエンディング実写パートなどを手がけた瀧澤正治。
2019年製作/109分/G/日本

<スタッフ>
監督:瀧澤正治
脚本:加藤阿礼 椎名勲 瀧澤正治

<キャスト>
ハル(子ども):川北のん
ハル(成年):吉本実憂
母トメ:中島ひろ子
フジ親方:冨樫真
手引き:クニ木聖奈
親しょ:宮下順子
塩野町瞽女宿お婆様:草村礼子
サワ親方:小林綾子
占い師シン:小林幸子
佐々木医師:本田博太郎
父豊三:渡辺裕之
下田村萱森家萱森大輔:国広富之
伊藤眼科医師:嶋田久作
齋藤医師:田中健
米沢の瞽女宿片倉家主人:寺田農
爺様:綿引勝彦
婆様:左時枝
ハル(現在):渡辺美佐子

「小説の神様」(2020年、日本映画)

2021-10-31 22:12:17 | TV放映
大正時代辺りを題材にした映画化と思って見始めたら・・・
なんと舞台はバリバリの現代、
そして主人公となるのは現役高校生かつプロの小説家の男女!
と半分「あり得ない」設定のストーリーでした。

華々しくデビューした二人が、いろんな壁にぶつかってスランプになり、
同じ高校の同級生として偶然出会う場面で始まります。

JK小説家はS的性格、
男子高校生(DKっていうんだろうか?)はM的性格。
そんな二人は編集者の計らいで“共作”することになります。

しかしいろんなトラブルで迷走し、
罵り合ったり、励まし合ったりと目が離せない展開に引き込まれてしまいます。
この監督、上手いなあ。
結構、楽しめました。

別に主人公達が向光性でなくてもいいような気がするけど・・・
あ、原作があったのですね。

見終わってみて、あらためて考えてみると、
「小説の神様」というタイトル、やはりピンときません。

<追記>
一晩経って、この映画の違う面が見えてきました。
底流にあるのが「小説を書く難しさ・大変さ」と感じるようになりました。
原作者は、半分自分のことを書きながら、
“読者受け”するように主人公を高校生という設定にしたのかな、などと勘ぐってしまいました。


<解説>(映画.com
相沢沙呼による小説「小説の神様」を、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)と橋本環奈のダブル主演で映画化。中学生で作家デビューしたものの、発表した作品を酷評され売上も伸びないナイーブな高校生作家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者であるドSな性格の小余綾詩凪は、高校生作家としてヒット作を連発していた。性格もクラスでの立ち位置も作家としての注目度も正反対の彼らだったが、編集者に勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。反発しあいながらも物語を一緒に生み出していくうちに、一也は詩凪が抱える意外な秘密を知る。監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭。

2020年製作/106分/G/日本
配給:HIGH BROW CINEMA

<スタッフ>
監督:久保茂昭
原作:相沢沙呼
脚本:鎌田哲生

<キャスト>
千谷一也:佐藤大樹
小余綾詩凪:橋本環奈
九ノ里正樹:佐藤流司
成瀬綾乃:杏花
千谷雛子:莉子
野中:坂口涼太郎
河埜:山本未來
千谷昌也:片岡愛之助
千谷優理子:和久井映見

★ 5点満点で4点。

「ホテル・ローヤル」(2020年、日本映画)

