新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

緑を大切にしない利権まみれの「緑のタヌキオバサン」

2024年06月25日 11時54分24秒 | 小池百合子

地震、台風などの大型災害により、しばしば住民の「ライフライン」が機能しなくなる(停止」 場面がテレビメディアで報道されることがある。
 
ライフラインとはそも名の通り日本語ではは電気や水道、ガスなど生活・生存に不可欠な設備のことであり、少なくとも都会では個人の力ではどうにかなるものではない。
 
当然ながら住んでいる市町村の行政に頼るしかないのだが、その行政から簡単にライフィラインの一つである水道が止められているという事実が明らかになっている。
 
『水を止めればすぐ払ってくれる」 水道料金の滞納対策、東京都の『効率化』が情け容赦なさすぎないか

<7.7東京都知事選・現場から>
 水が出ない―。水道料金の催促状は来ていたが、都の職員らからじかに「止めますよ」と言われたことはなかった。「生命に関わるのに。本当に止めるのか、とショックだった」。東京都板橋区の男性(64)は振り返る。 
◆コスト削減のため対面での督促を郵送に変更
 都水道局が、料金滞納者への催告の仕方を変えたのは2022年度。それまで東京23区では、訪問による催告と徴収を民間に委託していたが、多摩地域と同様に郵送での催告に変更した。
 担当者によると、これにより年間の委託費7億円が削減できたという。その一方で、水道の停止件数は21年度の10万5000件から、22年度は18万件に増加。23年度は24年1月までで14万件となった。担当者は「大半の方は停止するとすぐに支払ってくれる。費用対効果は大きい」と強調する。
◆いきなりストップ…払うお金がない
 板橋区の男性は22年春から1年ほど、水道を止められたままの生活を余儀なくされた。20年1月に始まった新型コロナウイルス禍を機に、経済状態が悪化していったことが背景にある。
 当時、デイサービス施設で運転手をしていたが、利用が減るなどして勤務が半減。18万円あった月給は10万円になり、そこから家賃6万円を支払う苦しい生活になった。その後も収入が減り、21年末にガスが止まった。翌年春、誰も催告に来ないまま水道が止められ、それから半年ほどで電気も利用できなくなった。
 夜は勤務先で充電したスマートフォンの光を頼り、ネットカフェのシャワーや公衆トイレを使った。職場の水道水を持ち帰ったことも。「生きるためにしょうがなかった」
◆命に関わりかねない対応「都の職員にも葛藤」
 こんな現実があるのに、都水道局は「困窮者を救うチャンスはなくなっていない」と強調する。検針や漏水検査の担当者が異変を感じたら、区市町の福祉部署に年10~20件ほど情報提供しているが、催告方法の変更前後で件数に変化がないことが根拠の一つだ。
 もっとも、水道業務の現場には違う見方がある。全水道東京水道労働組合の諸隈信行書記長は「都職員からは、生活と直結する水を止めることへの葛藤も聞かれる。対応を見直すべきだ」と訴える。催告方法の変更により、給水停止や、再開のための開栓作業などで忙しくなったという声も寄せられているという。
◆困窮者への支援策、都知事選で主張目立たず
 水道が止められたまま生活を続けていた男性は昨年4月、ネットカフェや路上での生活に移った。しばらくして支援団体に相談し、生活保護を受けられるようになったという。「水道が止まる前に福祉制度を勧められていたら、つらい思いをせずに済んだのかも」と振り返り、次の4年を担う知事に「困っている人のことも考えて」と求める。
 今回の都知事選では、子育て支援や物価高対策など暮らしを支える施策も議論されている。ただ水道光熱費に困るほどの困窮世帯への支援を訴える候補は、あまり見られない。
 水道の事情に詳しい、水ジャーナリストの橋本淳司さんは、「水道料金を抑えるにも効率化が求められるが、命を支える水を簡単に止めるのは乱暴でもある。効率化か否かの二者択一ではなく、議論を深める必要がある」と話した。

