新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

腐ったミカンと腐ったレモン、どちらも選べない日本国民

2024年09月06日 11時55分03秒 | 総裁選

13年前の東電福島第一原発大事故以来、事故の後始末に多くの下請け業者が存在することが世間に明らかになった。
 
そして危険な作業を負わされるのは常に二次・ 三次という下請け業者であった。
 
そもそも東電はそのような危険な作業を自社の社員には決してやらせない。
 
当然ながら、こんな事故が発生するのも当然であった。
 
東京電力「自分たちで確認していない」…福島第1のデブリ取り出しでミス、どうして起きた?
 

東京電力福島第1原発2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の微量を採取する作業がミスで延期された問題で、東京電力は5日、原因の調査結果を公表した。高い放射線量下で作業員が準備を急ぎ、思い込みでミスに気付かなかったなどとした。現場に東京電力社員がいない下請け任せの姿勢と、点検でミスを見抜けない管理のずさんさを露呈した。
◆「思い込みの連鎖」と「下請け任せ」
 ミスがあったのは、デブリを採取する釣りざお式の装置を、格納容器まで伸ばすための押し込み用のパイプ(約1.5メートル、直径約16センチ、重さ約95キロ)。5本のパイプをケーブルでつなぐ作業で、先頭を4番目に取り違えてつないだ。
 東京電力によると、5本は外観がほぼ同じだが、一部はねじ穴の有無などで仕様が異なり、接続順を誤ると途中で押し込めなくなる恐れがある。
 2号機原子炉建屋内で7月27日、作業員が装置の手前までパイプを運搬。その際、パイプを1本、仮置き場に忘れた。28日につなぐ際、足りないことに気づき、29日に4番目につないだ。忘れたのは先頭のパイプなのに2番目と思い込んでいたため、4番目につないでも問題がないと判断。思い込みの連鎖が起きた。
 要因として現場の放射線量が高く、作業員が長時間とどまれないことから作業を急ぎ、確認が不十分でミスに気づかず、正しいと思い込んだことを挙げた。作業員は全面マスクで防護服の重装備だったため、パイプに記された接続順を示す数字を見落とした。さらに、現場を仕切った元請けの三菱重工業の担当者は「28日に準備が終わった」と東京電力に虚偽の報告をしていた。
 東京電力は現場に社員を立ち合わせず、パイプの接続順を点検項目に入れていなかったためチェックせず、ミスに気づけなかった。東京電力の小野明・廃炉責任者は「見通しの甘さがあった。今後は安全と着実さを幅広く考えていく必要がある」と反省の弁を述べた。
   ◇   ◇
◆ミスの現場に「東京電力社員」はいなかった
 東京電力福島第1原発事故で2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の微量採取が「初歩的ミス」で延期された問題で、東京電力が作業を協力企業任せにしていた実態が浮かんだ。廃炉作業では昨年10月から汚染水漏れなどのトラブルが相次ぎ、東京電力の作業管理の甘さが指摘されてきた。東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発の地元の新潟県から厳しい視線が注がれる。
 「協力企業の確認に任せ、自分たちで確認していない。大いに反省すべきだと思っている」。東京電力の小野明・廃炉責任者が5日、ミスの原因と対策を説明する記者会見で述べた。
 ミスのあったパイプの接続作業には7月27〜29日の3日間、各60人ほどで当たった。指示を出していたのは元請けの三菱重工業の担当者。パイプの運搬や接続は下請けの作業員が担当した。東京電力の社員は現場におらず、関わったのは作業後の30日の点検に入ってからだった。
◆「東京電力の関与が薄かった」トラブルやミスは後を絶たず
 東京電力によると、福島第1の廃炉作業には1日約5000人が携わる。うち東電社員が約1000人。現場の作業の中心を、元請けや下請けの約4000人が担う。
 東京電力の社員は主に、作業の危険や進捗(しんちょく)状況などをチェックする。しかし、作業の管理は甘く、昨年10月に汚染水の多核種除去設備で作業員が洗浄廃液を浴び、想定外の被ばくをするなどトラブルが続いた。
 今年4月に起きた、構内の一部での停電では、地面を掘削する際に電源ケーブルを損傷させる危険性を、東京電力が元請けに注意喚起しなかったことが要因だった。対策として掘削現場に立ち会うことなどを挙げた。
 これまでのトラブルと今回のミスの類似点を問われた小野氏は「東京電力の関与が薄かった。すべては難しいので、重点を置く所を確認する」と説明した。
◆柏崎刈羽原発の地元では東京電力不信が深まる
 廃炉作業でトラブルが続く一方で、東京電力や岸田文雄首相は柏崎刈羽原発の再稼働に前のめりだ。7号機は核燃料が装塡(そうてん)され、すぐにでも再稼働できる状態。だが、地元の同意が得られていないため、立ち往生している。
 岸田首相は「残された任期の間に(脱炭素化の)グリーントランスフォーメーションを一歩でも前進させるために尽力する。その一つが東日本での原発再稼働の準備だ」と主張。6日に原子力関係閣僚会議を開き、地元同意をとりつけるための方策を示す考えだ。
 柏崎刈羽6、7号機については原子力規制委員会が2017年、新規制基準に適合したと判断。その後、テロ対策の不備が相次ぎ、2021年に事実上の運転禁止を命じた。解除されるまでに2年半以上かかった。今回のミスで、立地する新潟県では、東京電力に対する冷ややかな見方が消えない。
 柏崎刈羽の30キロ圏に位置する燕市の長井由喜雄市議は「東京電力は、廃炉まで責任があるのに果たせていない。原発を運転する資格があるかどうかを言う以前の問題」と憤る。
 自民党のベテラン県議は「東京電力の信頼は失墜したままなのに『またやったのか』という感じだ。デブリを3グラム取り出そうとしているだけでも、なかなか進まない。廃炉は無理なのでは」と疑問を呈した。東京電力への不信に加え、事故時の避難計画にも不備があることを挙げ「再稼働の判断ができるような段階ではない」と突き放した。