2021-10-16 23:33:50 | TV放映
WOWOW放送の映画をつらつら鑑賞しています。
心に響く映画を探して・・・。

今回はラブホテル(今は“ファッション・ホテル”?)を舞台に、
そのオーナー家族と従業員、
そして行き交う利用者達の物語です。

どうしようもない生活状況から逃げて、
安息の地を求めてホテルにたどり着く人々。

そこからまた日常生活に戻る人もいれば、
袋小路から抜け出せずに自滅する人もいる・・・。

NHKの「ドキュメント72時間」と雰囲気が似てます。
ラブホを扱った作品としては「さよなら歌舞伎町」にも似てますね。

そういう、いろんなストーリーを知ってしまったアラ還の私には、
“あるある話”の一つにしか見えず、今ひとつ響きませんでした。



<解説> (映画.com
直木賞を受賞した桜木紫乃の自伝的小説を、「百円の恋」「全裸監督」の武正晴監督が映画化。北海道の釧路湿原を背に建つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。経営者家族の一人娘・雅代は美大受験に失敗し、ホテルの仕事を手伝うことに。アダルトグッズ会社の営業・宮川に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけの日々。そんな中、ホテルにはひとときの非日常を求めて様々な客が訪れる。ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり、雅代たちはマスコミの標的となってしまう。さらに父が病に倒れ家業を継ぐことになった雅代は、初めて自分の人生に向き合うことを決意する。波瑠が主演を務め、松山ケンイチ、安田顕が共演。脚本は「手紙」「イエスタデイズ」の清水友佳子。
2020年製作/104分/PG12/日本

<スタッフ>
監督:武正晴
原作:桜木紫乃
脚本:清水友佳子
製作:狩野隆也 小西啓介 松井智 瓶子吉久 宮崎伸夫 佐竹一美 寺内達郎 本丸勝也 広瀬兼三
企画プロデュース:福嶋更一郎 小西啓介 瀬川秀利 宇田川寧
プロデューサー:新村裕 杉本雄介 柴原祐一
撮影:西村博光 
照明:金子康博
美術:黒瀧きみえ
装飾:山田好男
衣装:浜井貴子
ヘアメイク:小沼みどり 宮本奈々
特殊メイクデザイン:藤原カクセイ
音響:白取貢
音響効果:赤澤勇二
編集:相良直一郎
音楽:富貴晴美
主題歌:Leola
助監督:齊藤勇起
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
ラインプロデューサー:本島章雄
制作担当:今井尚道

<キャスト>
田中雅代:波瑠
宮川聡史:松山ケンイチ
能代ミコ:余貴美子
太田和歌子:原扶貴子
佐倉まりあ:伊藤沙莉
野島亮介:岡山天音
本間真一:正名僕蔵
本間恵:内田慈
美幸:冨手麻妙
貴史:丞威
坂上朝人:稲葉友
能代正太郎:斎藤歩
能代ミコの母:友近
田中るり子:夏川結衣
田中大吉:安田顕
若き日の大吉:和知龍範
若き日のるり子:玉田志織
配給:ファントム・フィルム

★ 5点満点で2点。


「影に抱かれて眠れ」(2019年、日本映画)

2021-10-13 22:49:43 | TV放映
北方謙三の原作小説を映画化した、と知り、WOWOWで放映したものを視聴。
主人公は国際的に評価される画家、またの姿は居酒屋を複数経営する実業家、そしてルックスも渋くて女にもてて・・・まあ現実離れした男です。
その彼が、都会のダークサイドとやり合うストーリー。

ハードボイルド・・・日本語に訳せば「固ゆで卵」。
アラ還の私にどう響くのだろう、と半分期待して観てみたものの・・・
何も感じず、2時間の暇つぶしにしかなりませんでした。
ただし、途中でやめることなく最後まで見届けられたのは、
監督の演出の手腕かもしれません。