 
おそらく、一般家庭では水道代は指定した口座からの引き落としが多いのだが、引き落とし期日に残高不足になってもすぐには水道が止まることはなく事前の連絡とか督促等があるはずである。
 
よほどの理由がない限りは、その残高不足が意図的な行為であれば、それ相当の対応があるはずである。
 
過去8年間の小池百合子都知事の東京都内で起きた出来事である。
 
ところで、「識者による小池百合子の正体が明らかになってきている」という2日前のつぶやきの中で、こんな動画を紹介した。
 

 
その内容の詳細をジャーナリストの高野孟が自身のメルマガで説明していた。

大手メディアは一切無視。小池百合子都知事と三井不動産の「癒着」関係と都庁元幹部14人の天下り

■小池百合子氏と手を組み“再開発利権”で東京を食い物に。三井不動産へ天下りした14人の都庁元幹部

6月16日付「赤旗」の「都幹部14人、三井不動産天下り」は時宜を得たスクープだが、これをフォローしたのは「アサ芸プラス」(17日付)や「日刊スポーツ《政界地獄耳》」(18日付)など一部のネットメディアだけで、大手マスコミは今に至るも無視したままである。もちろん、20日の告示を目前にして、自分らで取材を重ねて固めてきた訳でもない事柄を他紙が軽々に追っかけて取り上げることなど出来るはずもないのだが、それにしてもマスコミが、小池百合子知事の8年間に日本の首都で一体何が起きてきたのか、その構造的な問題性をほとんど何一つ掘り下げようとしてこなかったことを改めて浮き彫りにしたのがこの一件である。

このままでは、「赤旗」報道の事実さえ多くの人々に知られずに都知事選が進んで行くことにもなりかねないので、以下でまず同報道の要点を紹介し、さらにそれに関連するいくつかの問題点について他の資料をも適宜、私の古いファイルボックスから引っ張り出して参考に供することとする。
■企業による行政の買収」との指摘も。都幹部14人が三井不動産に天下り
【第1面の本記】
「赤旗」のその記事の本記はWeb上で無料で読むことが可能だが(★)、忙しい方のために要点をここで紹介する。見出しは「都幹部14人、三井不天下り/選手村・外苑…知事肝煎り再開発」である。なお第11面の関連解説「癒着深める小池都政/破格の“開発業社ファースト”」はWebでは読めない。
 
都幹部14人 三井不天下り/選手村・外苑…知事肝煎り再開発
 
東京都にある旧五輪選手村(現晴海フラッグ)や神宮外苑再開発などの大型再開発を主導する三井不動産グループ2社に、都局長ら幹部14人が天下りしていたことがわかった。いずれも小池知事が肝煎りで進める事業。14人のうち8人が再開発事業を所管する都市整備局(旧都市計画局)の元幹部で、元局長2人が含まれる。三井不動産には都市整備局元局長ら12人、三井不動産レジデンシャルに2人が天下りしていた。

五輪選手村用地は、三井不動産レジデンシャルを代表企業とする大手不動産11社に都が近隣地価の9割引きで売却したとして住民らが損害賠償を求めて提訴している。樹木を伐採し超高層ビルを建設する神宮外苑再開発を巡っては、反対の声が広がっている。
市川隆夫・臨海都民連事務局長の話〕

私たちは35年前から臨海副都心など都の大型開発を監視してきた。五輪選手村や競技施設は、都が五輪招致に立候補した時点からデベロッパーやゼネコンなどが準備を進め、都幹部の天下り受け入れを増やした疑いがある。天下り幹部の中には現役都職員と接触し、職員の職務に影響を及ぼした例も聞いている。都幹部の天下りは“企業による行政の買収”に該当する疑いがある。

《三井不動産系2社に天下りした東京都の元幹部》

◆三井不動産 12人

※都市計画局長
※都市計画局長→建設局長
 都市計画局参事
 都市計画局課長
 都市整備局課長 2人
 都市整備局所長▲
 東京消防庁方面本部長
 東京消防庁署長 3人
 東京消防庁副署長