 
それにしても、すでにレームダック状態の岸田文雄が柏崎刈羽原発の再稼働に前のめりということも無責任な話である。
 
さて話は変わって、相変わらずの総裁選関連なのだが、米国では一時は「もしトラ」とか「ほぼトラ」という現象が起きていたが、バイデンの撤退により一気に形勢が変わってしまった。
 
日本でも、こんな記事が踊っていた。
 
もし小泉進次郎が総理大臣になってしまったら…!「親譲りのアメリカの操り人形」『日本破壊が加速する』と言える、これだけの理由
 
■環境大臣就任で「化けの皮」が一気に剥がされた
自民党総裁選の有力候補として、TVで中心的に取り沙汰されるのが小泉進次郎氏だ。確かに一般国民対象の世論調査における「一番人気」は進次郎氏であることは間違いないが、総裁選というのは単なるアイドルグループの人気投票ではない。日本の命運を担う総理を決する選挙なのだ。
その点を鑑みたとき、この「小泉人気」は、極めて危険な社会状況であるという旨を、8月29日公開の「『地頭がよくない』『日本は終わる』…選挙用の人気というだけでやらせてよいのか、小泉進次郎『総理』へのこれだけの疑念と酷評」で展開した。
この記事では、小泉氏は確かにアイドル的人気はあるものの、「環境大臣」に就任した折りに多くの市井の民が驚く「小泉構文」とも揶揄される意味不明な「ポエム発言」を繰り返し、瞬く間に政治家・大臣としての「資質」に大いに疑問符が付くこととなった、その結果、政治記者達からも自民党議員達からも完全なる「ダメ出し」を出され、「オワコン」化していたのだ、と解説した。
つまり、定型的な演説やワンフレーズトーク以外は可能な限り自由な発言を控え、「ナイスガイ」イメージを保つ戦略を続けてきた小泉氏の「化けの皮」が、環境大臣に着任し公然と言葉を発しなければならなったことで一気に「剥がされた」のである。結果、進次郎氏の総理の目は完全に「潰えた」と多くの政治記者や議員達が認識するにいたったのだが、この度の岸田総理の退任表明を機会に、またぞろ人気が一気に上昇したというわけだ。
もう以上の指摘だけで、小泉氏に総理を「やらしちゃいけない」と判断するに十分な理由が与えられているとも言えようが、その理由は実はそれだけに留まらない。
以上は「総理としての資質を著しく欠いている」というものだが、実際にはそういう“消極的”な理由だけでなく、「日本の国益を毀損し、日本破壊を加速する」という、より“積極的”でより恐ろしい理由を指摘することができるのだ。
■一郎氏と同様、米国の意向に沿う政治を展開する
そもそも小泉進次郎氏は、彼自身がどこまで自認しているかはさておき、「アメリカのジャパンハンドラー達の意向にそって、アメリカの国益のために日本を積極的に傷付ける政治」を実際に展開してきた人物なのだ。
多くの国民が認識していないところだろうが、進次郎氏は日本を代表する親米政治家であった父・小泉純一郎氏の差配の下、アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所」)の研究員を勉めていた人物なのだ。
CSISは「アメリカの国益」を最大化するために設立されたシンクタンクだ。つまりそれは定義上、アメリカの国益のためには日本の国益を毀損することを全く厭わない研究を進めるシンクタンクだ。