もっと若かったらドキドキしながら観られたのかなあ。


<解説> (映画.com
横浜を舞台にした北方謙三のハードボイルド小説「抱影」を、ドラマ「相棒」シリーズなどで知られる和泉聖治監督のメガホンで映画化。加藤雅也が主演を務め、「アウトレイジ」などで知られる俳優の中野英雄が、初の映画プロデュースを手がけた。酒をこよなく愛し、横浜・野毛で2軒の酒場を営む画家の硲(はざま)冬樹は、絵を描き、酒を飲み、自身の店を自転車で巡回するという平凡な日常を送っていた。しかし、冬樹を父親のように慕う岩井信治が傷を負って冬樹のもとに転がり込んできたことから、その日常は狂い始める。NPOの慈善団体のメンバーとして女性たちを救う活動をしている信治は、1人の未成年の女子を救うために窮地に追い込まれていた。信治に手を貸してしまう冬樹は、男たちの争いの渦に巻き込まれていく。そんな中、冬樹は10年以上純愛を貫く人妻・永井響子の余命を知らされる。主人公・冬樹役を加藤、響子役を中村ゆりが演じるほか、「EXILE」の松本利夫、カトウシンスケ、「湘南乃風」の若旦那らが顔をそろえる。
2019年製作/108分/PG12/日本

<スタッフ>
監督和泉聖治原作北方謙三脚本小澤和義製作総指揮中野多加美 田中裕子 松川秀一プロデューサー中野英雄撮影中村耕太主題歌クレイジーケンバンド

<キャスト>
硲冬樹:加藤雅也
永井響子:中村ゆり
辻村正人:松本利夫
岩井信治:カトウシンスケ
中井健太郎:若旦那
小島たき子:熊切あさ美
山口粧太
中山こころ
吉村秋保:余貴美子
中本良蔵:火野正平
三田村涼:AK-69

★ 5点満点で2点


「ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏」(2019年、イタリア・アメリカ合作)

2021-10-12 23:06:05 | TV放映
不思議な余韻の残る映画でした。

予備知識なしで観ると、“帝国”支配地の最遠地であり、かつ周辺の敵対する部族と争う最前線である“町”での出来事。
そこを管理する“民政官”は、周囲の蛮族と敵対することなくバランスを保ちつつ上手く仕切っていました。
そこへ“帝国”の使者が現れ、民政官のやり方が生ぬるいと批判して蛮族を攻撃しはじめます。
当初は圧倒的有利で残虐の限りを尽くしましたが、帝国の力がピークアウトして縮小してくると、力関係が逆転して蛮族から攻められ、あっけなく兵士は撤退していくのでした。

そんなストーリーの中で、拷問を受けて死んだ蛮族の男の娘と民政官の微妙な関係が揺れ動きます。

彼女も拷問で視力を奪われ足首を折られていました。民政官は罪悪感から彼女の世話をしつつ、部族の元に返そうと画策します。なんとか送り届けたものの、別れの際に、彼女に惹かれはじめた民政官は「一緒に町に帰ってくれ」と懇願し、やはり民政官に惹かれはじめていた少女は苦しみながらも「帰らない」と去ったのでした。

この民政官の行動は“帝国”に反逆と見なされ、民政官は罪人としてつるし上げられます。

人と人は仲良くなれても、国と国は仲良くなれない・・・現在の世界中に発生している争いや戦争と同じ原理が根底に流れていることを感じました。


・・・解説を読むと、ノーベル賞受賞作家の小説を原作としており、舞台は19世紀のアフリカとのことです。西洋人が他民族を力で支配した植民地時代の話ですね。

<解説> (映画.comより)
ジョニー・デップ、ロバート・パティンソン、マーク・ライランスら豪華キャストが共演し、ノーベル賞受賞作家J・M・クッツェーの小説「夷狄を待ちながら」を映画化。原作者自ら脚色を手がけ、「彷徨える河」などで知られるコロンビアのシーロ・ゲーラ監督がメガホンをとった。19世紀、アフリカ。帝国に支配された辺境の町で、「蛮族が攻めてくる」という噂が囁かれていた。やがて治安維持のため中央政府から警察官僚が派遣され、激しい弾圧と拷問が始まる。デップがサディスティックな警察官僚役で新境地に挑み、パティンソンがその副官、ライランスが彼らと対立する地元民政官をそれぞれ演じた。2019年・第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2021」上映作品。
2019年製作/113分/イタリア・アメリカ合作
原題:Waiting for the Barbarians