◆三井不動産レジデンシャル 2人

 都市整備局所長▲
 港湾局課長
 (※は局長、▲は同一人物で2社に天下り)

【第11面の解説】
小池知事は2016年の就任直後に、三井不動産レジデンシャルを代表企業とする大手不動産11社と旧五輪選手村の都有地の売却契約を結んでいる。中央区晴海にあるその土地は東京ドームの2.9倍にあたる13.4haの広さで、近隣地価の9割引き、129億6,000万円で売却され、都民から都財政に1,000億円の損失を発生させたとして訴訟を起こされている。

小池知事が23年に認可した神宮外苑再開発事業の施工者も三井不動産。樹齢100年を超えるイチョウ並木などを大量伐採する計画に、これも都民が訴訟を起こし、文化人、専門家などが相次いで反対の声をあげた。ユネスコの「国際記念物遺跡会議」が「比類ない文化遺産の危機」と警告、計画撤回を求めたが三井側は拒否した。

都幹部の不動産業界への天下りは、大型開発や東京五輪招致、お台場カジノ構想を打ち出した石原慎太郎知事時代から増え始め、小池都政下でも続いている。都にカジノを強く要望してきたのがフジテレビ、三井不動産、森ビルである。
以上、赤旗記事の要約。
■唐突に「カジノは必ず儲かる」と言い出した石原慎太郎氏
お台場カジノの言い出しっぺは石原慎太郎で、1999年4月に都知事に初当選して1年ほどしてこれをブチ上げた。その辺りの事情とその後の展開については、INSIDER No.737(2014年6月23日号)「安倍“成長戦略”の目玉はお台場カジノ?/東京五輪招致の陰にうごめく政官業の闇人脈」が次のように報じていた。
▼石原は、青島幸男の後を継いで1999年4月に東京都知事となった。青島はお台場で開かれる予定だった世界都市博覧会の中止という以外に大した公約も実績もなく、当然にも、その前の鈴木都政が巨額の建設費を注ぎ込みながらバブル崩壊で企業進出が見込めずに経営破綻に陥っていた臨海副都心開発を、どう立て直すのかが都政の最大課題となった。石原は00年3月の都議会で唐突に「カジノは必ず儲かる」と言い出し、お台場にカジノを作る構想をブチ上げて、早速初年度1,000万円の調査費を予算計上し、02年10月にはお台場に本社を移したフジテレビ、ゲーム機大手のコナミはじめ東京商工会議所企業と共催で都庁展望台にスロットマシーンやルーレットを運び上げて「都庁カジノ」を2日間開帳した。しかしこの時は、法改正にまで持ち込んでいく道筋を見いだせず、単なる打上げ花火に終わった。

▼他方、同じ頃、野党だった民主党は99年に石井一=副代表らパチンコ業界から献金を受けている議員が中心となって「娯楽産業健全育成研究会」を組織し、石井は顧問、古賀一成が会長に就いて、パチンコ店内での換金の合法化などを熱心に主張した。小泉内閣の末期、06年1月に自民党の政務調査会・観光特別委員会の下に「カジノ・エンターテインメント検討小委員会」(岩屋毅委員長)が生まれ、カジノ合法化法案の検討を始めたため、民主党側は「カジノが合法化されたらパチンコの方はどうなるのか」と焦り、その2つを同時決着すべく自民党に共闘を呼びかける。その結果(曲折はあったが)2010年4月に誕生したのが、社民、共産を除く超党派の「国際観光産業振興議員連盟」である。