そして進次郎氏はそのCSISで、後の彼の政治家人生に決定的な影響をもたらす重大な転機を迎える。小泉進次郎氏を政治学者として徹底研究し、進次郎氏がいかなる政治家であるのかを客観的に描写した中島岳志氏は、次のように指摘している。
「(進次郎氏は)ここ(CSIS)でジャパンハンドラーズの代表的人物とつながり、影響を受けます。彼らは日本の有力政治家と接触し、自らの利益にかなう方向へと誘導することで知られます。小泉さんの外交・安全保障観は、親米を軸に構想されています。」(東洋経済ONLINE、2019年7月14日「小泉進次郎という政治家を徹底分析してみる」)
ちなみに、「ハンドラー」とは「操る者」という意味であり、「ジャパンハンドラー」とは「日本を操る者」の意だ。
では実際に進次郎氏は、CSISのジャパンハンドラーズ達に陰に陽に「操られ」てきたと言えるのだろうか? この点は、彼がこれまで実際に何をやってきたのかを振り返ればスグに理解できる。
■自由貿易のための「改革」で日本の農業破壊
まず進次郎氏は、TPPをはじめとした「自由貿易」推進のための「改革」に熱心に賛成した。無論TPPそれ自身は紆余曲折したわけだが、元来TPPは日本のマーケットを狙う米国が、日本国内の様々な規制を緩和、撤廃させようとして仕掛けたものだ。そしてその推進にあたって、ジャパンハンドラーズ達は、日本国内の「ハンドル」である進次郎等を通して、日本のTPP加入を推進せんとしたである。
TPPや自由貿易協定によって米国は大きな利益を得ることになるのだが、その一方で日本は極めて深刻な被害を受けることになる。この<真実>に思いが至っている国民は、専門家も含めて限られているだろうが、その被害は現在の「農業」の状況を見れば一目瞭然だ。
TPP等による様々な貿易協定によって日本は国内の農業を積極的に「保護」することをどんどん放棄していったわけだが、その結果、農家の所得が激しく下落してしまった。例えば、最新の統計では平均年収(収入から必要経費を引いた額)はわずか「1万円」という信じがたい水準にまで下落してしまっている。そうなれば農業の若い担い手はますます減少し、2040年には農家が3分の1にまで激減すると見通される程にまで立ち至ってしまっている。
そしてそれが、現下のスーパーの棚から米が消えるほどの米不足にもまた、繋がっていることは明らかであるが、こうして日本はTPPをはじめとした自由貿易の推進によって大きな被害を実質的に受けるに至ったのである。そしてその一方で、日本の食料についての外国依存が不可避的に進行し、アメリカ等の諸外国が日本人相手のビジネスをますます拡大することとなったのである。
言うまでも無いが、もしも日本が自由貿易に対してここまで前のめりでなければ、農家の所得は守られ、ここまでの国益毀損は回避されていたことは確実だ。
■アメリカによる「農協乗っ取り」工作に貢献
進次郎氏はこうして、アメリカが望む方向、すなわち、日本の農家を潰し、アメリカの農家の収入の拡大に貢献したわけだが、彼が取り組んだのはTPP等の自由貿易協定の締結推進だけではない。彼はより“直接的”に、アメリカが望む日本の農業潰しに積極的な活動を展開したのだ。
彼は自民党の農業部会長を勤めていたが、この時に彼が熱心だったのが「農協改革」だった。
日本の農業は、諸外国に比して政府からの「公助」の水準が圧倒的に低く、したがって、農家同士が助け合う「共助」の仕組みとしてJA農協が発展させ、その勢力の維持を図ってきた。
