去りゆく「平成」だが、平成元年生まれの人が小学校に上がる頃、まだ「平成」にはなじめなかった1995年という年は、昭和生まれの多くの人々にとっては、印象的な年だったかもしれない。
大きな事件としては、1月17日午前5時46分、明石海峡を震源とする直下型大地震、「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」が発生し、2か月後の3月20日には、東京で13人が死亡、5,510人が重軽傷を負ったという地下鉄サリン事件が発生した。
そして、暗いニュースばかりではなく、11月23日のは マイクロソフトがWindows 95日本語版を発売し、そのソフトがプレインストールされたパソコンが家電商品並みに売れる時代の幕開けでもあった。
オジサンも当時45歳にしてWindows 95が入った自分のパソコンを初めて購入した年でもあった。
その裏では、後に、「1995年は、日本型雇用システムの歴史を考える上で見逃すことができない年」といわれた、日本経営者団体連盟(日経連)が、【新時代の「日本的経営」-挑戦すべき方向とその具体策】を発表した。
それまでの日本的雇用慣行の基本方針を変えたと説明されている自社型雇用ポートフォリオとは、企業が与えられた経営環境の中で選択した事業戦略の下で、業務の効率を測るために雇用する人材、仕事を組み合わせる人事施策、およびそれらの基礎となる人事方針を意味する。
具体的には、労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」、「高度専門能力活用型グループ」、「雇用柔軟型グループ」の3つのグループに分け、労働力の「弾力化」「流動化」を進め、総人件費を節約し、「低コスト」化しようとした。
「長期蓄積能力活用型グループ」が、無期契約のいわゆる正社員とよばれるグループであった。
戦後の日本の高度経済成長を支えたのは、「終身雇用制」、「年功序列賃金」、「企業内労働組合」と、よくいわれる。
多くの企業で「成果主義」を取り入れ始めた頃から、「年功序列賃金」は崩壊し始めており、自分たちの企業のことしか考えないような「企業内労働組合」も企業の「第二労務部」と揶揄されるようになり、全国の労働組合への組織率は17%まで低下しており、これは「雇用柔軟型グループ」と呼ばれる、有期雇用の非正規社員が増大したことが大きな要因となっている。
そして最後に残った「終身雇用制」も、1990年代のバブル景気の崩壊により、事業の再編成が必要になると、終身雇用制度を放棄して、必要なスキルを持つ人材を必要な期間だけ雇用(派遣労働)する『米国流人事管理手法(人員の最適配置、リストラクチャリング)』を導入する日本企業が続出、「リストラ」は整理解雇を暗示する言葉としてとらえられ始めた。
不本意なリストラに対しては多くの解雇された労働者が立ち上がり全国的に裁判闘争が広げられ、現在も日本航空のような大型のリストラ(パイロット81名、客室乗務員84名)による争議は現在も続いている。
自分が選んだ企業に入り技術を身に付け経験を積み、安定した収入を得て家庭を持つという、きわめてささやかな労働者の夢が叶えなくなりそうな時代になってきた。
経団連会長がこんなことを言いだした。
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<経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”>
4/19(金) 23:05配信 日テレニュース
経団連の中西会長は、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示した。大学側と経団連が議論した結果を、来週公表する予定。
経団連・中西宏明会長「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」
経団連の中西会長はこのように述べ、「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」との認識を示した。
その上で、これまで日本では、4月の一括採用で入社せずに、あとから非正規で入社した場合、たとえスキルを身につけたとしても正社員に待遇で差をつけられるというケースを示し、そうした雇用システムに疑問を呈した。
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そもそも、すでに日本の企業社会では定年があり「終身雇用制」などはなかったはずである。
なんでいまさら終身雇用が難しいと言いだしたのか。
当然、若者たち(?)からは怒り声が聞こえてくる。
炎上覚悟で言います
— Massao Oishi????日本人はブラジル人のように生きろ!総合商社マン (@marceloishi2014) 2019年4月19日
年功序列・終身雇用を好きになれません
なぜかって?
・会議中に爆睡し
・自分のミスを部下のせいにし
・マイルの為にJALにしか乗らず
・キャバクラを会社費用で落とし
・エクセルに入れた数字を電卓で足し算
してるおじさんなのに給料が僕の倍で、絶対クビにならないからです
そんなこたぁ、とうの昔に分かってる話。終身雇用なんかなくてもええから、非正規雇用をなくせってんだ。どうしても残したいっつーんなら国際標準並みに、非正規雇用には正規雇用より割増な報酬を払うようにしろや。https://t.co/EOVoLVC1M2
— みや (@_alphaleonis_) 2019年4月19日
終身雇用が守れない? 結構なことじゃない。会社が従業員守らないんだったら、従業員だって会社に尽くす必要ないんだしさ。これからの労働者は、食うためだけの仕事なんてテキトーにやりゃいいんだよ 。会社が忙しくても定時で帰って、給料以上の仕事はしない。そんでいいじゃん。#終身雇用 pic.twitter.com/2vS9cEKPFA
— 鋼鉄猫 (@metalcat2525) 2019年4月19日
しかし冷静に考えればこのような見方が出てくるのではないだろうか。
どうやら、医師、弁護士で前新潟県知事の米山隆一のこの見解がもっともまともかも知れない、とオジサンは思う。…その神話を官民で結託して作り上げてきたのは何故なのでしょう?という事ですよ。それで一番都合がよかったのはどこのどなた?本来やるべき事を一番やらずに済ませてきたのは、私は国だと見てます。だって生活保護の捕捉率は20パーセントにも満たない。利用率は2パーセントを切っている。
— タクラミックス (@takuramix) 2019年4月20日
今更感もありますが、終身雇用は経済の規模が決まった方向に拡大し続ける高度成長期だからこそ可能だった制度で、未だそれを前提とし続けている事が日本社会の様々な歪を生んでいると思います。働く人の権利保護と公正な労働市場の流動性を両立する制度設計が必要と思います。