▼発足当初の会長は古賀一成(民主)、会長代行は岩屋毅(自民)、幹事長は牧義夫(民主)と、民主党主導で74人が参加して始まったが現在は、古賀・牧が落選したこともあって民主の影が薄まり次のような自民党主導の役員の顔ぶれとなり、メンバーも170人余に増えている。
会長   細田博之(自民:衆)
副会長  下村博文(自民:衆)
     野田聖子(自民:衆)
     佐藤茂樹(公明:衆)
     池坊保子(公明:衆)
     櫻井充 (民主:参)
     中山恭子(維新:参)
最高顧問 安倍晋三(自民:総理)
     麻生太郎(自民:元総理)
     石原慎太郎(維新:元都知事)
     小沢一郎(生活:衆)
幹事長  岩屋毅(自民:衆)
副幹事長 金田勝年(自民:衆)
事務局長 鈴木克昌(生活:衆)
■勢いづくフジテレビと抱きついた安倍晋三氏
▼いったんは挫折しかかっていた石原のお台場カジノ構想を復活させたのは、後を襲った猪瀬直樹知事である。彼は、13年3月の都議会で「カジノと賭博を並列して捉えているのは日本だけで、カジノは大人のディズニーランドだ。ある意味、いいことだらけだ」とカジノ絶賛論をぶち(やったことあるのかな?)、国会議員に対してカジノ法案を提出するよう働きかける必要があると強調した。立て続けに「カジノはお台場がいい」(4月会見)、「既得権益がこれまでのカジノ案を潰してきた」「カジノを合法化すれば非合法カジノを防止できるし課税で地方独自の財源を得ることが出来る」(9月TV番組)、「五輪に向けてお台場の青海地区に大型クルーズ船が着岸できる新埠頭を建設し、その周辺にカジノだけでなくレクリエーション施設、展示場、ホテルなどを複合した統合型リゾート(IR)をつくる」と畳みかけていった。
▼勢いづいたのがフジテレビで、自社の本社とその南側の複合商業施設「ダイバーシティ東京」とを持つ狭義の台場地区を「IR(統合型リゾート)国際観光戦略総合特別区域」として認定し、それを含めた広義のお台場全体を「アジア・ヘッドクォーター」として国に特区申請するよう都に働きかけた。フジや三井不動産、鹿島建設、日本財団など急先鋒集団の目算では、そのダイバーシティ東京の東と南に隣接する売れ残りの空き地約6ヘクタールに、総投資額8,000億円(内フジが30~50%を出資)で、単体としてはアジア最大級のカジノ中心の施設を建設するという大構想である。
▼これに安倍が乗って、都の「アジア・ヘッドクォーター特区」をアベノミクスの第3の矢=“成長戦略”の目玉である「国家戦略特区」の、そのまた目玉としてお墨付きを与えたのである。安倍がフジの日枝久社長とゴルフ・会食を繰り返し、13年秋には日枝に旭日大綬章(昔の勲一等旭日大綬章)を与え、それと引き替えかどうか、14年春には実弟=岸信夫衆院議員の次男をフジテレビに入社させて貰ったりしているという異常なまでの親密ぶりは、何のことはない、このためだったのである。かくて世界が何が出てくるかと息を呑んで見守る第3の矢の目玉とは、詰まるところ、お台場カジノだったというお話である……。
以上、INSIDER No.737からの一部再録。旧民主党系にパチンコ業界から献金を受けている議員が多く、その業界の利害がこのような捻れた回路でカジノ誘致推進に繋がっていくというのは、なかなか悩ましくも興味深い問題だが、今は措くとしよう。
■大阪カジノの誘致組織にも入り込んでいた三井不動産
さて、月刊誌「FACTA」2010年10月号の「ビジネス・インサイド」欄には次のような記述があった。
▼大阪でカジノ構想が持ち上がっている。大林組、鹿島建設、三井不動産、電通など民間企業15社でつくる「大阪エンターテイメント都市構想研究会」(座長・橋爪紳也大阪府立大教授)が、カジノを中心にホテル、美術館、温泉施設、ショッピングセンターなどを備えた「総合リゾート」を大阪湾岸に建設し、大阪再生の起爆剤にしようと「カジノオオサカ」構想を提言。大阪府の橋下徹知事は「消費税増税など不要。世界の富裕層、外国人から金を巻き上げればいい」「大阪なら1,500億円は稼げる。全部福祉に回す」と、大はしゃぎだ。国会ではカジノ合法化を目指す超党派議連「国際観光産業振興議員連盟」が発足。秋の臨時国会に議員立法でカジノ合法化法案を提出する構えで、全国11カ所程度の開設を想定している……。