しかし、そんな農協の「せい」では、日本の農業が一定「守られて」しまい、それがアメリカの農家のビジネス拡大にとっての大きな「障害」となっている―――というのがアメリカの見立てだ。アメリカはしたがって、日本の農協を解体せんと様々な画策を進めてきたわけだが、そんなアメリカの意向にそった仕事を「与党農業部会長」の立場を駆使して徹底推進せんとしたのが、進次郎氏だったのだ。
彼は農協の「株式会社化」を図るのだと主張し、農協の重要な金融機関である90兆円もの資金を抱えた「農林中金」を解体し、農業の“護送船団”を改革するのだと主張した。さらに、農家同士の「協力」関係を解体し、さまざまな「競争原理」を各所に導入すべきだと主張した。
こうした改革は全て、アメリカの国益に叶うものだ。農協の各種取引が自由化され、株式会社化されれば、アメリカ人が株主になることで、農協が持つ膨大な資産をアメリカの産業界、農業界が好き勝手に利活用し、米国益を拡大することが可能となるからだ。しかも「農林中金」が自由化されれば、アメリカがその膨大な資金を「活用」して利益を拡大することが可能となる。この後者の改革論は、父親の小泉純一郎総理がアメリカの要望に従って「郵便貯金」を自由化せんとしたのと全く同じ構図にある。
結局、こうした改革論の全てが成就することはなかったが、彼が総理になれば、こうした「アメリカ国益に叶う改革」を推進することは確実だ。
■新たな売国案件である「ライドシェア」に奔走
最近では、小泉氏は「ライドシェア」なるものを、(今回の総裁選の後ろ盾である菅元首相と共に)日本のタクシー市場に導入しようと躍起になっている。それは要するに、日本会社が一定の法規制の中でタクシーサービスを提供しているタクシー市場の規制を抜本的に緩和し、米国企業のウーバーをはじめとした外国企業でもタクシー市場でビジネスができる環境を整えようとする、新たな「売国案件」だ。
タクシー市場の規制は、タクシードライバーの賃金を確保し、国民が必要とするタクシーサービスを提供可能な十分な担い手を確保するために必要なものだ。これを抜本的に緩和し、(ウーバーらが提供するシステムを使って一般の運転手が通常のクルマを使って客を運ぶ)ライドシェアができるようにすれば、ウーバーら外国企業は日本で金儲けができるチャンスは拡大する一方で、ドライバー一人あたりの賃金が下落し、タクシーサービスの水準が劣化することが必至なのだ。
ところが、進次郎氏はそういう議論に全く頓着せず、ひたすらに「日本にライドシェを導入すべきダ!」と主張しつづけている。今の所、進次郎氏がイメージするような形でライドシェアは導入されておらず、かろうじて日本のタクシーサービス水準の抜本的下落は回避されてはいる。しかし、小泉氏が総理になれば無論、確実にライドシェアを彼のイメージする方向で導入することとなろう。そしてその「方向」は無論、アメリカが望む方向なのだ。
かくして小泉進次郎総理の誕生は、その政治家としての基礎的能力の不足故にまっとうな政治が進められなくなる、という問題があると同時に、アメリカのジャパンハンドラー達の「操り人形」として、日本の国益がより積極的に破壊されていく深刻なリスクがあるわけだ。しかも国益毀損の程度から言うなら、この後者の問題の方が、より深刻だと言えよう。
以上の分析を通して筆者は、小泉進次郎氏の総理就任は、極めて深刻な国難状況をもたらすであろうと確信しているのである。