<スタッフ>
監督:シーロ・ゲーラ
製作:マイケル・フィッツジェラルド 
   オルガ・セグラ 
   アンドレア・イェルボリーノ 
   モニカ・バカルディ
製作総指揮:マーティン・E・フランクリン 
   クリスティーナ・ガジェゴ 
   ダニエレ・マローニ 
   ペネロピー・グラス
原作:J・M・クッツェー
脚本:J・M・クッツェー
撮影:クリス・メンゲス
美術:クリスピアン・サリス
衣装:カルロ・ポッジョーリ
編集:ヤーコポ・クアドリ

<キャスト>
民政官:マーク・ライランス
ジョル大佐:ジョニー・デップ
マンデル准尉:ロバート・パティンソン
少女:ガナ・バヤルサイハン

★ 5点満点で3点


「ようこそ映画音響の世界へ」(2019年、アメリカ映画)

2021-10-07 22:03:43 | TV放映
映画における“音”を取り上げた興味深い作品です。

初期映画には“音”がありませんでした。
その後、声優や楽団が映画館に常駐して上映中に台詞を話したり、BGMを演奏しはじめました。
映像と共に音声も同時再生できたことはエポックメイキング。

1970年当時、不振にあえいだアメリカ映画界に新風を吹き込む小さな会社ができました。
その創立メンバーの中にフランシス・コッポラとジョージ・ルーカスがいました。
以降、彼らが映画界を引っ張っていきます。

ブレイクした最初の作品が「ゴッド・ファーザー」。
ご存じコッポラ監督のギャング映画ですが、
この音響には当時流行りだした電子音は使わず、すべて録音した音で構成されているそうです。
驚きました。

ステレオ録音を導入したのは、バーブラ・ストライザンドの「スター誕生」
5.1チャンネルのドルビーサラウンドサラウンドシステムを導入したのはジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」。

「スター・ウォーズ」の下地は冨田勲の「惑星」であることも紹介されました。
私が中学高校時代にはまったシンセサイザー音楽です。

映画会社は音響の重要性を認めてきませんでした。
「映画の魅力は映像とストーリーに尽きる」
と断言し、音響はオマケ程度の評価。

裏方の音響担当者はそれでも工夫を凝らし、映画を魅力的な物に創造してきました。
そんな歴史が詰まった内容です。


<解説>(映画.com
ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響。本作では「キング・コング(1933)」「市民ケーン」「ROMA ローマ」など、新旧名作群の映像を使用し、映画音響の世界を紹介。ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーランら監督陣、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちのインタビューを盛り込み、映画における「音」の効果と重要性に迫っていく。
2019年製作/94分/G/アメリカ
原題:Making Waves: The Art of Cinematic Sound
配給:アンプラグド

<スタッフ>
監督:ミッジ・コスティン
製作:ボベット・バスター 
   カレン・ジョンソン 
   ミッジ・コスティン
脚本:ボベット・バスター

★ 5点満点で4点。

「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」(2019年、アメリカ、アニメ映画)

2021-10-04 22:48:03 | TV放映
WOWOW放映を視聴。
最初の場面は、英国紳士が助手と共にネッシーの撮影に成功しそうで失敗するエピソード。
その英国紳士のクレイジーさに「面白そうなアニメ」と見入ってみたものの・・・
徐々にフツーのストーリーになって、アラ還の私には今ひとつ楽しめませんでした。



<解説>映画.com
「KUBO クボ 二本の弦の秘密」や「コララインとボタンの魔女」などで知られるアメーションスタジオのライカが手がけたストップモーションアニメ。「神話と怪獣研究の第一人者」を自称するライオネル卿は、伝説の生き物を発見して自らの才能を世に示そうと旅に出る。その途上で、人類の遠い祖先である生きた化石=ミッシング・リンクと遭遇したライオネル卿は、種族で唯一の生き残りだというミッシング・リンクの親族を探すため、伝説のシャングリラを目指すことになるが……。ライオネル卿の声をヒュー・ジャックマンが担当したほか、ザック・ガリフィアナキス、ゾーイ・サルダナ、エマ・トンプソンらが声優を務めた。監督はライカの「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を手がけたクリス・バトラー。第77回ゴールデングローブ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞。第92回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネート。
2019年製作/95分/G/アメリカ
原題:Missing Link