以上、FACTAから引用。
こうして見ると、2000年前後に東京の石原知事と大阪の橋下知事が競い合うようにカジノ構想をブチ上げ、それに釣られて、今思い出す限りでも(北から順に)北海道・苫小牧市、千葉県・幕張、神奈川県・横浜市、名古屋市・金城埠頭、愛知県・常滑市、和歌山市・マリーナシティ、長崎県・ハウステンボス、沖縄県・海洋博公園など、各地が深く考える暇もなく我も我もと手を上げる状況が生まれた。が、その中で最も実現性の高そうな東京と大阪の誘致組織には、最初から三井不動産がしっかりと入り込んでいたのである。
■あまりに評判の悪いカジノを離れ再開発事業にシフト
しかしその後、06年の安倍(第1次)から福田・麻生の1年毎の自民党政権、09年からの民主党政権という政局大荒れの6年間には、それどころじゃないという感じでこの話は下火になっていく。もう一度盛り上がりかけたのは、上掲のINSIDERが書いていたように、12年12月に石原慎太郎の後継として猪瀬直樹が都知事になり、同じ月に安倍晋三が首相になってからのことだが、これもまたどうにも胡散臭さが付き纏い、安倍(第2次)政権の衰退と共に勢いを欠くようになった。会員制月刊誌「選択」の2020年1月号には次のように書かれていた。
▼「三井不動産」が、カジノを含む統合型リゾート(IR)から、そろりと距離を置こうとしている。同社は「鹿島」や「フジテレビ」と共同でお台場でのIR誘致に取り組んできた他、「横浜等にも興味を示してきた」(観光業界関係者)。しかし、ここにきて撤退に向けて舵を切ったのは、「マンション販売の現場を訪れた顧客から、『お宅はカジノを推進しているのか?』と問い質された事例が、取締役会で報告された」(同社関係者)ことがきっかけだという。カジノが想像以上に富裕層を中心とする顧客に評判が悪いと判断したのだという。19年3月に入居が始まっている同社の横浜市の高級マンション「パークコート山下公園」の最上階が売れ残っていることも「無関係ではないとみる向きもある」(同)。ここは横浜カジノの建設予定地の近くだ。抑々「日本のIR政策は、カジノに関する規制が強くなり過ぎて、巨額投資を回収できるか不安視されている」(前出の観光業界関係者)為、銀行からの融資等も不透明。そうした意味でも、「撤退は賢明な選択」(同)という見方が広がっている……。
たぶんこの通りで、この時期に三井不動産は東京でも大阪でも、余りに評判が悪いカジノから「そろり」と距離を置き、しかしせっかくこれまで培ってきた東京都との癒着関係を無駄にすることなく活用して、旧五輪選手村(現晴海フラッグ=事業総工費540億円)、築地市場跡地の再開発(9,000億円)、神宮外苑再開発(3,400億円)を確実に手にしていったのである。
他方、大阪の方は、関西万博で目一杯インフラ整備を行なってその跡にカジノを導入しようという維新系の思惑がうまく転がらず、前提となる関西万博そのもののまともな開催すら危ぶまれている状況で、三井不動産はすでに手を引いているようである。
■巨人軍の本拠地も移転か。築地再開発事業も担う三井不動産
築地市場跡地については、事業予定者に選定された企業連合が今年5月1日記者会見を開いた。代表企業の三井不動産の植田俊社長は「築地の歴史を踏まえた上で、東京の国際競争力を高めるために活用したい。世界中から人々が集まり、称賛されるようなまちづくりをしていきたい」と再開発の狙いを語った。事業を請け負ったのは、三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社など計11社で構成する企業連合で、野球やサッカー、バスケットボールなどスポーツ施設、コンサート会場に転用可能な多機能スタジアムを中心に、ホテルや複合ビルなどを整備、2032年の開業を目指す。焦点の1つは、読売巨人軍の本拠地をここに移転するかどうかだが、読売新聞社は「未定」としている。