 
こんな記事に対抗するわけではないのだが、やはり無視できない記事があった。
 
小泉進次郎を自民総裁選で倒す方法。負ければ引退の麻生副総裁が放つ「派閥こそパワー」最後の勝負手とは?
 
■自派の河野太郎氏を全力で担がない、麻生太郎副総裁の腹の内
8月27日、横浜のホテルで盛大に開かれた自民党麻生派の研修会。総裁選についてどんな号令がかかるのか、参加者の誰もが固唾をのんで見守るなか、御大将の麻生太郎副総裁が淡々と語り始めた。
「同じ釜のメシを食って育ってきた河野太郎を同志としてしっかり応援していきたいものだと思っています。・・・今から色んな方が手を挙げられるだろうし、そういう方々と仲が良かったという方々もいっぱいいらっしゃるんだと思いますから、こういう大会を開いて一致結束弁当みたいに縛り上げるつもりは全くありません」
総裁選への立候補を表明している同派所属の河野太郎氏を応援する。しかし、派閥が一体になって取り組むよう縛るつもりはない。それぞれ、別に応援したい人がいれば、自由に活動してもらってけっこう。そう言うのである。
裏金問題に端を発して自民党の派閥が批判のマトになり、ほとんどの派閥は解散したフリをしている。ただ一人、派閥を死守し続ける麻生氏が、自派唯一の候補者を全面的に担ぎ出すことをしない。どういうことなのか。
■尾を引く河野氏の「脱原発」、甘利明氏との確執
前回、2021年の総裁選にも河野氏は出馬した。このときは河野氏のたび重なる来訪を受けながら、麻生氏が明確に河野氏への応援を約束することはなかった。
河野氏、または現首相の岸田文雄氏を「基本的に支持」との方向性を派閥として打ち出しただけだった。あくまで「方向性」だ。このため河野氏は“小石河連合”と呼ばれたように、石破茂氏や小泉進次郎氏と手を組み、そのバックには退陣を表明した菅首相(当時)がついた。
今回、麻生氏は「河野氏を応援する」と明言した。前回との違いははっきりしている。だが「一致結束」はしない。その点では、前回と変わりがないようにも思える。麻生氏の真意はどこにあるのだろうか。
一つには、河野氏では派内がまとまらないという現実的な問題がある。そこには、麻生派の重鎮として派内に一定の勢力を有する甘利明氏の存在が関わっている。
甘利氏は、河野氏の唯我独尊的な言動を忌み嫌う。なにより、福島第一原発の事故後、脱原発を唱えた河野氏が、大手電力会社と関係の深い甘利氏を名指しし、「次の選挙で落とすしかない」と朝日新聞のインタビュー記事で語ったことが尾を引いている。
前回総裁選で、甘利氏が支援したのはもちろん河野氏ではなく、岸田氏だった。そして、今回の総裁選では、小泉進次郎氏とともに若手のホープと目される小林鷹之氏(二階派)を推している。経済安全保障の分野で同志的なつながりがあるからだ。麻生派にはほかに、上川陽子氏(岸田派)や小泉進次郎氏(無派閥)を推す議員もいる。
■小泉進次郎氏との「決選投票」を見越した戦略
もう一つは、決選投票を見越した戦略だ。総裁選で勝利するためには過半数を獲得する必要があるが、今回の総裁選は候補者が多いために議員票が割れ、1回目の投票では決まらない可能性が高い。つまり、上位2人の決選投票になると予想されている。勝ち残る二人のうち、一人はおそらく小泉進次郎氏になるだろう。
決選投票なら、367の国会議員票と47の都道府県連票で競うため、国会議員票への影響力がある実力者の意向がものをいう。つまり決選投票では、自民党伝統の“派閥パワー”が炸裂する余地があるのだ。
■自民党総裁選で小泉進次郎氏に勝つ方法は存在する
21年総裁選は、国民的人気の高かった河野氏の勝利を阻止すべく、高市早苗氏を担ぎ出した安倍晋三元首相の計略が際立っていた。高市氏に一定の票を集めて安倍氏の影響力を見せつけ、河野氏の過半数獲得を阻止する。そうなれば、岸田・高市の連合で決選投票を制することができるという計算だ。
それは、安倍氏が自ら体得した総裁選のセオリーの実践だった。安倍氏が返り咲きを狙って石破茂氏ら4人と戦った2012年の総裁選。5人による混戦となって票が分散したため、決選投票にもつれこんだ。
このとき、第1回投票での1位は石破氏で、議員票34、党員票165。安倍氏は議員票54、党員票87で2位だった。ところが、議員のみによる決選投票では、安倍氏108票、石破氏89票と逆転し、安倍総裁が誕生した。