<スタッフ>
監督:クリス・バトラー
製作:アリアンヌ・サトナー トラビス・ナイト
脚本:クリス・バトラー

<受賞歴>
第92回 アカデミー賞(2020年)ノミネート
長編アニメーション賞
第77回 ゴールデングローブ賞(2020年)受賞
最優秀長編アニメーション映画賞

★ 5点満点で3点

「薬の神じゃない!」(2018年、中国映画)

2021-09-20 22:37:38 | TV放映
高額な医薬品のジェネリックをインドで製造し海外へ密輸する話は、
以前ドキュメンタリー(C型肝炎治療薬、ソバルディ)を見て知りました。
そのときはオーストラリアの話でしたが、
この映画はその中国版ですね。

この映画では慢性骨髄性白血病の薬が問題視されます。
スイスの製薬会社が設定した価格は庶民には手が届きません。

ある患者が、強壮薬売りの薬店店主に、
「インドではスイスと同じ成分の白血病薬(これをジェネリックと呼びます)を作っているらしい」
「インドに行ってその薬を買ってきてくれないか」
と持ちかけます。

店主は、
「そんな法律違反に手をつけるつもりはない」
と断りますが、いろいろあって結局インドへ出向くことになります。

はじめは金儲け目的でしたが、
自分のしていることが人助けになっていることを知り、
徐々に考えが変わってきました。

逮捕されると刑務所行きになるため、
家族(高齢の父、息子)のことを思って一度は手を引き、
薬の売買を他人に任せます。

しかしその他人はペテン師で、
結局白血病患者をだましてトンズラ。

またジェネリック販売に手を染めますが、
警察の手が伸びて逮捕されてしまいます。

裁判にかけられたものの、
法律を犯したけれど、目的は人助けであることを斟酌され、
刑期は5年と最短になりました。

安い薬を密輸するのは金儲け目的ではなく、
高い薬を買えなくて命を落とす患者達のため。

裁判もこれを“悪”と断定することはなく、
時代はジェネリックを部分的に認め、
国レベルでも薬の価格を調整する流れになりました。

高価な薬を取り巻く環境も変化し、
保険で以前より安価で買えるようになり、
密輸したジェネリックに頼らなくてもよくなったそうです。

ん? 
中国の保健医療システムってどんなものなんだろう?

しかし製薬会社は相変わらず営利目的で動く企業であり続けています。
この辺の事情が、新型コロナワクチンの信用にも影響を及ぼしているのでは、
と私は勘ぐってしまいます。



<解説>(「映画.com」より)
2014年に中国で実際に起こり、中国の医薬業界の改革のきっかけともなったジェネリック薬の密輸販売事件を映画化。上海で小さな薬屋を細々と営むチョン・ヨンは、店の家賃も払えず、妻にも見放され、人生の底辺をさまよっていた。ある日、血液のがんである慢性骨髄性白血病患者のリュ・ショウイーが店にやってきた。彼は国内で認可されている治療薬が非常に高価なため、安くて成分が同じインドのジェネリック薬を購入してほしいとチョンに持ちかけてきた。最初は申し出を断ったチョンだったが、金に目がくらみ、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染めるようになる。そしてより多くの薬を仕入れるため、チョンは購入グループを結成する。白血病の娘を持つポールダンサー、中国語なまりの英語を操る牧師、力仕事が得意な不良少年などが加わり、密輸・販売事業はさらに拡大していくが……。
2018年製作/117分/G/中国
原題:我不是薬神 Dying to Survive
配給:シネメディア

★ 5点満点で4点。