さて、いま問題の神宮再開発事業も、その中心は三井不動産である。月刊誌「世界」の最新7月号の巻頭特集「スポーツと権力」の中で、都市計画の専門家の大方潤一郎=東京大学名誉教授と経済ジャーナリストの佐々木実の「神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う」と題した対談が論点をよく網羅しているので、そのものを読むことをお勧めするが、ここではいくつかの要点を(私なりに要約・改変して)メモにしておく。
▼この事業は「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」と言い、すでに完了している《ステップ1》では、次のものが建った。
新国立競技場(5階建て60m、19年竣工)
日本青年館・日本スポーツ振興センタービル(16階建て70m、17年竣工)
ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア(14階建て60m、19年竣工、日本体育協会と日本五輪委員会のほか各種競技団体が入居)
ザ・コート神宮外苑(23階建て180m、20年竣工、老朽化した外苑ハウスの建て替えで、分譲は三井不動産レジデンシャルが担当)
三井ガーデンホテル神宮外苑(13階建て、19年開業、再開発事業の枠外だが、新国立競技場の隣の明治神宮の土地を三井不動産が借りて建てた言わば便乗利得)
▼五輪開催後の分は《ステップ2》で、2023年2月に都から事業者である三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事に施行許可が与えられた。これによりこれから建設されようとしているのは次のものである。
高さ185mと190mの超高層オフィスビル2棟
高さ80mのビル
高さ60mのホテル併設の野球場
高さ46mの屋根付きラグビー場
これらの建設の邪魔になるとしてイチョウ並木をはじめ貴重な樹木を切り倒す予定であることが明るみに出、大問題となった訳である。
■世間を欺き法の抜け穴を潜り抜け巨利を得る卑怯
▼この《ステップ1》《ステップ2》計画を発案し推進してきた中心人物は、森喜朗元首相で、彼は2005年4月に日本体育協会(現・日本スポーツ協会)の会長、同年6月に日本ラグビー協会の会長に、それぞれ就任。その立場から、20年東京五輪と19年ラグビーW杯の日本誘致に中心的な役割を果たす。当然にも、外苑内にある国立競技場と秩父宮ラグビー場の改修とそれに伴う外苑全体の再開発問題に大きな影響力を持つようになった。その森の名代として自民党の野党時代から文科省、都庁、明治神宮、三井不動産などの間を飛び回ってまとめ役を担ったのが萩生田光一で、やがて12年12月に第2次安倍政権が誕生すると、その官房副長官として安倍側近を演じ(15年10月~17年8月)、また文科大臣として初入閣を果たし(19年9月~21年10月)まさに外苑再開発を取り仕切る立場となって活躍した。
▼《ステップ2》の最大の問題は、「超高層ビルや巨大化したスポーツ施設が立ち並ぶことによって、景観が一変」するだけでなく、故・坂本龍一はじめ多くの人々が懸念を表明したイチョウ並木の伐採や枯死の危険増大、さらに「建国記念文庫の森」と呼ばれる緑地の南半分が潰され、北半分もラグビー場の日陰となって生態系が著しく劣化すると予想されるなど、都心に残る貴重な緑の公園がズタズタにされてしまうことである。しかもそのやり方は、外苑一帯の都市計画公園の指定のうち3.4haを指定から外し、その分だけ「容積率が余った」と解釈してそれを三井不動産と伊藤忠商事に与えて2本の超高層オフィスビルを建てさせるという、世間を欺いて法の抜け穴を潜り抜け巨利を得る、政治資金の裏金作りにも通じる寝汚いもので、森や萩生田らしい仕掛けである。
こういう醜悪な政官業のべたつきの構造を打ち壊さなければなるまい。


 
都議選の公示後、主要候補者の会見があったが蓮舫が外苑再開発を争点にすると言った時、小池百合子は即座に「争点になりません」とかわしたが、本格的な争点になれば小池百合子と利権にも群がる業者とのドロドロとした関係も一気に明るみにでるのではないだろうか、とオジサンは思う。
 
  
 
   

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