人気があり党員票を多く集めそうな候補者に対抗するには、立候補者数を多くして票を分散し、決選投票に持ち込むこと。そうすれば、ほぼ議員票だけの勝負となり、派閥の締めつけを効かせることによって、結果をコントロールできる
その経験則を安倍氏は前回総裁選に生かした。事務所にこもり、高市氏への支援を求めて細田派(当時)の若手ら党所属議員に安倍氏自ら電話をかけまくった。その結果、高市氏は114票の議員票を集めることができ、上位2人の総得票は岸田氏256票、河野氏255票と拮抗、いずれも過半数に届かなかった。
決選投票では、高市氏の票がどっさり岸田氏にまわり、得票数は岸田氏257票、河野氏170票と大差がついた。こうして安倍氏は高市氏を応援しながら、結果的に、岸田政権を手の内に入れることに成功した。その過程で、安倍氏、麻生氏と緊密に連絡をとり、両氏の派閥から岸田氏に票を集める役割を果たしたキーパーソンが甘利氏だった。
■派閥こそパワー。麻生太郎氏が描く一か八かの大逆転シナリオ
麻生氏にとって、今回の総裁選の情勢はきわめて厳しい。強い候補者を手駒に持っていないからだ。河野氏に前回のような国民的人気はない。一方、進次郎氏を擁する菅義偉氏が、キングメーカー対決上、有利なことは明らかだ。
追い込まれた麻生氏は一か八かの勝負に出るしかない。多人数の立候補を誘導して、決選投票に持ち込む。それができれば活路が開ける。もちろん、1回目投票の1位、2位が小泉、石破になったら、どうしようもない。進次郎氏は菅氏の掌中にあるし、2009年に“麻生降ろし”の急先鋒を担った石破氏に対しては憎悪の感情しかない。その場合、麻生氏はキングメーカーの座を降り、あっさり引退の道を選んで、長男を後継者にする可能性が高くなるだろう。
決選投票に持ち込めるとして、麻生氏が想定しているのは、小泉氏が決選に残り、あとの一人が石破氏以外であるケースだ。
それが、支援を約束した河野氏なり、ポスト岸田の候補として麻生氏が目をかけてきた茂木敏充氏、あるいは甘利氏が推奨する小林氏(二階派)なら好都合かもしれない。いや、高市早苗氏(無派閥)、上川陽子氏(岸田派)、林芳正氏(同)であってもかまわないのだろう。
そこではじめて派閥のメンバーに「一致結束」を求め、菅義偉前首相の息のかかっていない候補者に票を集める。その候補者が総裁に選出されれば、キングメーカーとして、新政権に対しても影響力を保持しうるのだ。
むろん、そううまくコトが運ぶとは限らない。とりわけ小林氏については、安倍派の福田達夫氏ら4期生以下の議員が中心に支援していて、長老支配の象徴ともいえる麻生氏の介入を許さない雰囲気があるようだ。それでも、決選投票における票読みしだいでは、麻生氏に頼らざるを得なくなる。
■自民党の本質は今も昔も党内派閥のパワーゲーム
「派閥を解消して初めて行う、国民に開かれた新しい時代の総裁選」。これが自民党「総裁選ショー」のキャッチフレーズだが、何度も言うように、騙されてはならない。もし麻生氏の思惑通り決選投票に持ち込まれたら、菅氏の無派閥グループも含む旧来の“派閥パワー”が乗り出してきて、実力者間の裏の取り引きで勝負が決まることになるだろう。
。親分子分の関係、義理人情、世襲。カネやポストをめぐる恩義や貸し借り。そういったものが、党内をおさめてゆく土台、すなわち本質のようなものであるからだ。自民党が新しく生まれ変わるというのは、記者クラブを通じて政権与党に取り込まれているメディアがつくりだした幻想にすぎない。
自民党は1989年、リクルート事件で高まった政治不信を払拭するため、「政治改革大綱」をまとめた。党改革に向けた決意がはっきりと盛り込まれていた。
≪れわれは、派閥解消を決意し、分野を特定して活動するいわゆる族議員への批判にこたえ、さらに、党運営においては、人事・財政・組織の近代化をはかり、世界をリードする政策を立案・実行できる政党への脱皮をはかる。≫
それから35年。この決意は実現しているだろうか。派閥は存続して裏金問題を起こし、またぞろ「派閥解消」のお題目を繰り返しているだけである。これでは「世界をリードする政党」など、未来永劫、夢物語でしかない。

 
それにしても、親譲りのアメリカの操り人形」の総理誕生を阻止するのが、「党内派閥のパワーゲーム」とは、まさに「選択肢が無い」日本の惨状ではないのだろうか、とオジサンは思う。  

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